山田宗樹のレビュー一覧
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山田宗樹『グッバイ マイヒーロー』ハルキ文庫。
幻の名作『いよう!』の改題、文庫化。
切なくて、悲しくて、心暖まる物語。幻の名作という意味がよく解る。
子供時代に憧れる大人というのは、どこか危なっかしく、気ままに生きるアウトローみたいな人物が多い。そんなアウトローな叔父に人生の節目を掻き回される主人公……
几帳面で真面目な堅物の父親を持つ主人公の哲彦は、父親とは全く正反対で、定職にも就かず、不真面目で自由気ままに生きる叔父の上原清治郎に憧れる。
哲彦の人生の節目に『いよう!』という軽い挨拶と共に突如現れる叔父は哲彦を混乱に落とし入れながらも、温かい目で哲彦を見守る。
寄りによって哲 -
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『たしかにガリレオやニュートンは、宇宙の秩序の美しさに神を見ていたかもしれない。アインシュタインも、量子力学の不確定性を「神はサイコロを振らない」という言葉で批判した。だが、彼らが言及した〈神〉を〈自然〉と言い換えても、いわんとする意味は変わらない。アインシュタインが論じたのも、自然の仕組みに関してであり、創造主の趣味のことではなかった』―『第一部 第二章 クラウス実験』
ジョン・L・キャスティの「ケンブリッジ・クインテット」のような小説なのかと思って手に取ってみた。数学の定理や物理の法則をテーマにした小説は割と好きなジャンルの本。小説を読む面白さは、読みながら色々な思考の連鎖が頭の中で発火 -
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ネタバレ長い!700ページオーバーの本書!!!
空に微生物って本当に居るらしいのですが、本書ではソレが世界を滅ぼす原因となっている。
物語は一世代で終わらず親から子へ子から孫へと物語が紡がれていく。
本書に登場する『グレートエンディング』と言う考え方に嫌悪を感じる。
人は他人の幸せを妬む、自分が最高の努力をしていると思う・・・
グレートエンディングと言う言葉で人間の嫌な部分が描かれている。
シールドポリス計画の頓挫については考える必要がある。一時の世論誘導により、得られる未来が目減りする危険性を考え行動し何かを支持する事の重要性を再認識した。
『責難は成事にあらず』と言う言葉を思い出す!
赤 -
Posted by ブクログ
山田宗樹『きっと誰かが祈ってる』幻冬舎文庫。
久し振りの山田宗樹。不覚にもラストで泣いた。
今の世の中は一体どうなっているのか。親が子供を虐待し、時に子供を捨て、子供が平穏無事に成長すれば礼儀をわきまえない、冷たい大人になり……どこまでも悪循環のサイクルが繋がっていくように思う。
様々な理由で実親と別れた赤ん坊が生活する乳児院で保育士を務める熱血漢の島本温子が主人公。或る日、温子はかつて自分が最初に担当し、無事里親に引き取られて行った多喜という女児のことが気になる。調べてみると、我が子同然だった多喜に不幸の影を感じる……
本体価格580円
★★★★★