あらすじ
世界各国から百名以上の研究者や大学院生が集まり、宇宙の始まりや仕組みなどの疑問に答えるべく日夜研究に取り組んでいる天文数物研究機関。ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。つまりその数式は、この宇宙、そして世界の設計図を描いた<何ものか>が存在する可能性を示唆していたのだ。悪戯のように思えるこの不可思議な出来事は、日本だけなく世界中23もの研究機関で発生していた。にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、<神の存在>にアクセスしようと試みる。そして、その日から現実は大きく変わることになる――。『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生きることの根源的な意味を問う〝いま読むべき物語〟の誕生。 「この世界は何ものかが創ったものだ」と証明されてしまったら、あなたはどうしますか?
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Posted by ブクログ
宇宙、科学、数学、物理学・・・
アインシュタインの相対性理論や、
苦手分野の羅列が続いて、何の話と思ったら、
とんでもないミステリー!
人類は何者かによって作られた。
そして10年後に消滅する!
十次元の世界って何?!
「夢だったんだ」とのおちかと思ったら、
とんでもない。
一人の命が助かったのは、ほっとした。
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『今のこの世界は、誰が何のために作ったの!?』
難しい数学や物理の話が出てくるが、わからなくてもなんとなく雰囲気を感じれられればOK。科学→宗教→SFへと展開していくので、人により好みは分かれるかも… 10次元の世界、自分には想像できないけど、本当にあったら言ってみたいな〜
Posted by ブクログ
山田宗樹先生の作品を読むのは『百年法』に続き二作目だけれど、フィクションに説得力を持たせるのが本当に上手だと思う。
本作は理論物理学によって神の存在を肯定する、という荒唐無稽な設定なのだが、作者の知識と文章力によって完全に説得されてしまう。
ストーリーを楽しみながら学問の面白さ、可能性も感じられる。素晴らしいSFだと思う。
Posted by ブクログ
『たしかにガリレオやニュートンは、宇宙の秩序の美しさに神を見ていたかもしれない。アインシュタインも、量子力学の不確定性を「神はサイコロを振らない」という言葉で批判した。だが、彼らが言及した〈神〉を〈自然〉と言い換えても、いわんとする意味は変わらない。アインシュタインが論じたのも、自然の仕組みに関してであり、創造主の趣味のことではなかった』―『第一部 第二章 クラウス実験』
ジョン・L・キャスティの「ケンブリッジ・クインテット」のような小説なのかと思って手に取ってみた。数学の定理や物理の法則をテーマにした小説は割と好きなジャンルの本。小説を読む面白さは、読みながら色々な思考の連鎖が頭の中で発火するところだと思っているので、余計なことを考えさせてくれる本なら尚良いと期待したのだったが、本書「存在しない時間の中で」はいわゆるジェットコースター小説と表現するのが適切な本。乗ったら最後、軌道を逸脱することは許されず終点まで振り回される。本当のところ、ジェットコースターは得意ではないのだけれど、一気に最後まで読まされる。
ブルーバックスなどの科学啓蒙書を読んできた世代としては、超弦理論や十次元空間などの設定にはある程度馴染みがある。AdS/CFT対応というのは何のことかと一瞬戸惑うが、一読しただけでは何のことかよく判らないネット上の解説をながめながら、ああなるほどそういう方面の話なのね、と一応心の準備は整う。ただし、そこから先の展開では余り数学的な話は出ては来ない。それが少し残念だけれど、この宇宙が〈神〉のような存在による「実験」に過ぎない、という設定を超弦理論で示唆される十次元の中に組立てているのは面白い。因みにこの「神の実験」的設定は案外ポピュラーなもののような気がするけれど、次元の繰り上がりで「外部」を規定するやり方は巧みだと思う。
次元が繰り上がる、というのは物理的には中々イメージし難いけれど、実は案外日常でも使われる比喩にも出て来る視点の転換。例えば「岡目八目」という言葉が意味するように、一歩引いた立場から眺めると物事は理解し易いということは経験的に誰しも実感していることだろう。アラビアの昔話とされる17頭の駱駝の分割や、三方一両損の大岡裁きも、議論の地平から一段上がった視点の有意性を示す逸話と見ることもできる。一方で、アリストテレスが考えたこの世の根本原理を司る哲学である形而上学もまた、次元が繰り上がる概念と言える。その「第一哲学」があってこそ自然の摂理「自然哲学(自然科学)」が成り立つという構図は、案外古くから人間の思考に染みついている考え方なのだろう。だからこそ、この本の舞台設定も違和感なく受け入れてしまうのだろうなあ。
ジェットコースターは苦手と言いつつ、案外色々なことを読み終えてから考えたところから察するに、本書を楽しんだということなのかなと整理する。と言いつつ、最後の最後で種明かしされる半分開いた扉のような仕掛けは、個人的には無くても良かったんじゃないかなとは思うのだけれど。
小説のプロットとは全く関係がないけれど、神と自然が置換可能な概念だとする一文にはっとする。
Posted by ブクログ
壮大すぎて。これは映画になるの?なったら面白いかな…
などと勝手に描きながら、ここはこうであーでと、読んでました。
4部の終章で落ち着くところに落ち着いて、スッキリしつつ〝あなた〟の生きたもう一つの世界、人生、それは私にもあるのか?ゾクッとしつつ、少しおもしろがったりした私です。ナツキや池沢美鶴の様に自分の知らない自分を教えてもらったら!!
