あらすじ
考える力をみるみる引き出す実践レッスンとは?いいかえ要約法、箇条書き構成、らしさのショーアップなど情報の達人が明かす知の実用決定版。
私の好きな読書法──私はしばしば「目次読書法」という読み方をする。本をペラペラめくってしまう前に、比較的ゆっくり目次を眺めるのである。……そして目次をよみながら著者が書いていそうなことを想像する。むろん勝手な想像であるのだから、あたっていなくともよい。こうしておきながらやおらパラパラとページをめくり、自分の想定とのちがいを見る。そうすると、最初に想定したことが多少はあたっていたり、まったく予想はずれになることもあるのだが、その想定距離と実測距離との差異が読書を加速させ、立体化させるのである。……鉛筆やボールペンで本のページをマーキングすることも多い。……マーキングのしかたにはだいたいルールがあって、重要箇所を囲むばあいの線の種類や、固有名詞と概念名詞を区分けするマークや、あとでその1冊をさっと見て思い出せるようにしておくマーキングなど、いろいろ用意してある。──本書より
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知の編集術
著:松岡 正剛
紙版
講談社現代新書 1485
編集という言葉を、広範にとらえ、情報を加工し、人々とコミュニケーションを行う手段として捉えています。
情報をどのように取り出し、編集し、さまざまな局面にいかすようにできるかを、編集術といっています。
気になったことは、以下です
・編集には、堅い編集と、柔らかい編集とがある
堅い編集 印刷やVTR,コンピュータの機能や属性を活かした編集
柔らかい編集 人間の感覚や知覚、言葉やしぐさ、行動によって理解されたり、伝わっていく編集
・編集の基本的な技法、地、図、がある
地:情報の地模様
図:情報の図柄
・情報の解決の糸口は、幾つもの主題を結び付ける「あいだ」にあって、その「あいだ」を見出す「方法」こそが重要である
・カイヨワの遊びの4分類
①アゴーン:競争
②アレア:サイコロ遊び
③ミミクリー:真似
④イリンクス:めまいをともなう自己編集的な遊び、ディスコなど
遊びにつきまとう2つの状態
パイディア:興奮の状態
ルドゥス:忘我の状態
「面白いから、我を忘れて、興奮しながら遊ぶ」
・嘘の効用:欧米では離婚は難しい、離婚した夫婦は、夫から殴られたことにして、裁判所に訴える
裁判官も、わかっていて、それを認め、離婚を認可する これが効用である
・2つの編集術
コンパイル:ある法則性、相互関係性を保ちながら情報を加工する
エディット:自由な幅をもって情報を加工する
・編集とは、要約と、連想である
【要約】
・箇条書きにしてみる
・要点をつかむ
・プレゼンテーションスタイル 言明型のプレゼンテーション、暗示型のプレゼンテーション
・らしさのショーアップ⇒略図型原型をイメージする
ステレオタイプ:典型性
プロトタイプ:類似性
アーキタイプ:原型性
・要約編集のための6つのモード
①重点化モード ⇒ダイジェスト
②輪郭化モード ⇒ガントチャート、アウトライニング
③図解化モード ⇒図表化
④構造化モード ⇒システム図、フロー図
⑤脚本化モード ⇒シナリオ化
⑥報道化モード ⇒要約化
【連想】
・連想ゲーム、伝言ゲーム
・3つの連想化
①ひとつの事項から、たくさんのイメージ・オプションが想定される
②最初に浮かんだイメージがすばやく選択されている
③他人の提供した案に相乗りするしかない
・大切な「いいかえ」、同義性の拡張、意味のシソーラスつくり という
・12の編集用法
①情報を収集分類
②情報を系統樹やネットワークにする
③情報群をモデル化、シミュレーション化する
④情報を入れ換えして、意味を多発、もしくは、沈静させる
⑤情報の多様性にオーダやルールが生まれるようにする
⑥情報を年表、地図、図表にする
⑦情報群に引用、注釈を加える
⑧演劇や音楽などを編集する
⑨デザインや修飾をほどこす
⑩異文化コミュニケーションを可能にする
⑪ゲームやスポーツなどを作る
⑫遊びのための編集を行う
・編集八段錦
①区別する
②相互に指し示す
③方向をおこす
④構えをとる
⑤見当をつける
⑥適当と妥当
⑦合意を導入する
⑧語り手を突出させる
・ストーリ展開
①発端
②継承
③転回
④結末
・スクリプト、定番のプロット
①故郷からの旅立ち
②困難との遭遇
③目的の察知
④彼方での闘争
⑤彼方からの帰還
