松岡正剛のレビュー一覧
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以前、「週刊ポスト」に連載した内容を書籍化し、「現在の日本から何が連想され、暗示され、寓意されるのか」を訴えることを意図したとあります。494ページもありますが、半分は写真なので気の向いたときに読める感じです。
とは言っても、松岡正剛氏の博覧強記には圧倒されます。日本の伝統・文化・風物・風習などの様々な側面を、見開き2ページで記載していますが、日本人でありながら知らないことだらけ。「三猿は実は四猿」、「近世日本の稀にみる軍縮(江戸時代に木版活字や鉄砲製造をやめ、浮世絵・花火などに転換)」、「漢字の『運』は軍を動かす意で、転じて福禍が動く意」、「正月に歳神を迎えるため門松を立て、火を使わない -
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ネットで公開されている「千夜千冊」はパラパラと見ていた。ただスマフォやタブレットだと長い文章を読めない私は、本屋でそれを再編集したらしい文庫本を発見して狂喜した。
第一巻の本書は、稀代の本読み正剛さんの本への向き合い方が、26冊の本を通して記されている。
渋そうな本、難しそうな本が並んでいるが、私も親しくそれらの本と「交際」したい。少々出来の悪い小生は先方から「交際」を断られそうな気もするが・・笑
考えようによっては積読状態になっている我が家の本も、それなりに縁があって我が家に来ているのだろうから、出来ればどの本も全部読みたい。
中々読み応えのある、千夜千冊の第一巻であった。けっこう難解で -
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日本文化を本当に伝えることができているか?
本書の掲げる問いに、ちょっと虚を突かれた思いがする。
内村鑑三、岡倉天心、西田幾多郎など、恐ろしく外国語が堪能な人々が、それでも伝えられないと思い至ったギャップとは何だったのか。
俄然そんなことが気になってくる。
それにしても。
相変わらずこの人の持つ情報量のすごさに圧倒される。
ポケモンと桃太郎、一寸法師から、スクナヒコナに遡る。
過差とバサラの関係。
そういったハッとするような見方を提供してくれる。
もちろん、細かいところでは自分の見方と異なるところがある。
鴎外の「ヰタ・セクスアリス」はそれほど軽い作品なのか?とか。
根本的なところでは、文 -
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セイゴウさんの本は見かけたら、なるべく買う。
難しくて頭抱える本もあるけれど、本書はスラスラ読めた。
柿本人麻呂、紀貫之、松尾芭蕉から現代作家までの書評を編集工学から構成したもの。
近松門左衛門の名文を披露しているが、文楽を聞いているときでも、太夫の語りには聞き惚れるけれど、名文なのかどうなのか判らないんだよな。情けない。亡くなった橋本治さんだったら、こういう義太夫の文章も書けたかな。
二葉亭四迷「浮雲」や関川夏央さんが四迷について書いた本は読んだ。
(引用)ここに四迷の最も求めていた「はぐれた私」の彼方というものがある。これはのちに九鬼周蔵が希求しつづけた「意気」というものの近代的な自 -
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「知の巨人」と言えば立花隆氏となりますが、最近は、松岡正剛氏ではないかと思うようになりました。「千夜千冊エディション」では、膨大な書物のエッセンスを抽出し、編集工学研究所で「編集」をテーマに活躍されています。そもそも、この人の読書量は並ではない…。
「知の編集術」以来、久しぶりの新書書き下ろし版が出て、しかも日本文化についてとあり、さっそく読んでみました。西洋の一神教に対して日本は客神、「和する」と「荒ぶる」両方併存が日本の文化、「わび」が「侘び=詫び」、「さび」が「寂び」がもともとの語源とか、などなど…、知らないことのオンパレードで、この博覧強記にはひたすら感心しました。
知識の開陳とい -
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ユダヤ人には2~3種類ある。スファラディは、スペインを意味するヘブライ語を語源とする。数度のディアスポラの後、イベリア半島に定住していたが、レコンキスタによって北アフリカ、オランダ、フランス南部に移動し、キリスト教と融合してマラーノと呼ばれた。アシュケナージはドイツを意味するヘブライ語を語源とする。東ヨーロッパでコミュニティを作っていたが、ロシアのポグロムやドイツのホロコーストによって迫害され、西ヨーロッパやアメリカに移住した。世界のユダヤ人の9割がアシュケナージだが、イスラエルにはスファラディとスファラディの流れをくむミズラヒが半分ずつ居住する。
コーカサス北部に勢力を拡大していたトルコ系 -
