梶山あゆみのレビュー一覧
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脳の常識がひっくり返った!
脳っていうと、左脳が論理や言語、右脳が直感をつかさどり、大脳皮質には言語野や視覚野など部位によって機能分担されている…ここまでは概ね合っているが、だとすると、それぞれの部位は、眼、耳、肌などそれぞれの器官と繫がって、それぞれの信号を処理する構造ができている…と思ってしまう。
これが何と大間違いで、どんな信号をどこでどう処理するかはハードコートされていない、成長した後でも変化することができるのだ。例えば、後天的に視力を失った人が、光学センサを肌につけて、触覚信号として脳に送ることで、視覚として認識できるようになることが既に実用化されている。触覚なので、視覚野では処理しないし、目からの化学反応とは別種別パターンの信号にも関わらず、である。
本書では、それをライブワイヤードと名付け、地球の誕生から長年を経て最適な構造に進化するために必然的なアーキテクチャだとする。
ライブワイヤードを仮定すると、上記の感覚代行(視覚以外が視覚の役割を担う)からさらに進み、遠隔の物質を体のように操作する身体拡張や、赤外線や地磁気を五感のように感知する感覚追加など、SFでしかなかったものが意外と近く実現できそうである。
また、ハードウェアについても、バイオミミクリーはこれまでも成果が上がっているが、可塑性を取り入れると進化のスピード、適応力、資源効率性が大きく向上する。クルマ、建物、宇宙探索マシンをライブワイヤードにすると、未来は我々の想像を超えてゆく。
このように、未来への期待が広がり、医療を進化させ、設計思想にも役立つ。新しい何かを作る人、多くに読んでほしい。
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Posted by ブクログ
脳は暗い頭蓋骨の中で、感覚器から届く情報だけを頼りにしている。視覚、嗅覚、触覚いずれの感覚も脳にとっては情報でしかない。その情報がどういう意味を持っているのかを探って理解するのが脳の役目。情報を読み解いて、最適な状態になるように脳の配線を常に変えているという。
例えば、目隠しをして60分程度過ごすだけで、耳の感覚が増すらしい。脳は眼からの情報が入ってこなくなったことで、眼に使われていたリソースを別の感覚に割り振った。たった1時間でこの現象が起きていることに驚かされる。
この他にもたくさんの脳の驚異と可能性について書かれていて、すべての経験は脳に影響していると理解し、いかに脳を育てていくか日々考えて過ごそうと思った。 -
Posted by ブクログ
ある程度理解するまでに三回ほど読まなくてはならなかった。恐ろしく長い時間がかかった。
・食事回数、量を減らす
・必須アミノ酸の摂取量を極力減らす
・野菜、豆類を沢山摂る
・運動する
実践すべきことを簡単に書いてしまうとこれだけだが、この本の良きところは実践法などではなく、老化や人生に対する考え方や見つめ方を変化させられるところだろうと思う。
読む前は老化が病気などと眉唾だとしか思えない。
だが、読んでしまえばその考え方が誤っていたと気付く。専門的な用語や解説がこれでもかと登場し、難解な部分もあるが、本書を読む、読まないとでは家族や自分の健康寿命に間違いなく差が出るといっても過言ではない。
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Posted by ブクログ
脳は汎用機。どんなセンサー・入力メディアからの情報も的確に処理し、出力できるという「ポテトヘッド」理論が面白かった。視覚も聴覚も、網膜や内耳で外部情報を受けた後、体内をめぐる電気信号は、脳にとって同じ。視覚がなくても、触覚、聴覚で映像をイメージできる。いままでコウモリとか深海魚とか、目が見えないのに、どうやって?って思っていたけど、少し理解できた気がしました。
それと、犬など色覚もイメージできるようになるというのも驚きました。
脳でロボットアームスを遠隔操作できるとか。。「攻殻機動隊2045」で描かれているのと同じ世界。。やはり、カラダ(入力・出力)は消えて、脳(意識)が生き残るのでしょうか。。このあたりは、先日読んだ長沼伸一郎先生の「世界史の構造的理解」に、カプセルに入ってストレスなく暮らす未来像が描かれていましたが、そこに近いのかも。
また、これも最近読んだ才能の科学に出てきたチェスのボルガー姉妹、テニスのヴィーナス姉妹の話も出てきてました。 -
Posted by ブクログ
すこぶるおもしろい!そして、有益と言えるだろう。
脳の持つ「可能性」についての新しい知見をいくつも紹介されている。AIは人間の脳を模倣するところから開発がなされるが「脳の構造」「脳の働き」「脳に対する捉え方」などがかつて無い新し研究が出てきている。シンギュラリティの実現はある意味遠のくという状況かもしれない。
本書の中で「感覚追加」という概念が紹介されていた。人間の脳の「潜在的能力」である。今まで考えられていなかった能力が脳には存在するとの説。5感までは理解されおり研究も進んできた。第6感という概念も馴染みだが、感覚追加という夢の話が現実のものとなるという紹介。
それに関連して身体の一部を失った人がその部分を司る脳の部分を別の機能に譲ることで新しい能力を得ることが紹介されている。視力を失った人が視覚野を聴力に渡すことで目の見える人が得ることのできない聴力を活用する能力を得るという紹介など...
