あらすじ
自ら選んだ人生の結末が目の前に迫ったとき、忘れかけていた生の実感と死の恐怖が、人々を襲う。〈生存制限法〉により、百年目の死に向き合うことになった日本人の選択と覚悟の結末は――!?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
SFのはずなのに身に迫る現実感がすごい。
上巻での後手後手に回りまくる日本の姿とか、存在しない事象を巡る話なのに説得力がありすぎる。
ずっとみんながみんな自分だけの立場から身勝手なことばかり言っていて、まあそれが人間らしいと思ったしその集合体が国であり代表が政府だと思って読んでいたけど最後の最後に人のための決断をした国民たちの流れが希望的で素敵だった。
個人的には牛島大統領と遊佐首相の確かに存在した絆がわかった時すごく胸熱だった。
Posted by ブクログ
読み応えあり!パラレル日本の未来。
登場人物が多く、時間軸も行ったり来たりするためなかなか頭を使う。
ラストシーンには痺れて鳥肌が立った。ぜひ最後まで読んで欲しい。
ちなみに、映像化するなら遊佐は長谷川博己のイメージ。
Posted by ブクログ
不老不死技術が導入され、施行後100年で生存権を手放さなければいけないSF小説
日本も敗戦後に技術を導入して100年後というifストーリー
以下、公式のあらすじ
----------------------
不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―国力増大を目的とした「百年法」が成立した日本に、最初の百年目が訪れようとしていた。
処置を施され、外見は若いままの母親は「強制の死」の前夜、最愛の息子との別れを惜しみ、官僚は葛藤を胸に責務をこなし、政治家は思惑のため暗躍し、テロリストは力で理想の世界を目指す…。
来るべき時代と翻弄される人間を描く、衝撃のエンターテインメント!
----------------------
原子爆弾が6発投下され、終戦を迎えた日本
戦後、アメリカからもたらされた不老化技術「HAVI」によって、老いることなく永遠に生きることができるようになった社会
ただ、処置を受けた人は一定期間後に生存権をはじめとする基本的人権を放棄しなければいけない法律の導入もセットになっている
期限は各国で異なっており、40年や60年の国もある中、日本はアメリカと同様に100年
そして、その法律の施行を迎える時が来た
日本の政治体制も大統領制になっている
でも、ほぼ権力を持たないという、現在の皇室のような存在なわけで
おそらく、皇室という制度はなくなっているのだろうな
死が社会から取り除かれたからと言って、人々が幸せとは限らない
増え続ける人口と停滞する社会により、経済は破綻し、多くの人々は職もなく貧困に喘いでいる
それでも既得権益を持った「年上」の人達がいなくなる事はない
親の面倒を診るという慣習が不要なため、親子関係の意味も薄れ、親子関係を解消する事も可能
科学技術は進んでいるのに、人々が幸せそうに見えないんだよなぁ
死なない事が幸福には結びつくとは限らないわけで
死なない苦しみもあるのでしょうねぇ
百年法延長の国民投票
多くの国民は、このままでは社会が立ち行かなくなる事を何となく予感しつつ
初年度の対象者はもちろん、いずれ自分もその対象である事を意識せざるを得ない
現実の日本では国民投票が行われた事はないけど
実際に、短期的な自己の利益と長期的な全体の課題解決とを比べて、冷静に投票できる人はどのくらいいるでしょうね?
