松岡正剛のレビュー一覧
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「編集工学」の提唱者として知られる著者が、みずからの読書遍歴を振り返りつつ、編集工学の視点から読書の意義を語った本です。
読書を「自己編集」であり、かつ「相互編集」としてとらえる見方が興味深いと感じました。「読む」というのは、表面的には文字やことばの意味を追いかけることなのですが、それだけにとどまらず、イメージやメタファー、社会観、さらには生理感覚までも参与するような、複合的な活動だと著者はいいます。さまざまな情報を交換するなかで人びとが「意味」を編集しているコミュニケーション空間のなかに「読書」という行為を置き、著者のスタイルを「モデル」として理解しつつ、読んでいる自分自身の「モデル」をつ -
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プラトンから啓蒙主義までの西洋思想史を一望する。
千夜千冊を初歩的な編集工学でまとめた一冊。
セイゴオさんにとっては極めて初歩的な編集なんだろうけれど、有難い本。この内容を大学の先生が書いても全然頭に入ってこないと思う。セイゴオさんが知と取っ組み合ってきたレスリングの一つ一つに引き込まれた。
でも、僕には歯が立たない処も多々。
あと半年で還暦を迎えるんだけど、今更莫迦が治る訳ないよな~。
以下、雑感
スピノザ「エチカ」
「すべてのものは神が創った。」なら、超越者に対し論証必要なし。
「世界と神は一にして全。」ひょっとすると証明可能。
神の自己作出を説明し、人間の認識に重ね合わせていく証明作 -
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文学や編集に携わる8名の手による万葉集エッセイ集、といえばよいか。
出だしから中西進氏による『旧約聖書』と『万葉集』のリンクが展開され、度肝を抜かれる。良き文学とはほかの文学と共鳴するものとはいうが、まさかそんなところと響き合うとは。しかも万葉集の第一人者の一人中西進氏からそんな。おみそれしました。
川合康三氏の「山上憶良と中国の詩」、高橋睦郎氏の「いや重く謎」あたりは若干硬めの印象を受けるかもしれないが、基本的には一流の文化人たちによる平易な万葉集エッセイである。いや平易と言ったが完全に万葉集知りませーん何書いてあるんですかーな人には向かないかもしれない。ちょっとは齧った人向け。だが、ちょっ -
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ネタバレ第一巻は未読なのですが読後感から言うと第二巻の方が面白かったですね。
この巻はテーマに突っ込み切れていないというか議論が深まらないまま時間切れになった感じがありました。
ただ、考えるきっかけとしては論者の方々がみんなバラバラの意見というか立ち位置なので(バラバラ過ぎる?)いろんな角度から読者もまた考えることが出来るきっかけにはできるかと思います。
この先の議論を知りたいですよね。たぶんこれを読まれた方はみなさんそう思うのではないでしょうか。
しかしこの巻も池上さんのまとめ力(わかりやすい解説)と松岡さんの切れ味が半端ない印象でした。でも一番インパクトあったのは佐藤さんが「キリストはやって -
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面白かった。もちろん難しかったが。けれどそんな馬鹿みたいな感想でも、正剛先生はおそらく読書好きでさえあれば見下したりはしないであろう。それくらい気持ちのいい読書贔屓であり、本を愛することにかけては偏執狂と引けをとらぬビブリオマニアだと思う。日本が誇る世界的な「本豪」といえる。(ちなみに「本豪」=剣豪の本バージョンという単語は正剛先生の『多読術』で知った造語)これだけ本を読むという、自分もしているしやってきたと少なからず自負している行為なのに、もう競技が違うと言わざるを得ない経験をする事はどういうことか、圧倒的な知識不足、読書量不足を突き付けられる毎回である。前提としているものが違う。これがプロ
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【ノート】
・松岡正剛さんについては、今までほとんど知らなかったが、日本を代表する知の巨人の一人と目される人。この本は、彼の「情報」に対する接し方についての基本的な考え方や具体的な方法論が述べられており、とても面白い。「読書術」のヒントであり、「ノート術」のヒントでもあるし、企画を発想したり構成したりするヒントにもなる。
・「編集」というのが重要なキーワードになるのだが、どちらかと言えば「編集」というのは本体に付随するオマケ的なもの、と思っていた。しかし情報をインプットしてアウトプットする時、そこには必ず編集というプロセスがあると。人間のあらゆる行為を、ほとんど何でも「編集」と言ってしまって -
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アイデンティティがどこにどれだけ存在するのか、どのスタンスからそれを考えるのか、によって捉え方はそれこそ人の数だけ細分化されてしまうのではないか…というとりとめなさを感じました。
本書を読むことによって「宗教と暴力」について自分なりの考えがまとまる?どう考えるべきか?自分の意見が持てる?と思っていましたが逆にもっと混沌としてしまった…ような…(苦笑)
本書においても議論は未だ未だ途上である、議論は尽きるどころかこれからだったのにという印象。
本書の印象だけ言えば松岡さんという先生は容赦がないな、ということと池上さんはさすが場をまとめるのが素晴らしく上手でいらっしゃるということでしょうか(笑) -
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シンポジウムをまとめる形式の対話型の本。
なんか評価低いけど、宗教に対するいろんな視点があっておもしろかったけどなー。
「北朝鮮だからしょうがない」「〇〇だからしょうがない」は思考停止であり分析ではない。
「殺しあう人数が足りないから紛争が止まらないかもしれない」という分析。第三者の介入ではなく、内部から殺しあうのは嫌だという感情がわかないといけない、というのは衝撃的な考え方。
エキュメニカルとファンダメンタル
人間の心の構造はどうなってるかわからないと宗教と暴力の問題は解決できない。心理学が大事。
テロリストと構成員は異なる。政治的思想を持ち得ない者はテロリストではない。
宗教