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生化学のバナール、量子力学のシュレディンガー、地球科学のヴィグナーは揃って、「地球の生命体とは周囲の環境から物質や自由エネルギーを取り入れることによって内的なエントロピーを減少させ、変衰した物質やエネルギーを排出する開放のシステムである」と結論付けた。
ラブロックのガイア仮説はリン・マーグリスが支持し、共同研究を行った。批判の急先鋒には、リチャード・ドーキンスやフォード・ドゥーリトルらがいた。
ドーキンスは、コンラート・ローレンツ、アイブル=アイベスフェルト、ロバート・アードレイが進化において重要なのは種の利益であると考えているのは間違っていると書いた。ドーキンスは、ジョン・メイナード=スミ -
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松岡セイゴオさんの日本論。方法としての日本、てるむくり、など著者の本で読んだ用語がチラチラ見えたので、まあ想定内の本と思って手にしたんだけど、随分大きく予想を超えていた。
「おもかげの国」「うつろいの国」とか、ウツとウツウという言葉は、セイゴオさん独特の言語感覚なんだと思う。
「茶」については、村田珠光や武野紹鷗にいて詳しく解説。
江戸の武家体制を作る基礎になったのが儒学だが、他に手が無かったという話。朱子学と陽明学は生まれた時期が300年隔たれているが、同時期に日本に流入してきている。本書は陽明学の話が大きい。正直、大塩平八郎が頭に浮かぶ程度だったが、後世にも大きな影響を与えている。中 -
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松岡セイゴオさんが千夜千冊の中から近代から現代の文芸作品評を編集したもの。
ホーソーン「緋文字」。父の名を語らぬ子を産んだ女性が、呪われたものとして赤いAの字を縫い付けた服を着せられる話と知っていたが、思っていたのとずいぶん違った。アメリカの始祖、ピルグリム・ファーザーのピューリタンの基盤を突き刺す作品とのこと。
メルヴィル「白鯨」。エイハブ船長のモデルは旧約聖書「列王記」の邪神バアルを信仰した悪王アハブ。語り手のイシュメールのモデルは「創世記」のイシュマエル。
モービィ・ディックとの三者にうねる「永遠の父なるもの」。それは想像主デミウルゴスとセイゴオさんは語る。自分の知識とかなり違って大 -
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古代の天文学から、時間とは何か、エントロピーとは何か、を通じて相対性理論を紐解き、原子の宇宙に迫るため量子力学の世界へ向かう。〈千夜千冊エディション〉物理学篇。
第1章はガリレイやケプラーの著作で幕を開ける。プチ『ルナティックス』のような構成の一七三二夜が嬉しい。
宇宙と天体をめぐるロマンの第1章から、〈時間〉を科学的に捉えるとはどういうことなのかを解きほぐす第2章へ。この章は同じ〈千夜千冊エディション〉『情報生命』とリンクしている。
第3章は相対性理論によって宇宙のはじまりをめぐる議論が急速に拡大したことについて。ダークマターやブラックホールの仕組み、反物質とは何かなどが解説され、ワクワ -
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日本文化、芸術、システム工学に詳しい著者が、日本文化の根幹にあるものについて述べた本。「柱」「結び」「神」「間」「家」など、カギとなる言葉について解説しながら、日本文化の核心に迫っていく手法をとっている。もちろん明確に核心が示されているわけではないが、おぼろげながら感じることができる程度の理解であろうか。1つ1つの事柄に関する研究は精緻で勉強になった。
「ディープな日本の特色」p3
「日本文化はハイコンテキストで、一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂があるのです」p6
「日本人はディープな日本に降りないで日本を語れると思いすぎたのです。これはムリです。安易な日本論ほど日本をミスリ -
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久しぶりに手にしたセイゴウ本は、新書とは思えない高密度。「ハイコンテキストで、一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂がある」日本文化を、自ら考案した10数種類の「ジャパン・フィルター」を手がかりに読み解こうという試み。
博覧強記、縦横無尽、硬軟自在…セイゴウ本を読むと、こんな言葉が頭に浮かび、それに気圧されるばかり。いや、それではいかん、丸ごと肯定してはいかん、といつも思うのだけれど、やはり今回も撃沈。腹にストンと落ちることばかりだから敵わない。
元来、この国は外来のものをそのまま受け入れたのではなく、巧みに編集をして取り込んできたが、明治の文明開化では編集を怠ったという指摘。また