山田宗樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
佐藤邦郎と田沢比呂子の不倫関係を軸に、比呂子の夫 晋の自殺によって話が複雑に展開する物語だが、人間の精神面の不可解な現象を巧みに描いており楽しめた.精神科医の北見の医療活動が話自体を強固なものにしている筋立てが良かった.誰もが突然電車に飛び込みたくなる瞬間は経験していると思っており、一連のストーリーが実感できた.最後に出てくる給水塔がシンボル的で精神的な曖昧さを強固なものにしてくれたと感じた.
解説で伊予原新が参考文献のことに触れていたが、理系の小生としてはリストを添付するのが当たり前だと感じているし、本書で敢えて実行した著者の精密さを称賛していると思う. -
Posted by ブクログ
小惑星2029JA1に振り回される人間たちの話。
社会に絶望している人達は小惑星の落下を待ち望み、生きていたい人達は当然、落下を食い止めたいと願う。
両者の決着は、念を送って小惑星を引き寄せる(もしくは遠ざける)と言ったかなり非科学的な方法で行われるようになる。(私だったらそんな運動には参加しないだろう。)最後は念合戦だからね。何だそりゃと思った。
ヘルメス(地底都市)から現れた少年を"世界の救世主"等と崇めようとする人類の姿は滑稽だが、必死に生きようとする姿は決して馬鹿にはできない。
実験的地底都市へ莫大な報酬目当てで参加する人々、心底2029JA1が怖い人など様々 -
Posted by ブクログ
ネタバレ〈絶望〉に〈憎悪〉と〈正義〉が加わると、絶望は人を暴力へと駆り立てる性質を持ち歯止めが効かなくなる……改めて突き付けられるとなんて厄介な、と思います。
人類滅亡系作品はこれまでにもオーシャン・クロニクルシリーズとか読んできましたがいろんなバリエーションがあるのだな。
「細菌が寄せ集まったコロニー雲というのが発生し巨大化して、酸素を喰い尽くす」ことで、今回の終末は地表の酸素濃度の減少が原因です。後に更に強毒性になるんだけれど。『ピンク・クラウド』という洋画があるけど、こちらの雲の色は真っ赤です。空はいつでも赤黒い。
自宅にいても密閉性が充分でないからと世界各地にシェルターが作られ、一部の人間はシ -
Posted by ブクログ
山田宗樹『存在しない時間の中で』ハルキ文庫。
最後にタイトルの意味に納得した。
SF小説のような、哲学書のような不思議な話だった。反面、著者に巧く騙され、踊らされたような感じもした。
幼い頃、自分はどうして存在しているのだろうと頭の中に突如閃いた時のことを思い出した。その瞬間から周りの風景がそれまでと違って見えたような気がした。
天文大学内にある世界各国から研究者や大学院生が集まる天文数物研究機構では、定期的に若手研究者たちが主宰するセミナーが開催されていた。ある時、セミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボードに23枚にも及ぶ数式を書き残して姿を消す。
その数式は、宇宙の設計図を描いた何 -
Posted by ブクログ
銀河の果てから謎の電波が地球に降り注ぐ?
自然的なものではなく、何者かが意図を持って発した電波であるとは特定されたものの、解読については、全くの白地図・・・
本作の主人公である芦田翔は天文学者を母親に持つ変わり者の朱鷺丘昴に、謎の電波について自分の意見を聞いて欲しくて模索する・・・
一方で、昔から謎の声が聴こえる人々!?
通称レセプター達は、謎の電波と自分達の耳に聴こえる謎の声が同一のものではないか?
と仮説を立てる!!!???
宇宙の話っていいですよね!
果てはあるのか?
地球以外の知的生命体はいるのか?
ブラックホールに落ちて行ったらどうなるのか?
高次元て何?
宇宙はいつ始まりいつ -
Posted by ブクログ
ネタバレ単行本484ページを1日で一気読みできるエンターテイメント小説だった。
少数ながらも超能力を持つ「ギフテッド」と、彼らの能力を恐れて迫害する大衆との軋轢。SFエンタメ小説で頻出の構造ではあるけど、自分はそれが好きなので面白く読める。能力を持った少数派がだんだんと力を発揮して攻勢に転じていくカタルシスを期待通りに味わえるのが読んでいて快感。
ただし、こういう仕立てのSF小説はどうしてもそうなってしまうのだろうけど、少数派の反乱は、最後には同じ能力を持った正義側(人間社会の倫理観に沿って生きようとする側)の人間達によって平和的に解決されてエンディングとなる。
ギフテッド達を虐げてきた大衆がもっと