・未知の情報を、ブラックボックスから、推定する
①単語の目録
②イメージの辞書
③ルールの群
・知の略号、知の記号を、ツール群として活用する ⇒エディトリアル・ギア と称す
・対象となるテキストを、言語、記号、図解まじりの1枚のノーテーション(記号、略号をつかったもの)にまとめる
【結論】
1 編集は遊びから始まる
2 編集は対話から生まれる
3 編集は不足から生まれる
1 編集は照合である
2 編集は連想である
3 編集は冒険である
目次
はじめに
第1章 編集は誰にでもできる
第2章 編集は遊びから生まれる
第3章 要約編集と連想編集
第4章 編集技法のパレード
第5章 編集を彩る人々
第6章 編集指南・編集稽古
あとがき
編集稽古の原作と解説
ISBN:9784061494855
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2000年01月
2000年01月20日第1刷発行
2008年08月20日第17刷発行
Posted by ブクログ
『知の編集術』松岡正剛氏
1.購読動機
松岡正剛さんの著書だからです。
本屋にいくと彼だけのスペースがあります。
その書籍内容、タイトルの広さにまず関心がいきました。
一冊めがこちらです。
理由は、仕事を通じて文章を書く機会があるからです。
2.書籍のお得度
松岡正剛さんが知るところの編集とは?を定義から方法論まで開示してくれているところです。
3.こんな方にオススメ
松岡正剛さんに関心があるひと。
また、関心がなくても、文章を読むよりも書く方面に関心があるひと。
そんな方にはオススメです。
4.文章における分母と分子。
たとえば、彼はピアノがうまい。
この文章を
プロのピアニストのなかで
とするか?
会社員かつピアノ演奏家として、
とするか?
そう、主体の文章 分子にたいして、分母をどのようにするか?で、読み手の印象は大きく変化するということ。
5.最後に
松岡正剛さんの読書方法も記載あります。
だから、なかなか読み応えある書籍です。
#読書好きなひとと繋がりたい
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"松岡正剛さんの本。WEBに千夜千冊と銘打って、1日に1冊の書評を綴っている方。とにかくすごい人。千夜千冊も購入した。毎日少しずつ読むのが楽しい。本書は、
我々にとって必要な情報になることを知という。情報を知にしていくのが編集。編集の案内、知を動かすための入門書。"
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遊びと文化と
■遊びについて
ごっこ型、しりとり型、宝探し型
真似することで子供が大人になり覚える。
■スポーツについて。
例)サッカーとアメフト、ラクビーと野球
アメリカ型優秀な人が前に行く
ヨーロッパ型役割を分けて最後まで全う
考察)日本は近代国家樹立に際してドイツやイギリスを模範にしたため後者か。
■編集
コンパイル定義づけ
エディティング自由に情報を付与
■編集の種類
要約編集と連想編集
■2つの違い
ステレオタイプ典型性
プロトタイプ類型性
アーキタイプ原型性
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「1・編集は照合である
2・編集は連想である
3・編集は冒険である」
→情報と情報をつなぐときに大事なのは、まずふたつを比較してどこが似てるのか、どこが違ってるのかをチェックすること、すなわち照合することだよね。つなぐ相手は連想で探して引っ張ってきてもいい。時に、全然無関係に見えるものに対して大胆にジャンプしていってもいい。つまり冒険が必要なんだ。
「こんなことを書くと結論めくが、編集でいちばん大事なことは、さまざまな事実や事態や現象を別々に放っておかないで、それらの「あいだ」にひそむ関係を発見することにある。そしてこれらをじっくりつなげていくことにある。」
→男と女の「あいだ」には何がある? 日本とアメリカの「あいだ」には何がある? 平安時代と鎌倉時代の「あいだ」には何がある? さまざまなものの「あいだ」に目を凝らそう。
「編集術とは、われわれがどのように世界とかかわるかという「方法」に目を凝らそうという、いわば「気がつかなかった方法を気づくための方法」というものである。」
