松岡正剛のレビュー一覧

  • フラジャイル ――弱さからの出発

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    これ以上はない、もしくはこれより弱々しい本はない。記憶は日々、割れるものだ。読むことは、開くたびに運ばれる小舟だ。

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    2026年09月16日
  • 本の自叙伝

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    『本はね、いつだってロマンでもテロルでもあり続けるんですよ』
    私の中で読書というものが花開いた、あるいは芽が出た、グッと自分の身体の真ん中に来た、そういう感覚になったのは松岡正剛に出会ってからだと思う。
    松岡正剛が亡くなった。情報としては知っていたが、自分に腹落ち、腑に落ちてなかったのだろうと思う。
    この本を読んで実感が湧いて来た。
    悲しくもあり、人生を終えた一人の先輩に対しての穏やかな気持ちにもなった。
    何となく、松岡正剛に対して一区切り、という感じ。
    恐らく書ききれなかったこともあるだろうと思うが、一つの生命の終わりでもあるが、また何か、誰かの始まりでもあると思う。
    著作を全てを読んだわけではないけれど、そして、これで松岡正剛を読むのは終わりというわけではなく、また出会いに行くだろうとも思う。
    人は死ぬ。でも終わらない。
    私には確かに松岡正剛から受け取ったものがある。誰が何と言おうとそれは私の中と縁と周辺と外側にある。
    色々な本、書物、書籍、テキストの結節点や分岐点に立っていた。これからも墓碑が傍らにあるだろう。
    編集は終わらない。安らかに。

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    2026年08月27日
  • フラジャイル ――弱さからの出発

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    本誌p159で、正剛先生が『劣等感』の定義について語るくだりがあります。
    結局のところ自分はこの部分を読むためにこの本を手に取ったのかもしれません。

    著者は、劣等感は自分の弱さの自覚によって生じる訳ではなく、むしろ強さへの過信や期待、「ひょっとしたら(上手くいくかもしれない)」という高揚がなくては生じないと言います。
    こうした高揚は現実ではあっけなく裏返り、それに人は恥じらいを感じ、そうした経験が幾度となく繰り返され劣等感が育つのだと語られました。

    上記の内容は本誌で語られる『フラジャイル/弱さ・弱々しさ』の一部分です。
    強さの理論に支配された現代社会を生きる上で、気付かなくてはいけない何かがこの本にはある気がします。

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    2026年04月05日
  • 世界のほうがおもしろすぎた

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    本書は、朝日新聞のシリーズ「語る-人生の贈りもの」(2024年3月掲載)のために行われたインタビューをもとにしたもの。松岡さんが亡くなられてから、松岡さんの生涯の活動をまとめたものが出ることを期待していたが、その期待に十分応える内容で、実に刺激的だった。

    昭和19年、京都の呉服屋の家に生まれた。終戦後、東京日本橋芳町に移住し、有名な芸者がいた置屋の前に住んでいた。小学3年生の時に京都に戻った(四条室町)。小学5,6年の時から昆虫採集と鉱物、化石採集に夢中になり、また友達と電気クラブをつくった。中学では郷土部に入り、その後、名前は科学部に変わった。高校入学前に横浜元町に移住した。東京の九段高校に通い、出版委員会で新聞をつくり、活版印刷の行程や編集作業のおもしろさに目覚めた。後に別冊宝島をつくることになる先輩の鈴木(石井)慎二が早稲田大学に入り、引っ張られて大学でも新聞部に入った。一方で、量子力学や相対性理論に関心を持ち、アインシュタインの全集を読み込んだり、サークルのアジア学会に入って、松田寿男の顧問を受けたりした。

    大学4年の時に父親が亡くなり、多額の借金を相続した。借金返済のためにPR通信社という広告代理店に就職し、東販から話が来た高校生向けの読書新聞を担当した。借金返済が終わった頃、雑誌づくりを持ちかけられ、工作舎で「遊」をつくることになった。

    1982年に「遊」を休刊して、松岡事務所を設立し、講談社の日本美術文化全集「アート・ジャパネスク」の編集をしたり、電電公社の民営化に伴う顧客へのギフトとして「情報の歴史」(1990年完成)を製作した。

