小路幸也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
映画「男はつらいよ」を見て日本語を覚えたザンティピー。寅さん言葉を巧みに話す彼は、マンハッタンの自称名探偵である。そんな彼が、日本に嫁いだ妹からの意味ありげな連絡を受ける。妹は温泉旅館の若女将修行中。ザンティピーは有り金はたいて北海道の田舎温泉旅館にやってくる。ミステリとしては事件のプロットがつまらない。でも、異文化交流は面白い。ただ、アメリカ人にしては日本文化への溶け込み方が、あまりにすんなり過ぎるかな。日本旅館の朝食を、地元のダイナーのハンバーガーよりいいと、すぐに気に入ってしまうところなんかでそう思った。著者の小路幸也さんは相変わらず、角の取れたほんわかムードの小説を書く。肩の凝らない
-
Posted by ブクログ
人の顔がのっぺらぼうに見えてしまう。一体なぜ?この本はその謎一つしかありません。
しかし、ものすごいリーダビリティ。やわらかい話し言葉でつづる奇妙な物語は謎解きへの渇望のみならず、古き日本の情景を読む人の心に浮かばせる。登場人物たちも現実にひょっこり現れてもおかしくないようなやつらばかり。
オチはともかくとして、こういったノスタルジックな小説は好きです。謎解きよりも空気を楽しむ小説だと思います。ちなみに謎は絶対解けないでしょう。
あとメフィスト賞受賞作は第一回の『すべてがFになる』の影響か、物語の最後で最強キャラがでてくる傾向がありますね。まあいいですけれども。 -
Posted by ブクログ
なんて綺麗なタイトル、って思って購入。
買って正解でした。
読み始めて一気にその世界に引き込まれます。
小路さんの文は、特に地の文の語り口が流れるようで心地よいです。
読みやすい。それでいてリアルです。
さも自分の目の前で物語が繰り広げられているかのように伝わってくる。
最後の最後に、たぶん小路さんが暗示したかったであろう、ものすごい比喩が感じ取れて、いろんな人に読んでもらいたいと思いました。
ただのミステリーじゃないので。
でもまだ作品を消化しきれてないので、もう一回読もうかなと。読めば読むほど味が出てきそう。
東京バンドワゴンとは毛色が違って、でも小路さんの -
Posted by ブクログ
名優と世間に呼ばれた老優が人生の最後に選んだ作品はかって家族であった。
役者たちとのドキュメンタリーでもフィクションでもない不思議な家族の物語。古い日本家屋を舞台に淡々と繰り広げられるドラマはまるでモノクロームの古い日本映画を見てるような気分でした。
演技なのか素なのか?それぞれの登場人物がもつ静かな爆弾が物語により深みを与えてくれています。
小路さんならではなあったかな目線が優しい感動をくれる。
笠松市朗のキャラクターがなぜか「バンドワゴン」の我南人とだぶってみえました。装丁も素敵でしたが偶数シーンの英語タイトルは「What a wonderful world」をはじめ「I'm s -
Posted by ブクログ
ネタバレ音楽に携わる様々な人たちを描いた8つの音楽短編集。泣きのギタリスト、唄えなくなったヴォーカリスト、踊りながら歌う盲目のピアニスト、自分の存在感について悩むドラマー、ステージ上で駆け落ちしたトランペット吹き・・・などなど。お洒落でどこか懐かしく、そしてどの話の中にもはっとさせられる、まるで音楽が聴こえてきそうな美しい一文があります。
短編の中でも、「ピアノを弾かせてくれないかな…。」とフラリと子犬のようにバーにやってきた天才ピアニストのお話「その夜に歌う」はお奨めです。解説者のあとがきによると、タイトルが「うたうひと」と平仮名なのは歌を唄う人のことだけではなく、楽器を演奏する人も「うたうひと」だ -
Posted by ブクログ
「東京バンドワゴン」シリーズの小路幸也さんが
幻冬舎文庫へ書き下ろし。
ニューヨークに事務所を構える、元警察官の私立探偵ザンティピーが、
日本人に嫁いで、温泉旅館の若女将となった妹のサンディより
「会いに来て欲しい」との電話があり、
向かった先は北海道の小さな観光地。
10年ぶりに再会した妹に、挨拶もそこそこに差し出されたのは、
人の指の骨だった。
それは誰の骨なのか。
わが国の国民的英雄といっても過言ではない
「柴又のあの人」の映画を観て習得した、
微妙な日本語を駆使しつつ探偵ザンティピーは、
かつてこの島で起こった、殺人事件を調査する。
小路さんの「東京バンドワゴン」以外の作品を読む -
Posted by ブクログ
小学生と中年の日を交互に繰り返すというのは珍しいと思いますが、設定はタイムスリップSFそのものです。当然ながらタイムパラドックスも出て来ますし。でも小路さんですから、そうしたSF的設定が本題ではないわけです。
小路さんらしく、子供時代のノスタルジックなところは上手いですね。私と年齢的にドンピシャですから、当時の雰囲気がひたすら懐かしく思います。
ストーリーは過去の大事件の謎や現代の不正問題を絡めながら、次々にテンポよく進んでいきます。このあたりのワクワク感はなかなかです。登場人物も一人一人良く出来ていて、その関わりも読み応えがあります。
SFとして読めば、エンディングはいささか不満が残りますが