→そして「わたし」と世界の「あいだ」をつなぐには、そのための方法がある。それが本書に収録されている「六十四編集技法」。これは必見だ。
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第1章 編集は誰にでもできる
第2章 編集は遊びから生まれる
第3章 要約編集と連想編集
第4章 編集技法のパレード
第5章 編集を彩る人々
第6章 編集指南・編集稽古
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読んだだけでは分かったふりも難しい、編集術の哲学。
・方法が開花しているかどうか。
・編集はむしろプロセスにこそ生命がある。
・そもそも情報というものはじっとしていられない。また、孤立してもいられない。
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「知の編集工学」より後に出版された本書は、著者の掲げる「編集術」の方法がより具体的かつ体系的に説明されている。
ここに書かれている「編集術」を少しづつでも実践していきたい。
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印象に残ってるのは、オリジナリティにこだわると編集はできないという言葉。オリジナリティを疑うのが編集だと。
僕も正直、ガンガン人を真似ます。ただ、真似きれるほどの器用さがないので、その妙なブレこそ個性なのかなとか今は思ってます。
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テレワークで通勤時間がういたことで、“積ん読”本を読破中。おくればせながら、現代の“知の巨人”松岡正剛氏の著書を読むのはこれが初めて。
260ページほどの新書ながら、盛り込まれた数々のノウハウは膨大だ。出版物の編集だけでなく、ビジネスや日常生活のあらゆるシーンで使えそう。64種に分類された編集術は、さまざまな視点の宝庫。”お題”を解くのに思考が固まってしまっとき、別の切り口を探すのによいかも。
ノウハウ本のようでいて、正解が書いてない箇所も多い。おそらく、ビジネス書におけるドラッカーやシュンペーターの本のように、年齢や積み重ねた経験で違った読み方ができる一冊だ。
それにしても、ロシアのエリツィン元大統領を軽くいなした米原万里さん…。赤ら顔のエリツィンのがっかりした表情を想像して、冒頭から大いに笑わせられた。
Posted by ブクログ
松岡正剛(1944年~)氏は、本好きで知らぬ人はいない有名サイト「千夜千冊」(2000年~/最新で1739夜)で有名な著述家。編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長。
本書は、松岡氏が提唱する「編集術/編集工学」について、入門書的に書き下ろされ、2000年に出版されたものである。
松岡氏の使う「編集」という言葉は、我々が普段使う定義と異なり、非常に大きな範囲を含むもので、直感的になかなか理解しにくいのだが、本書の前半で、そのポイントは以下のように説明されている。
◆人間が言葉や図形や動作を覚え、それらを使って意味を組み立て、人とコミュニケーションをすること、その全てが「編集」である。従って、普段の会話にも、学問にも、芸能や料理やスポーツにも、「編集」という行為が働いている。あれこれの情報が「我々にとって必要な情報」になることを、普通は「知」といい、情報をそのような「知」にしていくことが「編集」である。
◆「編集術」とは整理術ではなく、情報を創発するための技術である。創発とは、それぞれの場面で巧まずして出てくるクリエイティビティのようなものであり、予め準備しておく「編集」も大事だが、その場に臨んでますます発揮できる「編集」力こそが、最も重視される創発的な技術といえる。
◆20世紀に、我々人間はだいたいの「主題」を列挙することはできたが、それらを解決することはできなかった。21世紀の課題は、いくつもの「主題」を結び付ける「方法」を考え、それによって「主題」を解決することである。そうした意味で、21世紀は「方法の時代」といえる。
◆「編集」で一番大事なことは、様々な事実や事態や現象を別々にしておかずに、それらの間に潜む関係を発見し、それらを繋げていくことである。そのようにモノやコトを見ることを、編集工学では「関係の発見」、「新たな対角線の発見」と呼ぶが、このような方法こそが、これからの人間の認知や意識の仕組みにとっても、産業界や教育界にとっても、また自分の創発的な能力を開発するためにも大事である。