(この著者の本は次が出たら是非とも読んでみたい) -
Posted by ブクログ
がん専門の臨床家か研究者による著作かと思いきや、なんと著者の専攻は心理学である。もちろん略歴にカルフォルニア州立大学サンフランシスコ校のがんセンター創立メンバーとあるから知見と経験は十分だろうが、本書の記述を見ても臨床データに基づく記述は限定的で、数理モデルに基づく仮説が中心だ。にも関わらず、著者の専門である「協力理論」を軸とした本書の扱うスコープは極めて広く、様々なアナロジーを豊富に含み非常に説得的である。がんに関する書籍としては最近では『ヒトはなぜ「がん」になるのか(キャット・アーニー著)』があり本書の内容もかなりの部分がこれと重複するが、そもそも「なぜがんはこれほどまでに扱いづらいのか」という根源的な問いに多角的な回答を試みる本書は、間違いなく最近の医学・科学読み物の中でも出色だと思う。ぜひ一読をお勧めしたい。
著者によれば。がんは我々が多細胞生物である以上不可避の現象である。我々が複数細胞による協力体制をとっているが故に、そこにつけ込む形で「裏切り」という独善的な戦略を採用しようとするインセンティブが否応なく生じてしまう。この「裏切り」という戦略そのものががんの本質であり、しかもこの戦略が「進化」という、多細胞生物のありようを規定するユニバーサルな原則に完全に従うものであるからこそ、がんは多細胞生物の存在に必然的に付随するのだという。著者曰く、「進化が形を得た存在、それががんである」。
多くの読者が抱くであろう疑問、「なぜがんは自らの宿主を殺すような進化を遂げるのか」「進化は多数の世代交代を要する長期のプロセスなのに、一生の間にがん細胞が進化するのはなぜか」に対し、著者は明快に「マルチレベル選択(個体と細胞の複数のレベルで自然選択が作用する)」説で応答する。つまり、細胞レベルと個体レベルでは最適行動が異なるのだ。このような前提に立つと、複数のサブグループからなる集団(メタ個体群)では、個々のサブグループ内では「裏切り」戦略が奏功し優勢となるが、そのようなサブグループは他のサブグループとの競合下では不利になるため、メタ個体群全体では「協力」戦略をとったサブグループが優勢となることになる。ここでいうメタ個体群を多細胞生物の集団、サブグループを個体と考えれば、がん細胞の「裏切り」戦略を組織的な「協力」戦略すなわちがん抑制メカニズムで抑え込んだ個体が生物集団内で生き残る可能性が高い、ということが帰結する。
このメカニズムは個々の細胞が最適行動をとる結果として付随(supervene)してくる一種の「集合的知性」に他ならない(なおこのがん抑制メカニズムは一般にはがん抑制遺伝子であるTP53を中枢に据えた一元システムなのだが、本書ではこの一元化がなぜ必要なのかが「見逃し」と「誤警報」の観点から説明されており面白い)。
ではこのような集合的知性は、個体レベルと細胞レベルの進化がどのように相互作用する過程で生じるのか。それは、細胞が自由に増殖し成長しようとする方向への力と、これを抑制し統制した形で系を維持しようとする方向の鬩ぎ合いによって、であるという。ということはつまり無秩序に増殖し播種しようとするがん細胞の振る舞いは、実は我々多細胞生物の正常機能である体細胞成長と損傷修復と同一直線上にあることになる。がんが抑制困難な理由がここにある。細胞の振る舞いを放任しても抑制し過ぎても不都合があり、この細胞の振る舞いを適切なレベルに抑制しつついかに発現させるかという、トレードオフへの対処が淘汰を受けるか否かの分かれ目というわけだ。著者は、このトレードオフは、一般的な哺乳類の父親と母親の遺伝子のタンパク質生成方針の違いが「ゲノム刷り込み」により子の遺伝子に保存されることにより生ずるとしている。
また著者は、がん細胞と生物個体の間のアナロジーを、それらの置かれた生活環境にも見出す。変化と脅威に富む環境に置かれ、短期的な生存可能性のため多大な資本投下を行う生物は多くの子孫を残す必要があり、結果として短いスパンで遺伝子変異を起こしやすい。逆に安定的な環境に置かれた生物は長期的な観点から投資を行うため、少ない子孫のためにその成長と成熟に多くのエネルギーを割き、遺伝子変異のスピードは遅い。これと同じことががん細胞にもいえ、抗がん剤や放射線による過大ながん細胞への攻撃は、却って遺伝子変異を通じた自然選択の機会の増加につながり、結果として耐性のある難治性の株を増やしてしまいかねない、とする。