そして、テロリストではあるが、ある意味で英雄視される阿那谷童仁
実際にそんな人がいるのかいないのか、いたとして百年法から逃れる術はあるのか
元になった人と、さらにその崇拝者の存在
まぁ、現代の日本に暮らしていれば、なかなか「生きる」という事の価値を認識しにくいのかもね
そんな社会で、処置を受けずに「老いる」という事を選択する人
まぁ、大勢ではないけど普通にいそう
かく言う私も、もし現代でこんな処置が受けられるようになって、100年後に生存権を手放さなければいけないとして
自分は処置を受けるかな?と考えてみた
少なくとも数年は様子を見そう
でも、受けるなら常に今が人生の中で一番若いわけだし、できるだけ早い方がいいのは分かっているんだけどね
作中でも語られているように、外見や肉体が変化しなくとも
精神性は既存の老化と同じようになっていくかもね
となると、外見だけ今のままても仕方がないし
処置を受けない可能性も結構あるなぁと思った
拒否者の村
まぁ、逃れる方法があるならそんな選択をする人がいてもおかしくない
しかも、その時には政府の失策が目に見えているわけだし
ただ、その暮らしぶりは、社会インフラが整った既存の生活とはかけ離れているわけで
結局そこでも生きられない人も結構いると思う
そして、作中にあるように、自殺する人も出てくるのもそんなに不思議ではない気がする
後半から登場して意味ありげに描かれる、突発性多臓器ガン「SMOC」
終盤で明かされる特性は実際にはありえない
ただ、その特性はとあるゲームや小説を思い起こさせる
となると、この世界ももしかしてそんな世界という事か?と邪推してしまう
総合的な感想として
不老不死というユートピアの技術がありながら
ある意味でディストピアな展開になるというのは実際にありそうな展開で納得感があった
Posted by ブクログ
人類が不老薬を手にしたら。。
こんな未来になるのか分からないけど、自然の摂理に反することをする時はみんな慎重になろう。ってことで、国語の教科書にしてもいいんじゃないかとすら思いました。
SFでありながらとにかくリアルな一冊。圧巻です。
Posted by ブクログ
手術を受けることで不老不死が実現した近未来の日本。「生存制限法」とか設定がリアルで面白かった。
人間は歳をとってだんだん衰えていくから、死を受け入れることができるんだよね。いつまでも若くて元気なままだったら、百歳になっても二百歳になっても死ぬのは怖いだろうな…。
Posted by ブクログ
不老化の手段を手に入れた日本共和国が滅び、再建するまでの話。
ぶっ飛んだ設定だけど、ディティールがしっかりしていて世界観に入り込めた。
センチュリオンの北沢大佐が大統領司令ゼロ号を発動した時はアツすぎて鳥肌が止まらなかった。
ケンの最後の演説が、現代を生きる自分にグッサグサに刺さって…
安全圏から文句を言うだけの人間でいいのか?と深いところまで問いかけられたようだった。
Posted by ブクログ
怒涛の勢いで話が展開していった。
それでも、全体的にまとまりがあり、とても良く細部まで表現されている物語だった。
登場人物それぞれの心理描写もあり、ストーリーに置いてかれない点が素晴らしかった。
Posted by ブクログ
小物が、気持ちいいくらいの小物で見事(笑)
とんでも設定ですけど、とんでもなく楽しく読むことができました。
こんな感想読まなくていいので、この大作を読んでください
(*^^*)
「終章」すごすぎ!かっけ〜
Posted by ブクログ
⚫︎感想
最後までめちゃくちゃ楽しませてもらいました!
登場人物同士の関係、駆け引き、国民の不安、パニック、生きることへの尊厳、本音と建前、美醜…全てが詰まった人間ドラマ。ラストも好み。綺麗にまとまってカタルシス感あり。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―円滑な世代交代を目論んだ「百年法」を拒否する者が続出。「死の強制」から逃れる者や、不老化処置をあえて受けず、人間らしく人生を全うする人々は、独自のコミュニティを形成し活路を見いだす。しかし、それを焼き払うかのように、政府の追っ手が非情に迫る…世間が救世主を求める中、少しずつ歪み出す世界に、国民が下した日本の未来は!?驚愕の結末!