そして、第2章以降では、「編集は遊びから生まれる」、「要約編集と連想編集」、「編集技法のパレード」、「編集を彩る人々」、「編集指南・編集稽古」と、編集術/編集工学、更には編集的世界観が、様々な観点から語られている。
松岡氏のキーワードである「編集(術)」について、コンパクトにまとまった一冊である。
(2010年7月了)
Posted by ブクログ
様々な場面にひそむ「編集」という行為。その「編集」というものを取り出し、意識的になり、方法論として取り入れると、こんなにも世界は面白くなる!そのような本。常に手元に置いて、事あるごとに参照したい。
Posted by ブクログ
あらゆる情報を自分たちの役に立つようにしていくことを編集という。
人間の歴史は情報の歴史であり、編集の歴史。
編集で最も大事なことは、事実や事態や現象のあいだにひそむ関係を発見しつなげていくこと。
これは読書についてもいえることであり、
網目のようにつながっている単語と単語、文と文、本と本のあいだの関係を連結させていくことだ。読めば読むほど面白くなる。連結が強化され深くなり拡がるからだ。
Posted by ブクログ
【ノート】
・松岡正剛さんについては、今までほとんど知らなかったが、日本を代表する知の巨人の一人と目される人。この本は、彼の「情報」に対する接し方についての基本的な考え方や具体的な方法論が述べられており、とても面白い。「読書術」のヒントであり、「ノート術」のヒントでもあるし、企画を発想したり構成したりするヒントにもなる。
・「編集」というのが重要なキーワードになるのだが、どちらかと言えば「編集」というのは本体に付随するオマケ的なもの、と思っていた。しかし情報をインプットしてアウトプットする時、そこには必ず編集というプロセスがあると。人間のあらゆる行為を、ほとんど何でも「編集」と言ってしまっていいほどの話だが、本書では特に知的作業における「編集」をパターン化し、類型化し(まさに「編集」)、例題付きで解説してくれる。
・編集用法の解説の箇所で「まず、とにかく収集」してから「分類」して「系統」化して「意味」を明らかにしていくというくだりは、D.アレンのGTD本の記述を想起させた。
・個人的には、今の講談社の表紙よりも、昔のバラエティに富んだ時代の表紙の方が好き。中古でもかなり出回ってるんじゃないかと。
Posted by ブクログ
重厚な書評ブログ「千夜千冊」で知られる情報文化学者の著者が「編集」という行為について語ったもの。
ブログの縦横無尽な引用、相互に関連づけられた本は知の体系というべく、これぞ知識人!といった風格があります。
白髭におおわれた風貌も含め、古き良き学者そのもの。
◯編集の裾野はそれくらい広いのだが、それを一言で言うのなら「コミュニケーションの充実と拡張に関する方法」というものだ。
◯そもそも人間の歴史は編集に始まっていた。直立二足歩行をして脳を肥大化させて言葉を喋り始めた時に、もう編集の冒険は始まっていたのだ。むろんそのあとの神話時代も編集だったし、ローマ帝国も漢帝国もキリスト教も、情報をどう編集するかということで世界観を特定しようとした。…ブルネレスキのギリシア回帰やマルシオ・フィチーノのプラトン回帰とは、いまではそれを古典復興(ルネッサンス)とか人間復興(ヒューマニズム)と呼んでいるが、それまでの歴史の総体の再編集を試みるということだったのである。
◯私はしばしば「目次読書法」という読み方をする。本をペラペラめくってしまう前に、比較的ゆっくり目次を眺めるのである。…そして目次を見ながら著者が書いていそうなことを想像する。むろん勝手な想像であるのだから、あたっていなくともよい。
Posted by ブクログ
松岡正剛の本は、いろんなイマジネーションがでてくる。
編集の考え方が、あらゆるところに、関連しているという。
編集は、「遊び、対話、不足」から生まれる。
編集は、「照合、連想、冒険」である。
編集とは、「コミュニケーションの充実と拡張に関する方法」
編集は「文化」と「分脈」を大切にする。
編集はつねに「情報の様子(しぐさ・くせ)」に目をつける。
編集は日々の会話のように「相互共振」をする。
編集には「堅い編集」と「柔らかい編集」がある。
21世紀は、「主題の時代」ではなく、