Posted by ブクログ
またまた壮大なストーリーだった…。『人類滅亡小説』と似た感じと聞いていたけどこちらの方が好みだし読みやすかった。
この世界、むしろ宇宙が本当に神によって作り出されたものだったとしたら…という想像がとても膨らむ物語。
序盤が数学や物理学の話から始まったので理解できるか不安だったけど大丈夫だったおもしろかった。
自分の過去の出来事を数値にして公式にできたら未来のこともわかるのでは、という辺りはもうなんかなんで数字でそんなことわかるの?な文系丸出しの感想なんだけど数学って奥が深いんだね…?
今作を読んでよぎったのが、東野圭吾のガリレオシリーズのドラマで、湯川先生がなんでもかんでもトリックを数式で表してて、テレビ映えを意識してるのだろうけどこのトリックは数式いらんやろと思ってたけど本当にアリバイ崩しとかも数式で表せたのかな?ということだった。
Posted by ブクログ
神的な何かの存在と宇宙がなくなる世界滅亡の展開を組み合わせた筆者お得意の理系ミステリ
超弦理論とか何次元とか物理や数学の小難しい話も出てくるが、その辺は流し読みでもエンタメ作品として充分に読むことができた
Posted by ブクログ
「人類滅亡小説」と「宇宙からのシグナル」合体してスケールさらに大きく。何とも不思議な空気感…神の実在示されたら正、負真逆の行動とってしまう人間の業の深さ。それを見透かしたような「自我を持った生命体としての基準満たしていない」という結論。審判に向け精進しましょう。
Posted by ブクログ
親しみを感じる語り口調だと感じていたが、僕(平城アキラ)が書いた小説だったとは…突然「あなた」と呼ばれてドキッとした。自分の知らないもうひとつの世界や人生、あるかもしれない。
Posted by ブクログ
やはり山田宗樹のSFは壮大です!面白くて、先が気になりイッキ読みでした。想像しようとしても想像出来ない世界、宇宙の謎とは?誰が創造して、どうなって行くのか?答えのない謎に架空の解答を示してくれるお話でした。
Posted by ブクログ
たまたま三体暗黒森林と同時に読んでいたので頭の中でリンクしてしまった。
超弦理論は10次元。そのうち6次元は小さい領域に巻き込まれた結果我々の3次元+時間という次元がある。この宇宙は多次元の誰かが創造し、それを小説では仮に「神」としているが、10年後にこの宇宙は閉じられてしまう、というメッセージ。
結局その神のお告げのようになるのだが…それが存在しない時間の中、なわけです。
三体でも同じような次元の話が出てきており、こちらは光の速度をうまく扱っているが、本書では時間軸を入れた4次元空間をうまく使ってシナリオが成り立っている。三体と違って、「時間」の次元を理解(というか想像)できれば読みこなせます。ただ冒頭の数学の世界でギブアップしてしまうかもしれませんが、そこを軽く流せばあとは大丈夫。
Posted by ブクログ
数学物理学理論を駆使して世界を構築した物語。分からないけれど分かるような読み心地。神に似た高次元の存在とリセットされる世界。荒唐無稽な世界観だが全否定しきれないところに、じわじわと不安感が忍び寄る。
Posted by ブクログ
12月-17。3.0点。
ある大学の数学サークルに、謎の少年がホワイトボード23枚分の数式を記載していく。それは、宇宙の常識を変える数式だった。。。
SF+ファンタジーもの。数学の知識が無くても読める。サラッと読めたが、あまり心に残らなかった。
Posted by ブクログ
ガッツリ数学!という訳では無いが、最初に面食らう形で始まる。そこの眠気を抜ければ物語は転がり出すので、そこが1つの壁だったかな…。
数学に関してや、所々メタ表現もあり、小説としては苦手な表現だったが、最後まで読んだ時、それも含めて書いていたのかと、とても感心した。
キーワードとしてとある単語があったのだが、気になって検索してしまった。そのくらい、この本の物語が本当にあった事なのかな?と思いたくなる内容だった。
頑張って読んで、最後の最後で読んでよかった、腑に落ちた。綺麗に自分の中に落ち着いた。そんな物語でした。
Posted by ブクログ
ある日フラリと現れた青年が書き残した数式が、宇宙創世を根底から覆すものだった…!