Posted by ブクログ
不老処置を受けた人間は百年後死ななくてはならない。
命の期限が迫った政治家の策略、翻弄される民間人、生きるために逃れた人々が集う拒否者ムラ…。それぞれにドラマがあり、何気なく消費するだけの日々を送っている私にはとても刺激的な作品でした。
Posted by ブクログ
不老不死っていう設定の中に現代日本の社会問題をガッツリ組み込んでくる辺り作者の妄想力がエグい。
どうやったらこんなストーリーが書けるのか謎。
人生の名言も多くてめちゃくちゃおもしろい。
Posted by ブクログ
設定や世界線が作り込まれていてとても面白かったです。分厚いですが、特に下巻はどんどん読むことができました。5~6年前に読んだので、もう一度読み返したいです。
Posted by ブクログ
多くの人が想像したことがあるだろう不老が叶う世界の話
不死ではないというのがミソで、とても面白かった。
人間は終わりがあるからこそ人間らしく生きられるのかもしれない。
私は人が他人を信頼して何かを託すシチュエーションが大好きなので、センチュリオンの指揮権が移るシーンが本当に最高だった。
病気の話もラストで急に出されるんじゃなくて、ちょこちょこ物語に関わってきてたから、予想はできたけど良いラストだと思った。
一度は間違えた国民も、今度は間違えなくてよかったね。
Posted by ブクログ
とにかく構成が凄い。
人々の営み、思想、価値観、人生観がそれぞれに鮮明に描かれている。
話の流れも、時間の飛ばし方も、展開も一気読みしてしまう、惹き込まれ過ぎる。
Posted by ブクログ
不老技術が開発され、それを受けたものは100年しか生きられないという百年法が定められた架空の日本の話。「蘭子」「官僚・遊佐」「警察・戸毛」「蘭子の息子・ケン」「ドクター加藤」が主な語り部だけど、実質的主人公は遊佐とケン。ちょっと登場人物多くて途中混乱してしまったけど、随所に謎が散りばめられていて続きが気になってグイグイ読むことが出来た。
著者の小説は初めて読んだけれど、名詞や動詞ぶつ切りの文体が多く、それがかえって淡々とした印象で物語に合っていた。
百年法に対する人々の反応とかは、とてもありそうな感じ(国民投票で反対されるとか、拒否者村ができるとか)だけど、不老技術が開発されたとしてほとんどの人が20代でそれを受けるとか、家族関係が希薄になるとかはちょっと非現実的かなと思う。たぶん、もっと色んな選択をする人が現れるだろうなと感じた。
Posted by ブクログ
ラストは鳥肌ものだった。
面白かったです。
結構信じられない展開が続くけど、いざとなったら人間どうなるかわからんな…と色々考えさせられた。
面白いです。
こういうお話好き。
Posted by ブクログ
壮大なストーリーで、世界観に引き込まれました!三部作の映画を見ているみたい!
人から人へ引き継いでいくストーリーもなかなか!
こういった大作はなかなか見れないと思うので、おすすめします!
Posted by ブクログ
解説の北上次郎は、圧巻のラストと絶賛している。おそらく、多くの読者が、同じ感想を持つだろう。年齢に対する感覚が独特なので、年代によって感想や印象派大きく違いそうだ。ひょっとすると、人生の後半に差し掛かった人が読む方が、いろんなことを考えることになるかもしれないと感じた。たしかに、面白く読めました。
Posted by ブクログ
不老不死とそこに生きる人類をテーマにした作品。
HAVIといわれる不老不死処置を受ければ、受けた時の年齢のままの容姿で生き続けられる。
それにより世界はどうなるのか…人口が減らず新しい血の入れ替わりが起きなくなり停滞してしまう。
そこを改善するために考えられたのが「百年法」といわれる「処置後100年をもって生存権をはじめとする基本的人権は全て放棄しなければならない」とする法律。要するに100年経ったら死になさいというもの。処置を受ける受けないは本人の自由。
100年経っても生きようとする者、非処置者などが複雑に絡み合い、それからの日本をどうしていくべきなのか…壮大なスケールで描かれており、SF作品の中に現代の問題提起をしているようで楽しく読み進められた。
Posted by ブクログ
やはりというか、その道を選ぶしかないよな。
けれど国民投票で未来ある道を選んでくれて良かった。この百年法が続く限り、何度も何度も同じ議論を繰り返して行くのだろうな。この物語はそれにSMOCで決着をつけたけれど。