「方法の時代」である。
主語ではなく、述語の時。
「ごっこ」
「しりとり」
言葉遊び、しゃれ、
「たからさがし」
複数のメンバーがそれぞれの知識を持ち寄るところがミソ
編集的連続性
「われわれはたったの5分間で、
注意・観察・知覚・認知・認識・連想・表現といった行為を、
あるいはまた、記憶の再生・知識の喚起・判断の
変換・表現の試み・発話の決断などという
一連の行為をし続けているのである。」
情報の編集能力がある。
仕事の編集能力がある。
Posted by ブクログ
編集は遊びから生まれるという概念がおもしろい。子どもの遊びは、ごっこ、しりとり、宝探しの3つに分類でき、それぞれ、模倣、言葉やイメージのつながり、ヒューリスティックな思考を学習するための基礎になっている。カイヨワは遊びをアーゴン(競争:スポーツ)、アレア(運)、ミミクリー(真似)、イリンクス(忘我、夢中)の4つに分類した。編集の本質は遊びにあるというのは大きな発見だった。
出版界の編集者のほか、武満徹などの作曲家、ビートたけしなどの芸人、古館伊知郎といった面々を編集の名人としてあげている。
<技法>
・12の編集用法
・64の編集技法
・編集12段活用
・編集8段錦
Posted by ブクログ
編集工学研究所の方の本。編集とは、情報より意味・価値のあるものを作り出すこと。遊びだって、ルールだって編集。要約と連想。様々な技法の紹介。
なんども読んでじっくり身についていく感じの本。
Posted by ブクログ
著者は編集を「関係の発見」とか「新たな対角線の発見」とか、物事の「あいだ」をとらまえることだと語る。フランスの文芸批評家ロジェ・カイヨワ氏との逸話は編集者にみられる話題が飛び飛びのようで実はすべて繋がる「あいだ」の美学を象徴する。とはいえ本書は語りたいことを散漫に書き連ねている印象を拭えない。読者にとって読み難く混乱する。著者の文脈や表現に対する大いなる拘りは好みだが「編集術」をこの本に生かすべきだったかもしれない。
Posted by ブクログ
「編集」をもっと広い視点で考えてみたいと思い。スポーツのルール、話す時のジェスチャー、日常会話…私たちはあらゆるところで「編集」しており、本書はその「方法」を取り出してみようというもの。難解だったけれど、例えば編集と子供の遊びの話、連想法の話、情報の地(何かの上に乗っている情報)と図(その情報が置かれている状況)の話は分かりやすく、とても面白かったです。
大量の情報を、どうやって結びつけて分かりやすくするか?/面白くするか?というのは、ずーっと昔からの課題なのだと思う(ヴァネヴァー・ブッシュの「ハイパーリンク」を思い出した)。これからはますます、どんな仕事においても、「編集的」に、結びつけたり、引っ張ってきたり、頭を遠くへ飛ばしたりして考える必要性が出てくるのかも、と思いました。
自分の中で理解しきれなかったから、いずれもう一度読もう…。
Posted by ブクログ
借りたもの。
「編集術」の本。人間が世界を認識するのは情報処理、「編集」によるものと指摘。
日常、子供の遊び、何気ない会話など、その全てに編集は関わっている。
人とのコミュニケーションには、情報の編集が大きく関わっていることにも気付かされる。
後半は「編集」の実践的なレクチャーまで。例題が多様で楽しい。
わかりやすく、読み応えもある一冊。
Posted by ブクログ
著者が提唱する「編集工学」の基本的な発想とそのテクニックを、分かりやすく解説した本です。
編集工学的世界観と編集術の間に明確な区別を設けることなく両者を説明しているところに、本書の特徴があります。編集工学は、世界を情報の集積とみなし、私たちが世界の中でおこなっているあらゆる活動を、情報を切り取り、つなぎ合わせることで、新たな意味を作り出していくプロセスとして捉えます。
具体的なテクニックを学ぶための本というよりは、「編集」という観点から世界を見るということがどのようなことなのかを知るための本と言ってよいのではないかと思います。
Posted by ブクログ
奥トレに参加したメンバーに「この本に書いてあることは奥トレのヒントになるかも」って教えてもらって読んでみた1冊。確かに子供たちの遊びのパターンから、僕らがおもしろいと思う要素へと編集を試みるっていうアプローチは参考になる部分も多くて、奥トレの今後やってみようと思うヒントをもらうことができました。特に、「宝探し」の要素と、「(あえて)準備しきらない(その日偶然の余地を残す)」っていう部分は自分では思いつかなく、今後ぜひ使ってみたいところだなと。まだまだ大きな子供を集めて、奥トレも準備しきらず大いに遊んでいきたいと思います。^^