真実に驚愕した世界のその後11年を描いた物理SF
ファンタジーテイストで馴染みやすい設定、時空間の存在を考察する作品です
Posted by ブクログ
宇宙は神が創造したのか--。日本の大学の宇宙論研究機関のセミナー室でのセミナーで、知らない青年が闖入してくる。そこで披露される数式が意味するところは、<神>の存在だった。数式の意味について、海外の著名な学者の仮説を実証するために実験を行った。そこで、人類は<神。の存在を認識する。我々宇宙の創造主<神> は言葉通り別次元で我々の4次元宇宙(3次元+時間)を生み出した。<神>は<光の人>を選び出し、<神>の言葉を伝える。その内容は人類にとって非常に厳しいものであった。そこから我々宇宙を救うための行動がなされる。
個人的な感想だが、最初は面白かったけれど、風呂敷を広げすぎたのか、結末が中途半端なような気がした。たくさんの謎が解決されていないように感じたのだ。面白くなるネタだけにそこだけが残念だった。
Posted by ブクログ
最新の物理学と数学を参照しながら「自由意志と決定論」を扱ったサスペンス。どうせオチは並行世界ってとこだろうと高を括っていたら「時間」を正面から使ったギミックになっていたのは良かった。数式に近い表現は多少は出てくるが、物理や数学のリテラシーまでは必要ないレベル。むしろジャンル的にはSFなのでSFに興味や耐性が無い人は厳しそう。
Posted by ブクログ
大学の研究室に突如現れた謎の青年。その時、研究室内では研究者同士で、全世界の論文を集めて、その発表会をしていた。次々とホワイトボードに書いていく数式。23枚に及び、その後すぐに姿を消した。残された数式は、度肝を抜くものばかりで、不備はあるものの、世界を揺るがすほどにまで発展していった。それは日本だけでなく、同時期に世界でも同じことが発生していた。やがて、「神」に会おうと、全世界が同時刻にあることをやろうと試みる。
読んでいて、ふと頭をよぎったのが、ノストラダムの大予言でした。その時も、あらゆるところで騒がれて、いざ当日を迎えると、特に何もないまま終了。
あの騒動は何だったんだろうと思うくらいでしたが、今になって思うと、別の次元では発生していたかもしれません。
そう考えると、あらゆる可能性や宇宙の無限など色んな想像を膨らませることができ、面白みがあるなと思いました。
謎の青年、謎の数式といった色んな謎があったのですが、特にその辺は深掘りすることなく、その時起きた現象を人はどう解釈していくのかが描かれています。
数式やブラックアウト、謎の発光といった不可思議な出来事にこれらは「神」からのメッセージとして崇められます。
研究者同士の会話なので、数学的や科学的など難しい言葉が飛び交いますが、何となくこういうことなんだという表面的な解釈で読んでみると、読みやすかったです。
「世界が変わる」と考えると、恐怖感があったのですが、どこかSFのような、どこかパラレルワールドのような感覚がありました。それはおそらく人々の暴走といったネガティブな描写はなく、不可思議な出来事に好奇心や一種の諦めといった印象が前面に出ている感覚がありました。
研究者の視点だけでなく、もう一つある主婦の視点が登場します。その2つがどう一つに結びついていくのか。
何かに縋りつきたい人、何かに惹かれていく人など限定的ですが、様々な人が一つの出来事をきっかけに変化していく姿が垣間見られました。
最後は、小説ならではの展開で面白かったです。もしかしたら人々の中に事実を知っていた人がいるかもしれません。
夢かもしれないし、現実だったかもしれません。
それらを嘘として処理するのは、面白くないので、色んな考えがあってもいいかと思います。
無限に広がったような感覚があり、楽しめました。