上巻の蘭子がHAVIを受けて若い見た目のまま、中身だけは歳を重ね感性は衰えて日々生きていくことだけに費やしているのがすごく身に迫ったというか。
いつか死ぬ、いつかは分からないけれど、それでも死と老いからは逃れられない。そういう限りがある生命だからこそ、生きられるのかもしれない。
もし永遠に生きられるとして、周りもそうなら人間関係を良好なまま維持していくことは相当難しいんじゃないかな。感性が豊かな頃はそれでもやっていけるのだろうけど、感性が衰えてきた頃の変わらない顔ぶれ、変わらない生活、変わらない毎日。永遠に停滞した毎日を過ごすのは地獄のようだな、と。
不老不死(物語上は事故死はあるので不死ではない)は甘い響きだけれども、永遠の監獄でもあるね。
Posted by ブクログ
国民の殆どが不老不死になったとき、国がどうなるのか。そして、死が迫る時の人はどう反応するのか。逝く人、残される人のそれぞれの感情に共感できるのは、死を間近に感じれば、不老不死ではない現実の自分たちと、きっと変わらないからなのだろうなと思った。
物語りは、非常に面白い発想から始まる現代日本のパラレルワールド。
個人的には、広がりすぎた世界観と時間軸の重厚なストーリーを、十分に回収しきれなかったエンディングだった感じ。
でも、人のいのちについて考えるには、十分な価値提供がなされた小説でした。
Posted by ブクログ
なぜ、若いまま100年も生きたいのか。
なぜ、長生きしたいのか。
なぜ不老不死を求めるのか。
大前提はさておき、もし実現したらこういう流れになるんだろうなと納得。
そして、未来に対する責任の取り方にも納得した。
Posted by ブクログ
☆3.8
上下巻合わせた感想
SF小説。
不老化の技術が確立した社会を、政治・人々の営み・医学などの側面から緻密に描いている。
かなりよく考えられており読み応えもある。ただ、緻密で重厚というよりは軽快さが勝る印象。読み進めていくうちに、仁科ケンが独裁者になる展開やガイの正体など予想できてしまったことが原因かも。展開が読めたほかに、個人的には立花恵がひどい扱いを受けた内容を曖昧にせず掘り下げた方が良かった気がした。
ただ、蘭子とケンの別れのシーンは感動した。このときはここまでケンが成長するとは思わなかった。
終章のケンの「共和国民に告ぐ」という声明内容もよかった。国造りの主役は国民1人1人なのだ。不完全な民主主義だが、ただ政治を冷笑的に見て諦めるのではなく、国民がその足で立ち上がる、自ら社会を切り拓く努力をして初めて理想の社会・民主主義は創られるといくことを最後に作者は言いたかったのだろう。
これは現代社会にも言える普遍的なものだ。
Posted by ブクログ
上巻の方が面白かったかな
下巻は拒否者ムラと政府の戦い
HAVIを受けたものはもれなく多重ガンを発生することが判明。
仁科ケンが上り詰めていく。
話のテーマ的にそこにこだわるべきではないと思いつつも、2098年の設定で普通に車や電車が登場してくる描写に違和感を感じてやまない
Posted by ブクログ
物語にひとつの条がなく、全体を通してイマイチ盛り上がりに欠けるなあという印象。とっ散らかっている割にはうまく纏まめているようにも感じたが、ただそれだけで、エンタメとしても啓蒙的なSF小説としても中途半端な感じだった。
読み終わって、それなりにたのしめたが、ストーリーにも登場人物にも、あまり惹き込まれるものがなかった。
Posted by ブクログ
2013年(第9位)。
あれから40年。人口が増えすぎるので100年法が施行されている。蘭子も死去。息子ケンはHAVIを受けなかったので老化していく。大統領は40年の統治に疲れやる気なし。遊佐首相は退陣を促すが拒否。SMOCというガンが流行る。そしてクーデター。クーデター者が小物なのがビミョーだが大統領の機転で取り押さえられる。SMOCはHAVIを受けると必ず発症し16年後には全員いなくなることが判明。ってか、HAVIってなんだったのかと読後に思う。まーでも気になってどんどん読み進めたが。
Posted by ブクログ
不老ウィルスという一つの設定から、国家のあり方や人間の生き方などまで壮大な話となっていた
自分なら不老となったらどうするだろうと考えなどしたが、家族の絆がそんなに簡単に崩壊するかと疑問に思った
まあ、そんな事は仮想世界なんだからどうでも良いが、上巻から続き大統領と首相の駆け引きやおかしくなりかけている日本などジリジリと話が続き、後半はまさかの展開で少しご都合主義な終わりかただった
もう少し登場人物のドラマをみせて欲しかった