さらに一筋縄ではいかないのが、協力戦略に対する「裏切り」をその本質とするはずのがん細胞が、がん細胞同士のクラスター内では協力し合うことでより環境適応力を高め、より浸潤と転移を容易にしているらしい、ということ。これも通常の生物に見られる「互恵性」「遺伝的近縁性」により生存に有利な遺伝子変異を持つ細胞が自然選択を受け増殖するというプロセスの結果なのだが、たとえば自らは有限の増殖しか行わずコロニー全体のサポートに回る「ヘルパー遺伝子」の存在すら示唆されるというから驚きである。がんが「裏切り者同士の協力」とも呼ぶべきある種の社会性を備えている可能性があるというのだから…。だからこそ、その治療にもこの特性を十分に考慮した方策がとらねばならず、たとえば治療に対するがん細胞の感受性を維持する「適応療法」などを採用すべき、と著者は説く。
冒頭で述べたように、本書の臨床的・実証的データは十分な量があるとは言い難い。たとえば終章の適応療法はほとんどが動物実験である上、臨床データもnが少なく統計的に有意であるとは到底言い難いものが紹介されている(PSA値が一定を超えた場合のみに抗テストステロン剤を投与すると前立腺がんの進展が抑制される、とした治験はn=11)。それでも、多細胞生物内に生じた「まつろわぬ細胞」であるがん細胞の本質に立ち返ることは、臨床家がより良い治療方法を長期的視野に立って模索するにあたって強力な補助線になることは想像に難くない。もちろん僕のような門外漢も、本書を読めばがんの本質についての理解が深まると共に、いつの日かがんを「飼い慣らす」治療が確立され患者とその家族にとっての福音が来ることを信じることができるのではないかと思う。 -
Posted by ブクログ
科学の飛躍的な進歩のおかげで、今では当たり前に使われているもの、行われていることや、出来事の起源が解明できるようになって来ている。
本書はそのような中から、17の事柄につき、それを最初に「誰が」行ったのかを、専門家の意見や証拠からストーリー仕立てで紹介している。
例えば、「はじめて何かを発明したのは誰?」、「はじめて火を起こしたのは誰?」、「はじめてカキ(貝の方:筆者注)を食べたのは誰?」、「はじめて衣服を身に着けたのは誰?」等々。
本書がユニークなのは、他の本のように、どのようにしてその事柄が始まった、発見された、等のプロセスにフォーカスするだけでなく、それを「誰が」行ったかまでを明らかにしようとしているところ。
そして、その「誰」に対して著者は文中で、その事柄にちなんだ名前を与え(例えば、衣服の項においては、ラルフ・ローレンにちなんで、ラルフとか)、その名前で「はじめて物語」を展開させていくのである。
もちろんではあるが、17の物語は前述のように、専門家の意見と各種の証拠に基づいたものであるので、著者の思い込みによる想像は極力排除されている。
とは言っても、本書にも記されているが、科学技術はこれからもさらに進歩すること、また、新たな証拠が発見されることにより、本書の説がひっくり返る可能性もあることも言及されている。
まずは、本書で17のはじめて物語を楽しんで、今後の新設にも期待することとした。 -
Posted by ブクログ
イラストがオシャレで可愛い。いかにして人種差別/男女差別が作られてきたか、社会的な構造に影響してきたかという部分を理論的に説明している。なんとなく学校や本でのざっくりとした歴史的人種差別(ジム・クロウ法やアパルトヘイト撤廃のくだり)については学んできたつもり、だった。実際は何十年ものの時間と共に偏見、経済的な負の連鎖、そしてそれを正当化する人々と文言が奴隷解放後も何百年も尾を引く結果を形作っていたのだ。
人種差別はいけない。多くの人がこれに賛同するはずだが、その"中身"をしっかり学ぶかそうでないかでその重みはずっしりとのしかかってくる。 -
購入済み
老化は病気である。今まで考えたこともなっかた。老化が病気であると認識して、きちんとそれにに対処すれば、老化をおそくしたり、健康寿命を伸ばせるということを膨大なデータと論拠をもとに分かり易く説明してくれている。少し値段は高いが読んで損はない本である。あとよりよく理解するためにすこし生物(遺伝など)の知識があるといいと思った。