    1994年、世の中から少し撤退するために、自分のやることに関心を持ってくれる人にだけ伝える小さなメディア「一倒半巡通信」を発行し始めた。2000年には、情報をとことん編集するウェブ「編集の国」を立ち上げた。インターネットは情報をフラットに集めるだけだが、専門家は類推力を働かせて関連付けた情報を集める。そのような情報探索ができるブラウザをつくれないかと技術者たちと議論もしていた。すべての編集をごく小さなカード上のフォーマットに落として、それをやり取りできるようにした。Twitterを先取りしていたようなものだったが、スペックが重すぎて1年ほどで終了した。読書の経験を相互に交換できるようものについては、別のシステムを開発した時に、「本座」として形になった(p.252-257)。「千夜千冊」は、「編集の国」に人を呼び込むためのコンテンツとして始めたもの。

    同じ2000年に発行した「知の編集術」に取り入れた「編集稽古」を使って、編集を教える「編集学校」を開講した。2003年からは、日本論をテーマにした「連塾」を開催した。その前には、リチャード・ワーマンの「情報選択の時代」(1990年)を監訳したことをきっかけにして、1992年にアメリカのTEDに呼ばれている。

    「アート・ジャパネスク」で編集の対象として日本にあるものに関わっている間に、日本が方法そのものの国ではないかと思い、「日本という方法」「方法の国としての日本」を提唱するに至った。「もどき」「なぞらえ」「あやかり」といった近寄りつつ離れていくような方法が、日本文化では多重多層に使われている。大陸から同時に入ってきたものを組み合わせるだけでなく、かなや国風文化などの新しいものも生み出してきた(p.343-350)。

    進化論、脳科学、宇宙論の3つのテーマについては、10年おきに総ざらいをしてきた。

    数寄とは選別で、「これ」というものをより分けていって、最後にひとつを残すこと。松岡の編集でもそれを大事にしていた。東は当番があり、役割が順番に変わる番の文化だが、西はチームをつくってみんなで事に当たる衆の文化。

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    2026年03月26日
  • 多読術

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    “まず言っておきたいことは、「読書はたいへんな行為」とか「崇高な営み」などと思いすぎないことです。
    それよりも、まずは日々の生活でやっていることのように、カジュアルなものだと捉えたほうがいい。”

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    2026年02月20日
  • 知の編集工学 増補版

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    著者が提唱する編集工学を、本書で公開して、具体的な編集方法を列挙する。とはいえ、本書で語られるように、決して堅苦しい手法ではない。むしろ子ども頃に行った連想ゲームをもとに、さまざまな材料を自由自在に組み合わせる、というようにある種の遊び心で編集する。一見無関係な事象に対してちょっとした工夫を凝らすと、実は意外な発見がある、未知のものを創出できるのである。

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    2026年01月18日
  • 日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く

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    私の読書の動機は言葉との出会いが主たるものなのですが、この本はディープでした。これまで読んだ本とは異質の出会いがたくさんです。こういう方面も面白いですね。って、ジャンルなんかあるのかな?w

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    2025年11月23日
  • 世界のほうがおもしろすぎた

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    松岡正剛という人を知らなかった。この本を知ったのは何かのショート動画だったと思う。彼は亡くなっていて、この本は生前の歴史を自伝的に振り返るインタビューだった。

    平成に活躍する文化人達を繋ぎながら、自らがやりたいことを抽象的にも具体的にも語れる人で、「人に見せられる」「説明できる」ことを重視している。

    変わっていくこと、変わっていかないことに関する功罪を議論する。変わらないことを望むアイコン化こそが崇拝や極端なこだわりに繋がる。

    ビジネス書のようにも読めるし、カルチャーを物語る歴史書としても面白かった。

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    2025年11月01日
  • 世界のほうがおもしろすぎた

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    生前のロングインタビューの他、未発表の原稿もいくつか。本当に偉大な業績をのこしたものだと思うし、いっしょの時代を生きたことに感謝。

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    2025年09月25日
  • 世界のほうがおもしろすぎた

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    本書を読んで確信した事がある。

    「もし松岡正剛が編集者であるならば、世界中の編集者は編集者ではない。もし、世界中の編集者が編集者ならば、松岡正剛は編集者どころではない。」

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    2025年09月21日
  • 日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く

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    8月は日本という国を学び直したくなる。本書は古代・神話の時代から現在のSNSや地下アイドルの活躍まで、時代や地域を問わない一本とおった筋みたいなものを浮き上がらせてくれる。侘び寂び、粋、コメ信仰など、日本独特の思考・嗜好がどこからきたのか。和を尊ぶ国でありながら、異質性に憧れ、取り入れて独自の文化を作ってきたことなど。松岡さんの本は難解というイメージだったが、これはとてもわかりやすかった。

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    2025年08月24日
  • 知の編集工学 増補版

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    知の編集工学とは知のマップを創ることであり、それは本のネットワークを構築してブックガイドを創ることである。
    それはまさに松岡正剛氏が千夜千冊でやっていることである。

