山田宗樹のレビュー一覧

  • 百年法 上

    不老不死の技術がある世界。人々は永遠の時をただ過ごしている。日々働き、食べ、恋心すら失いかけながら、それでも生にしがみつく。その生を断ち切るのが百年法。100年生きた者に死を強制する法律は、どんな問題を生み出し、そして解決するのだろう……。
  • 聖者は海に還る
    非常に読みやすかった。
    冒頭から、学校で射殺事件が起こるというものすごい始まりかただったが、メインはこの事件ではない。ここはもうちょっと膨らませられなかったのかなとやや疑問。
    テーマは、行きすぎた心理療法。環境に適切に順応させようというカウンセリングは、つまり環境を是としありのままの心を否定している...続きを読む
  • 百年法 下

    日本共和国で最高の権力を持つ大統領の気持ちも、百年法から逃れてなんとか生きながらえようとする弱い人間の気持ちも、未来の人を思う気持ちも、もうすぐ死んでしまう人を思う気持ちも、すべて同じ力で書いてある。 対象者は人類全てという、超すごいエンターテイメント作品。
  • 百年法 上

    不老不死がテーマの映画や小説は数あれど、
    もしそれが実現した時、様々な立場の人間がどう考えどういう行動に出るのかを
    ここまで緻密に論理的に感情的に想像し、物語を壮大なスケールで展開した作品は他にないだろう。
  • 聖者は海に還る
    催眠療法に関して、個人的に深く興味を持っていた為、内容が いつも以上に興味そそられるものだった。

    催眠療法を勉強してた高校時代の自分と子供たちを重ねつつ、今の自分と律の年ごろを重ね、彼女の包容力に感動したり…。

    潜在意識の領域は本当不可思議。潜ってみたい。
    著者の参考文献多い。読んでみたい。
  • 乱心タウン
    マナトキオという、壁に守られた超高級住宅街の中で次々に起こる不思議な事件。

    これか、続々と語られているけど、オチがつく人もいればそうでない人もいて。
    バカだなぁ、と思いながらも続きが気になるはらはら感もあり。面白い。
    映画とかになりそうな感じに住民が動いていくんだけど、それぞれが自分勝手で利己的で...続きを読む
  • 聖者は海に還る
    導入は衝撃的でしたが、最後はするんと終わって安心した感じ。
    もう少し長く深く読みたいと思えたので幸せな後読感。
  • 黒い春
    『松子』に続いて山田宗樹2作目です。ですが、この方私とても好みの文体です。なんだろう、淡々と書き綴られてるのですけど、気付くともう巻き込まれてるというか、文体が静かなんですけど、とてもリアルであるためか、その世界観に「満ち潮」のように沈み込んでる気分。もう、気付くと引き返せないほどハマってるんですよ...続きを読む
  • 聖者は海に還る
    人の心の中を舞台にした話。
    催眠療法という、特殊な設定が独特のおどろおどろしさを、生んでいます。
    いつ、話が動くんだ、最初からの伏線がいつ爆発するんだと読み進めながら結局良い話で終わる。
    ラストで逆に暖かい気持ちになれました。
  • ジバク
    おもしろかった!!
    救いようの無い転落人生なのに、希望が感じられるのは、貴志が前向きで、客観的には成功だと言われるような生活を失ってしまっても「仕方ない」と割り切ってしまっているからかもしれない。
    決して、幸せはお金の量と比例しないと感じられた。
    どんな状況でも人は生きて行くし、どん底だと思っても更...続きを読む
  • 天使の代理人(下)
    現在子どもが欲しい私には非常に
    心へガツーンとくる話でした。
    最後はイイ終わり方だったな~
    でも、マーヤは妊娠した友達にどのようなことをしてあげたのか
    謎だ~(私の文章理解力不足か。。。)
  • 天使の代理人(上)
    これとても男性作家が書かれたと思えないぐらい
    人工中絶のことにガッツリ入り込んでて、
    女性なのに全然知らなかった自分が情けなく思いました。
    でも色々考えさせられます。
  • ゴールデンタイム
    今の時代って、自由に生きることを強要されてます。
    それでも誰にでもシバリはあるし、できないこともある。自由に生きて大成功するなんて、よっぽどの努力と運とタイミングに恵まれた人だけ。自分のやりたいことが見つからないなんてのもよくある話。
    そんな息苦しい自由のなかでのもどかしさ、葛藤を書いた本だと思う。...続きを読む
  • ゴールデンタイム
    「嫌われ松子の一生」で、松子おばさんの遺体を発見し、第2の主人公として活躍した笙と、元彼女の明日香の物語。
    若者の自分見付けがテーマかな。

    今作もたくさんの参考文献を元に書かれており、演劇や医学の入門についても主人公達と共に味わうことができた。
  • 死者の鼓動
    脳死、心臓移植について、深く考えさせられた。
    移植の描写も細かく、目の前で手術に立ち会ったかのように感じた。

    ミステリーという要素は低いかな。
  • 直線の死角
    真相は最初からうっすら予想はついたが、それでも一気に話に引き込まれ、最後まで面白かった。
    名作!!
    「天使の代理人」と、この本で、すっかり山田宗樹ファンになった。
  • 天使の代理人(下)
    『私にとって中絶は、時間を超越した自死だったのかもしれない。』

    テーマは人工中絶。「人工中絶の是非」ではなく、あくまで「人工中絶」。そもそも1か0で判断できるテーマでないことは自明の事実であり、それを逆手に取ってこそのストーリー展開。考えさせられるっていうよりは、考えるきっかけを与えてくれる、そん...続きを読む
  • ジバク
    忘れたころに読み返そうと思う。ただ、忘れられるか?


    世の中には読んだことで後悔してしまうような本がある。悪い本という意味ではない。物語に引き込まれすぎて本で読んだ情景や、感情がトラウマになって残ってしまうのだ。
    そうなるとしばらくは、ことあるたびに虚構世界のことを思い出して、現実世界に居たたまれ...続きを読む
  • ジバク
    自業自得でどんどん落ちぶれていく。まさに「ジバク」という感じの本。

    1千億円を操るファンドマネージャーから奈落の底へ落ちていく。その落ちぶれ方が半端じゃない。

    自暴自棄になる前にこの本を読んだら案外希望を見いだせるかもしれない。
  • ゴールデンタイム
    嫌われ松子の一生の続編。やっぱり山田宗樹は面白い。

    嫌われ松子を読んで面白かったと思った人はまず読んで正解だと思う。

    「医師」という夢を持って邁進する明日香と、定職に就かずその日暮らしの生活を続ける笙。

    青春って大人になってからでもあるんだな。とても爽やかな小説だた。

    最後のういろう売りの場...続きを読む