梶山あゆみのレビュー一覧
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本書はワインにまつわる科学を体系的に扱うというよりは、エピソード集といった趣きが強い。農業や有機化学寄りの話になるので、免疫のない人は面食らうかもしれないが、読んでるうちになんと無く新しいワインの楽しみ方が見えてくるはず。自分の経験と聞きかじりの知識を詰め込む前にこういう本を読んでおくと、変な流行に惑わされなくなるかもしれない。例えば、本書のお陰でガチガチのナチュラルワイン教に入信せずにすめば、それ以外のワインを楽しく味わう余裕も産まれるはず。
ちなみに、個人的に面白かったのはブドウ栽培のチャプター。精密農業や灌漑制限など、作り手はここまで科学的エビデンスに基づいた取り組みを進めているのかと -
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まさか、こんなにひどい最期だったとは!体液を抜かれ、蒸し風呂に入れられて死んでいったベートーヴェン。水治療と称して、凍るような冷水を浴びせられたダーウィン。医学が未発達な時代には、病気の症状自体よりもはるかに苛酷で、奇想天外な医療が施されていた。現代医学に感謝したくなる、驚きいっぱいの異色偉人伝!(裏表紙)
『偉人は死ぬのも楽じゃない!』(河出書房新社)の文庫版。元が妙に安っぽい表紙なので、こっちのが見栄えが良い。
内容も、タイトルからしてそのまんまなゴシップ的なものだけど、面白かった。アメリカではヤングアダルト向けの出版物とされていて、まぁなるほどと納得できる。 -
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・西洋が世界の勝利者になったのは、西洋の思想、価値観、宗教が優れていたからではなく、
むしろ組織的な暴力をふるうことに優れていたからである。
・我が国の歴史の中で日本人ほど忌み嫌われた敵はいないだろう(ピュリッツァー賞受賞歴史学者アラン・ネヴィンス)
・原爆被爆者、峠三吉の詩「八月六日」 ”あの閃光が忘れえようか”
・原子爆弾の投下に「これは史上最大の出来事だ!」と喝采を叫んだトルーマンに対してある民主党党員が大統領宛に打った電報
「無辜(むこ)の人を死に至らしめる兵器に歓喜するなど、かりそめにもアメリカ合衆国の大統領たるもののなすべきことではない。
喜んだ理由が破壊ではなく、破壊に終止 -
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ウッドロー・ウィルソンのまさしくTPP条約ISD条項を彷彿させる発言。
「門戸を閉ざしている国々には、その扉を叩き壊してでも開国させねばならない……。資本家たちによって獲得された利権は、たとえそれに反感を抱く国々の主権がその過程で蹂躙されようとも、我が国の使節によって保護されねばならない」
これが1907年プリンストン大学総長時代の言葉であるとは。
19世紀末の相次ぐ恐慌がアメリカをモンロー主義を放棄させ、太平洋へと向かわせる。様々な紆余曲折を経ながらも、自由主義国は小さな国々の主権やそこに暮らす人々の暮らしよりも、資本家の財産権を優先させてきた。グローバリゼーションの動きは、TWOからFTA -
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テキサス大学の名物化学教師だそうで、難しい化学現象を擬人化するなどうまい例えで分かりやすい授業をし、ダイナミックな実験などでアメリカではメディアにも露出している有名人なのだそう。読んでいて「ビッグバンセオリー」のエイミーが喋っているのを聞いてるかのような感覚だった。
身近に溢れる現象について化学を使ってミクロレベルで解説するのが本書だが、松原隆彦先生のような物理学者が解説する本の方が分かりやすさ、面白さ、まとまりの良さでは上だと感じてしまった。周期表の素晴らしさも良く理解できるのだが、自分の頭では翌日には忘れてしまっているのが非常に残念…原子核内の陽子の数が原子番号だと、何回聞いても覚えられな -
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恐竜絶滅時、ポンペイの大噴火、黒死病などなど、歴史上でももっとも過酷な環境をどうすれば、生き残る事ができるのか?という題材を現代科学で検証していく内容。具体的な逃走経路や安全な場所が記述されているので、今後の役にも立ちそう。
作中でも、最大級の災害。恐竜を絶滅させてユカタン半島の隕石でも、インドや東南アジアエリアなら助かる可能性があるというのは有益な情報。基本的に時系列で解説してくれてるので、来る氷河期は、マンモスを狩り、ピラミッドの工事現場に従事させられた際は運ぶ石の近くでの作業はやめる事。あと、ナイル川の寄生虫にも注意。ポンペイ火山噴火の際はナポリへ向かえ。
よし、これだけ覚えてたら万 -
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白黒猫サイモンの成長譚であり、揚子江事件(アメジスト号事件の話でもある。
中国からの砲撃をくらい、死傷者もたくさんいて、食料も燃料も減っていくなか、逃げることができずに100日間も揚子江に放置されたアメジスト号。子供と言ってよい年齢の若い船員達はどれほど不安でどれほど恐ろしかっただろうか。猫のサイモンが、どれほど皆の心を勇気づけただろうか。そりゃ勲章に値するよ。
サイモンが子猫なこともあって、猫のことを、知ってる猫も知らない猫もすべてひっくるめて、「ぼく」と表現するんだけど、猫宇宙とか猫曼荼羅という、全ての猫は一であり全であり、また全であり一である、みたいな概念に近くてよかった。全ての猫は過