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    2025年08月10日
  • 千夜千冊エディション サブカルズ

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    作者の興味の広さと深さには本当に驚く。サブカルをとりあげたこの著書で更に驚く。社会をみる観点の広さと面白さ、掘り下げの深さ、これが一流の編集の力か。

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    2025年08月03日
  • 多読術

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    「わからないから読む」「無知を未知に」「読書は編集である,交際である」「本はノートである」「現状の混乱している思考や表現の流れを整えてくれるもの→整流」「すべての思惑も論理も表現も行動も連想で組み合わせられている」「キー本」「類は友を呼ぶ」「悪所は良書、良書は悪所」「狩野亨吉」「Google型の検索社会は私たちの連想力を落としている」「音読が黙読に黙読がデジ読に」「ナイーブ,フラジャイル・リーディング」

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    2025年08月01日
  • 日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く

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    この本、素晴らしい
    松岡正剛先生、アタマ良い(誠に、まことに僭越なもの言いですみません…)

    筋が通っていてウィットもあり読みやすい

    「私は、なんて無知だったんだ…
     なんて日本の文化は素晴らしいんだ」と思わせて頂き、

    (また、この本とは直接には関係ないのかもしれないですが)
    「私は生まれ変わっても、
     この“水”に恵まれた、素晴らしい国土の日本に生まれたい。
     水源を他国民に売るなんて、なんてバカなんだ」
    などと、さまざまなことを思わせて頂けて勉強になる… 感謝です

    ※さらに、これは私の無知で偏見かもしれないのですが、
     "キラキラ・ネーム"って、どんな付け方をしておられるのだろう?
     (私も知らないでいたことを棚に上げて誠に不遜ですが)
     日本の歴史からすれば、(歴史を知って振り返る範囲で、という意味での)
     ずっと知的で意味のあるネーミングって、
     既にたくさんあることを垣間見ました…
     野口悠紀雄さんの"悠紀"なんてのも、そうだったのですね…

    逆に、"知らない"ということ、それだけ"のびしろ"があって、
    好奇心次第では、人生飽きることは無い、と、
    むしろ前向きに考えることも出来る、とも思いました…
    (むりやりな自己肯定 笑)
    しかし、返す返すも、こんな知識量と、分かり易く、好奇心を曳きだして
    くださりながら、読み進むことが出来る、これぞ名著だ!と、
    勝手に痛く感心しております。感謝。

    この本に紹介されている本の数々、私はまだ数冊しか巡り合ってこなかった
    不知を恥じ、これからおいおい、興味を持ってそれらの本に目を通していく機会を
    持ちたい、とも思っています。壮大な読書旅になりそうで、ワクワクします!

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    2025年04月08日
  • 日本という方法 おもかげの国・うつろいの国

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    日本とはどういうふうに立ち上がってきたのか。
    歴史、文化、建築、文字、文学、政治、宗教、ありとあらゆる知識を総動員して松岡正剛さんがナビゲートする圧倒的な知の渦の本。

    日本が、倭国から日本になったのはいつなのか、江戸とは明治とは、大正とは、

    日本のおもかげを探り、日本のうつろい方を探り、そこから現れる日本という方法。
    それは、一人の人間が親の影響から脱し、自己のアイデンティティーを再形成していく過程のようにも感じた。

    アワセ・キソイ・ソロエ・カサネ

    ウツリ ウツシ ウツロイ
    ウツとウツツのウツロイ
    一見何も見えないところに何かが見えてくること。
    つじつまの合わなさを感じること
    てりむくり

    「はか」が、ないことを「はかなし」と、無常さ、美しさまで感じられる感性。

    「日本という方法」

    その人の言葉を大事にすることで、
    その人の、おもかげがゆらっと動き、その人の心のうつろいが伝わってくる。そういうのを感じられる人でありたい。

    そんなこともぐだぐだ考えさせられる、とても面白い本でした。

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    2025年03月22日
  • 知の編集工学 増補版

    匿名

    購入済み

    もはや錬金術では

    松岡正剛の文は、いつも明晰で、理路整然としている。
    地に足をつけ、私みたいなおつむゆるゆる読者にもついて行ける論理展開。
    でも熱い。
    さまざまな事象が、松岡の掌中で化学反応を起こして熱を発しているのだと思われる。
    編集とは、素材を切ったり貼ったり並べ替えたりして、読者視聴者に提供することだと思っていたのだけれど。
    この話でも最初はそういう話をしていたような気がするのに、
    気がついたら、あらゆる境界を越え、目の前の世界を変容させ、受け取るこちらも変容させていく、そういう作業をさす言葉になっていた。
    しかもすこぶる実践的。
    夢中で読んでいるのに、動きださずにいられない気分にさせられる本。
    化学反応に巻き込まれて、熱を発していたのだと思われる。

