山田宗樹のレビュー一覧
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人の親になる、子を持つ。改めて現代に問われている問題だと思う。少し昔までは産んで育てては女、働いて支えるのは男といったのが当たり前でよくも悪くもそれがどうとかいうのもなかった。そして医療も現在と比較して中絶という選択肢もほぼなかったためできたら産むという流れかなと。
しかし今は人々の意識が変わり、人が個人として尊重されるようになり。個々人の人生は自分で選択する時代となった。そして中絶という選択肢もある。その中で何故産むのか、そしてその責任を取らねばという意識が以前にも増しているかのよう。しかし子どもの権利条約もある。産まれてくる胎児も人間であり、子どもであるか。
その感覚、意識を今私たちは -
Posted by ブクログ
ネタバレエモーション・コントローラー略してエモコン。鬱々とした気分のときでもこれを装着すれば、たちどころに明るい気持ちになれると言う。今のところ使ってみたいと思わないが、いつか使いたいと思う日が来るかもしれない。ただ、使用の代償として「世の中に必要のない存在」と認識した人を殺めてしまう危険性が伴うとなると、いかがなものだろうか。
本書では、エモコン使用者が自分に関係のない他者を「必要ない」という理由だけで殺してしまう。そのことにいち早く気づいた精神科医がエモコンの使用を止めるよう呼びかけるが、使用を止めない人も多かった。
いかに他人より自分の幸福が大事と思って生きている人間が多いことか。現実も似たよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ序盤。構成の妙。
よくあるパターンとはいえ、ワクドキ製造型の視点じゅんばんこスタイルは大好物です。
最大のナゾ「ルキ」の存在をうまく使った語りの視点変換。「ルキ」を一人称。それ以外を三人称一元視点にすることで不気味さや読めなさが香ばしく沸き立つ。ムフムフしてしまう。
「地上の世界は〈空〉の気まぐれに翻弄され続けた。」
確かに。〈空〉って怖いんだなと再認識。
海の怖さは地震大国の住人として意識せずにはいられないけれど、空、大気で起こる自然現象を論理的かつ平らに列挙されると、至極正当な恐怖だった。
「自然の脅威」なんて十把一絡げで便利な言葉を無感覚に使いすぎて鈍麻してるけど、間違いなく怖い。