山田宗樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレすごい。本当に作者は天才としか言いようがない。
地球が滅亡するまでの人々の葛藤と生き様がありありと描かれていて、フィクションとは思えないほど心を揺さぶられる。
さまざまな選択を迫られる場面で、何度も「自分ならどうする?」と問いかけられ、そのたびに「私は一番安易な道を選んでしまうかもしれない」と気づかされる。
登場人物たちは誰もが生きること、未来のことを真剣に丁寧に考えていて、胸を打つ。
読み終わって、今この惰性で生きられる日常がどれほど尊いものなのかを、痛いほど実感した。
全ては繋がっている。過去から自分を通して未来へと、静かに続いていくつながりの素晴らしさを感じられる作品だった。
本当にすごい小説。 -
Posted by ブクログ
肉体の老化を止める処置を受けることが一般的になった世界の法整備のお話。
HAVIと呼ばれる不老化処置が一般的になった日本。
同時に、処置を受けてから一定の設定期限を過ぎたものは人権を剥奪される「生存制限法=百年法」が制定された。
その最初の対象者が発生するまでまもなく。
法整備に追われる官僚。
遠かった死が近づいてきたパート。
うまく切り抜ける技を探す警察。
大きくは百年法の施行までの奮闘、予定とは違う形の施行後の2パート
見た目は老けることがなくなっても「老害」と言うものがどう言うふうに成り立つのかがよくわかる小説だと思いました。
前後編でそれなりの時間が流れるので、前編でかなり猶予のがあった女性が後編、母になっており生存制限の期日を息子と一緒に迎える場面はかなり辛いものがあります。
永遠こそが最大の苦しみであることはそれなりの人間が想像できるはずですが、遠ざかり過ぎた「死」に直面した時それを避けたいと思うのも必至なのでしょう。下巻が楽しみです。 -
Posted by ブクログ
人類が不老不死を獲得した「もうひとつの日本」が舞台。不老処置後100年で死ぬべきとする「百年法」の是非をめぐるお話。ぶっ飛んだ設定ではあるが、思考実験といってもよさそうなリアリティがある。
不老不死と聞くとユートピアのように思ってしまうが、社会的なレベルで考えると、そんなに単純にはいかないのだな。ユートピアにするのもディストピアにするのも為政者次第ということか。
そして、ふりかえって現実の日本の高齢化・老害化をみると、これを単なるエンタメ小説として終わらせられない怖さもある。
本文の前に「登場人物一覧」が出てきて身構えてしまったが、エピソードごとに視点が大きく切り替わるため、読んでいて混乱することはなかった。先に書いたような社会・政治的な視点だけでなく、庶民の生活や家族のあり方、個人の死生観なども描かれていて、読みごたえがある。 -
Posted by ブクログ
不老不死技術が導入され、施行後100年で生存権を手放さなければいけないSF小説
日本も敗戦後に技術を導入して100年後というifストーリー
以下、公式のあらすじ
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不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―国力増大を目的とした「百年法」が成立した日本に、最初の百年目が訪れようとしていた。
処置を施され、外見は若いままの母親は「強制の死」の前夜、最愛の息子との別れを惜しみ、官僚は葛藤を胸に責務をこなし、政治家は思惑のため暗躍し、テロリストは力で理想の世界を目指す…。
来るべき時代と翻弄される人間を描く、衝撃のエンターテインメント!
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原子爆弾が6発投下され、終戦を迎えた日本
戦後、アメリカからもたらされた不老化技術「HAVI」によって、老いることなく永遠に生きることができるようになった社会
ただ、処置を受けた人は一定期間後に生存権をはじめとする基本的人権を放棄しなければいけない法律の導入もセットになっている
期限は各国で異なっており、40年や60年の国もある中、日本はアメリカと同様に100年
そして、その法律の施行を迎える時が来た
日本の政治体制も大統領制になっている
でも、ほぼ権力を持たないという、現在の皇室のような存在なわけで
おそらく、皇室という制度はなくなっているのだろうな
死が社会から取り除かれたからと言って、人々が幸せとは限らない
増え続ける人口と停滞する社会により、経済は破綻し、多くの人々は職もなく貧困に喘いでいる
それでも既得権益を持った「年上」の人達がいなくなる事はない
親の面倒を診るという慣習が不要なため、親子関係の意味も薄れ、親子関係を解消する事も可能
科学技術は進んでいるのに、人々が幸せそうに見えないんだよなぁ
死なない事が幸福には結びつくとは限らないわけで
死なない苦しみもあるのでしょうねぇ
百年法延長の国民投票
多くの国民は、このままでは社会が立ち行かなくなる事を何となく予感しつつ
初年度の対象者はもちろん、いずれ自分もその対象である事を意識せざるを得ない
現実の日本では国民投票が行われた事はないけど
実際に、短期的な自己の利益と長期的な全体の課題解決とを比べて、冷静に投票できる人はどのくらいいるでしょうね?
そして、テロリストではあるが、ある意味で英雄視される阿那谷童仁
実際にそんな人がいるのかいないのか、いたとして百年法から逃れる術はあるのか
元になった人と、さらにその崇拝者の存在
まぁ、現代の日本に暮らしていれば、なかなか「生きる」という事の価値を認識しにくいのかもね
そんな社会で、処置を受けずに「老いる」という事を選択する人
まぁ、大勢ではないけど普通にいそう
かく言う私も、もし現代でこんな処置が受けられるようになって、100年後に生存権を手放さなければいけないとして
自分は処置を受けるかな?と考えてみた
少なくとも数年は様子を見そう
でも、受けるなら常に今が人生の中で一番若いわけだし、できるだけ早い方がいいのは分かっているんだけどね
作中でも語られているように、外見や肉体が変化しなくとも
精神性は既存の老化と同じようになっていくかもね
となると、外見だけ今のままても仕方がないし
処置を受けない可能性も結構あるなぁと思った
拒否者の村
まぁ、逃れる方法があるならそんな選択をする人がいてもおかしくない
しかも、その時には政府の失策が目に見えているわけだし
ただ、その暮らしぶりは、社会インフラが整った既存の生活とはかけ離れているわけで
結局そこでも生きられない人も結構いると思う
そして、作中にあるように、自殺する人も出てくるのもそんなに不思議ではない気がする
後半から登場して意味ありげに描かれる、突発性多臓器ガン「SMOC」
終盤で明かされる特性は実際にはありえない
ただ、その特性はとあるゲームや小説を思い起こさせる
となると、この世界ももしかしてそんな世界という事か?と邪推してしまう
総合的な感想として
不老不死というユートピアの技術がありながら
ある意味でディストピアな展開になるというのは実際にありそうな展開で納得感があった -
Posted by ブクログ
ネタバレSFになるのかな。地球で受け取った、別の星からの何らかのメッセージを巡るお話。攻めてくるのか友好的な単なる合図なのか。そして私は朱鷺丘先輩(頭はいいがかなりの、いや超がつく変人)がとても好き!小説は、全てを書かなくちゃいけないわけじゃないし、そんなことしてたら読者の想像力とかいらなくなるのは承知の上で、
朱鷺丘先輩のアナザーストーリーがとても読みたい。
勿論、この「シグナル」に関連した人たち(今作の登場人物)にも興味はあるけど、ある程度ラストまでで気が済んでいる。
あ、ライターになった芦川くん(一応主人公)は、このシグナル問題以降何を追うのかもきになるけど。