    #アツい #深い

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    2025年03月16日
  • 昭和問答

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    『日本問答』『江戸問答』『昭和問答』とつづいた二人の対談シリーズは、松岡の死とともに終わりを告げた。

    なぜ競争から降りられないか?国にとっての独立とは?人間にとっての自立とは?という3つのリサーチクエスチョンに対し、苦海浄土やゴジラを引っ張ってきて、連綿とつながる歴史を織り交ぜた認識は、2人の知に圧倒されっぱなしだった。
    エディティングステート/持続的編集力に期待する二人に、自分がどう向き合うのか?道はまだまだ続く。

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    2025年02月23日
  • 知の編集工学 増補版

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    私の人生のミッションには「英知の獲得」があって、継続的な目標として真理の探究というセンテンスを当てているが、本書で松岡氏が導き出した「編集」という切り口は、一つの真理ともいえる概念と言える。

    世界は複雑系で、真理として一つのシンプルな統一理論にまとめるには手に余る、というのが私の現時点での結論だ。もしかしたらシンプルな数式なり一文にまとめられるのかもしれないが、その極度に抽象化された概念から世界のすべての具体を理解できるように繋ぐ復号化を、人間の脳の記憶力、計算力で行うにはスペック不足なのではと思う。

    編集工学という、再現可能化させられそうな一つのアプローチを生み出し、研究していっているプロセスの片鱗に私はまだ衣を掠った程度ではあるが、その膨大な整理と紐づけ作業の必要性が見えてたじろいだし、未知という浪漫が薄まるような怖れもうっすらと感じる。

    ポジティブな面としては、「楽しむ」というのも重要なモチベーションであることだろうか。
    どんな楽しい行為も、自発的な目的意識を失った作業となっては楽しみは消えてしまうもの。
    しかし人間の脳に収まりきれない知の塊に、どのようにアクセスし、どのような回路で軸索を周囲のニューロンに繋げていくかという指向・思考・試行活動は至高の嗜好でもあり、個だからこそのクリエイティブな営みだ。好奇心に任せるというベクトルと、それを許す環境が揃えば、作業から遊びへと転化させられるはずだ。と、私はポジティブに転じさせた。

    本書を通してややがっかりした感覚を覚えた点としては、これだけの分野横断的な知の結晶の末であっても、世の中の多くの社会的課題の解決に至っていないという点だ。

    宗教対立や、厄介な病の克服、宇宙の始まりと終わりの解明、魂がどこから来るのか、資本主義の克服、エネルギー問題の解決、戦争の回避のような、そういった多くの解決したい課題がある中に、分野を横断する英知が化学変化を起こして新たな1を生み出す効果があるのではないか、はたまた、これまで誰も思いつかなかった学問の組み合わせによる画期的なアナロジーの活用によって社会的課題を解決する糸口があるのではないか、そういった仮説を、半ば夢のように願っていたのではあったが、世界を変えるほどのアクションにまでは届かなかった。
    松岡氏ほどの知の巨匠をもってしても。

    あるいは、その知の結像の果てに選ばれた行動原理は、社会的課題の解決に尽力する、という以上に、まずはその火種を生み出し、諸分野の各専門家にその火を分けることだったのかもしれない。

    知れば知るほどその深さ広さに気付き、さらに手を伸ばしたくなる。惜しくも昨年2024年8月に亡くなられてしまったが、松岡氏のこと自体もまた興味の一対象となった。

    自分なりの編集にあたる答えを探っていきたい。

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    2025年02月10日
  • 日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く

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    大和、ヤマトは山の門(やまのと)
    歴史は言葉で作られる
    世阿弥の物学(ものまね)、「まねび」を稽古することをもって「まこと」に近づいていくことを「まなび」とした
    日本的モードをあらわす言葉、風、様、流、式、派
    日本人の表現性は、和歌、俳句から新聞や週刊誌、テレビフリップまで、すこぶるヘッドライン的
    日本文化にまうわるコンセプトやキーワードこそが日本社会を探究するための用語になったほうがいい
    景気も経営ももとはアートの用語、語源はラテン語のアルス(技芸、方法)
    日本文化の精髄は「おもかげ」を通すことによって一途に極められ、「うつろい」を意識することによって多様に表象されてきた
    清沢満之の二項同体
    面影を編集してきた日本

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    2024年08月01日