Posted by ブクログ
2011年07月07日
忘れたころに読み返そうと思う。ただ、忘れられるか?
世の中には読んだことで後悔してしまうような本がある。悪い本という意味ではない。物語に引き込まれすぎて本で読んだ情景や、感情がトラウマになって残ってしまうのだ。
そうなるとしばらくは、ことあるたびに虚構世界のことを思い出して、現実世界に居たたまれ...続きを読むなくなる。これもPTSDの一種かな。読まなければ、こんな思いをしなくてよかったのに。。。トホホ。という後悔。
僕にとって、山田宗樹氏の「嫌われ松子」がそれにあたる。何かあると作品の情景を思い出して、悲壮感に包まれてしまう。
ただ、この作品は女性が主人公だからまだ良かったが、この「ジバク」の主人公は男性。おまけに僕とほぼ同じ歳の42歳。
タイトル通り、この主人公がちょっとしたことから、すごい勢いで「松子」状態になっていくのだ。
遅読の僕が3日くらいで読んでしまったが、その理由はスピーディな展開というだけではなく、主人公、麻生貴志の人生にダラダラと付き合っていないで、早く決着をつけて、自分の人生に戻りたかったから、ということもある。
ただ、おそらく決着つかなかった。しばらくはトラウマに悩まされそうだ。
それでもこの本は大切にとっておいて、忘れたころに読み返そうと思う。人生における自分の立ち位置を考えさせられる話だと思うから。