新刊配信記念!山田宗樹先生インタビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加

『人類滅亡小説』配信記念!山田宗樹先生インタビュー!

待望の新刊!

      • 人類滅亡小説

        人類滅亡小説

        「嫌われ松子の一生」「百年法」の著者が辿り着いた最高傑作。衝撃の平成版「日本沈没」誕生! 自然環境が激変、人間は死に絶えるのか? 滅びる運命の中、人はいかに生きるのか? 空に浮かぶ雲の中に古代から存在してきた微生物。それらが変異し大量発生、周囲の酸素を吸収するようになった。その雲が自重で地面に落下...

        ■山田宗樹先生インタビュー■

        ●先生はよく読者に「一気読み」してもらえることを意識しているそうですが、今回工夫されたことがあれば教えてください。


        とにかく長い話なので、面白くするのは当然として、読者を必要以上に疲れさせないことを心がけました。どれほどよく書けても本筋に絡んでこない場面は削除する、描写を可能なかぎりシンプルにする、などです。また、テンポよく物語を進めるために、読者が容易に想像できる展開は思い切って飛ばし、その先のストーリーから再開する、という手法もよく使います。リズムが一本調子になりそうなときは、あえて時系列をひっくり返して変化を付けました。

        ●一番印象に残っているキャラクターは?

        みな大好きで印象に残っているのですが、いちばん大きく育ってくれたのは、沙梨奈です。『嫌われ松子の一生』の主人公・松子が不慮の死を迎えずに立ち直っていたら、こんなキャラになったかもしれません。

        ●沙梨奈(姉)と香織(妹)がすれ違うシーンが、切なく胸を締め付けられました。近い関係だからこそ誤解することもあると感じます。人のために生きること、自分のために生きること。先生は、どちらをより重要視していますか?

        あのシーンは私も気に入っています。別れ際、香織から浴びせられた叫びに沙梨奈が一瞬足を止めてしまうところは、それだけで沙梨奈の心情を十分に表現できていると思います。本編でも別のキャラが口にしたように、自分のためだけに生きるのは、短期的には楽でも、やがてどこか虚しさを覚えるようになるのではないでしょうか。誰かの役に立ちたい、必要とされたいという欲求は、人類が文明を発展させるために受け継いだ本能のようなものだと考えています。

        ●材料が手に入りづらくなった中、沙梨奈が大切な人のためにカレーライスを作るシーンや、子供たちが終末を意識しながらも将来の夢について語り合うシーンが印象的でした。先生の印象に残っているシーンを教えてください。

        ラスト近く、主人公の一人が、テロリストとなった男と言葉で火花を散らすシーンです。彼女が口にするセリフのほとんどは、流れに任せて自由にしゃべらせました。その結果、男から投げつけられた「自分さえ生き延びればいいのか」という非難に対して「わたしの命はわたし一人のものじゃない」という返しが生まれ、彼女の心情的な変化と成長をはっきり示すことができました。ポメラ(先生が執筆時に使用しているデジタルメモ)が考えてくれた感じです。(笑)

        ●宮原先生(高校の女性教師)と小春(高校生)のおっぱいの描写が印象的でした。(笑)描写の狙いがあったら教えてください。

        健康で元気な男子高校生らしい雰囲気を出そうとしただけで、おっぱいに深い意味はありません(一同笑)。ただ結果として、彼の巨乳好きが、将来の伴侶選びのちょっとした伏線になりました。意図せず書いたシーンが結果として伏線になるということは、よくあります。

        ●仮想世界に人格を残すことで生き続けるというエピソードが、新鮮でした。先生は、生きるということを、どのような定義で解釈していますか?

        肉体が滅べば「生」は終わると考えています。小説家ならば、自分の死後に誰かが作品を読んでくれる、と想像することは、慰めになるとはなりますが、せっかく読んでもらった以上は、その感想をぜひ知りたいですからね。「欲が深い」ので。今回は執筆に2年間ほど費やしました。あと自分は何作品書けるだろうかと考えることがあります。

        ●エピローグに衝撃を受けました。この構想は初めからあったのですか?

        当初の構想にはありませんでした。三分の一ほど書き進めたころに突然思いついたもので、当時のTwitterで「ほぼ完璧なラストシークエンスが降ってきた」と書きました。この思いはいまも変わりません。

        ●「生きる期限」に対してどう向き合っていくのかということが、先生の作品の軸に流れるテーマのように感じます。この問いに対してどのように考えていますか?

        人がもっとも試されるのは、自分の力の及ばないものと対峙した時だと思います。だからこそドラマが生まれる。私はそのドラマを、大きなスケールで描きたいと考えているだけです。特にSF小説にこだわっていませんが、『星を継ぐもの』には影響を受けました。(ハードSFの巨星ジェイムズ・P・ホーガンの作品)

        ●作品が完成した今、やりたいことはありますか?

        早く次の長編のテーマを決めて執筆にかかりたいですね。やっぱり、ストーリー展開をうんうん呻りながら考えていないと、なんだか毎日が物足りなくて。

        ●最近読んだおすすめの本はありますか?

        『すごい物理学講義』という本で、主役は量子力学です。私は量子力学についてはまったくの門外漢ですが、初心者向けのものでも読んでみると、慣れ親しんだ世界観や宇宙観に大きな修正を強いられ、それがとても心地いいです。永遠に変わらない常識なんてものはない、ということに、あらためて気づかされるからでしょうか。

        (2018年8月インタビュー)

山田先生オススメの本はこちら!

山田宗樹先生の作品