Posted by ブクログ
【要約編集(keynote editing)のための多様な技法】p121
①ストーリー性を生かしたダイジェストによる「重点化モード」
②論旨のアウトライン(骨組)だけに焦点を当てた「輪郭化モード」
③一枚ないし二、三枚の図にしてしまう「図解化モード」
④論旨の背景となっている考え方との関係を組み込んだ「構造化モード」
⑤別のメディアに変換するための「脚本化モード」
⑥ニュースとして伝える目的を持った「報道化モード」
<メモ>
ハイパークリエイター高城剛
コンテクストデザイナー高木新平
松岡正剛『情報の歴史』
【編集十二段活用】p193
①注意のカーソルを対象に向ける
②注意の対象およびその周辺に少しずつ情報が読みこまれていく
③同義的連想が始まって、シソーラス性が豊かになっていく
④段々情報の地(情報分母)と図(情報分子)が分離できていく
⑤さらに階層化が起こり、情報の周辺を含む全体像が立体化してくる
⑥様々な情報がネットワーク化され、リンキングを起こす
⑦デフォルト(欠番構造)やスロット(空欄)が見え隠れする
⑧それがハイパーリンク状態になったところで、そこに筋道を読む
⑨筋道にあたるレパートリー(情報見本帳)を検索する
⑩カテゴリーが凝集し、ステレオタイプやプロトタイプが出入りする
⑪必要な情報のレリバレンス(妥当性)を求める
⑫その他の色々の編集を加える
『石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力』
Cf. 「編集の国(ISIS: Interactive System of Inter Scores)」p247
Posted by ブクログ
松岡正剛と聞いたら、知の巨人みたいな人で縦横無尽に難解なこと書くのかなあと始めは思った。
しかし、それは良い意味で裏切られていて文章は平易だし、知識をひけらかすこともあまりない。さらに、文章も論理的に構成されているというよりも、体験や感覚に基づいていて共感でき、身近に感じた。むしろ、こんなんなのって肩透かしをくらった感じ(笑)
さすが、「編集」をしているだけあってアウトプットの方法にもこだわっているんだなあと思いました。
Posted by ブクログ
普段意識せずに行っている編集術は、仕事、遊び双方で適用可能であることや、様々な著者の編集術が豊富に記載されている。
やや文学的な知識や背景を理解していないと理解が困難な所がなんてんだが、再読の価値ある良書。
コンサルワークにも十分適用可能。
Posted by ブクログ
だいたいこのテの本には、映画の撮り方やカット割について言及してることが多い。
編集の64手は圧巻。ハンター×ハンターのグリードアイランドの魔法カードみたい。
Posted by ブクログ
同じものを見ても、人によって感じること、考えることが違う。それは、それぞれが自分なりに受け取った情報を編集しているからだ。
なんだか読みづらい本だった。早口な人の話を聞いてる感じ。忙しい人なのかな。
ポール・オースター『ムーン・パレス』
「あいだ」の文学の王者
村上春樹『羊をめぐる冒険』
『遊びと人間』カイヨウ
人間がどのように社会関係を作っていったのかを、遊びの分類から説明している。
『嘘の効用』末松厳太郎
『映画編集とは何か』浦岡敬一
『知の編集工学』
編集とは、どれか一つを、選び出すこと。可能な限り正しいどれか一つを。
編集術は、今ある情報を元に、新たな情報を作り出すための技術だ。
編集で一番大切なことは、様々な事実や事態や現象のあいだに潜む関係を発見することだ。
そしてそれらをじっくりつなげていく。
編集は、生き物を相手にするように扱うと良い。
私たちの過ごす一刻一刻は、「編集的連続性」を裡に秘めている。
遊びは情報編集ゲーム。
アメリカ型のスポーツは、「より優秀な奴が前に出る」文化。
ヨーロッパ型のスポーツは、「一旦役割を分担したらできるだけ最後までまっとうする」文化。
スポーツも文化を編集している。
「キーノート・エディング」要約編集
要点・主旨・主眼・骨子・眼目を、かいつまみ、配り直す。星座を描くように。
箇条書きを増やしていって、最後に文章にまとめる。
遊びの中に学習も編集もある。