新井素子のレビュー一覧
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いわゆる“セカイ系”と呼ばれるもの。
「来週、地球が滅びるとしたら」という、あまりにも特殊な状況。その状況にもし自分がいるのならば、どんな行動をとるのだろうか。
似たような破滅SFで伊坂幸太郎の『終末のフール』を連想したが、この『ひとめあなたに…』は来週という近い将来の話ゆえに切迫した内容だ。
練馬から鎌倉までの旅で出会う女性たちがみんな個性的。最初に出会う由利子の「チャイニーズスープ」が強烈で、この小説は猟奇的な話が続くのかと思ってしまった。興味深かったのは智子の「夢を見たのはどちらでしょう」で、現実の捉え方がとても面白かった。
この結末からすれば、これは恋愛小説なのだろう。 -
Posted by ブクログ
一年一年がとても長くて、恋にしろ失恋にしろ十分した気がしている。失敗や成功もくっきりとしていて、諦めたり喜んだり、行動的ですぐ立ち直り、絶望もやってくるが、希望がすぐ取って代わる。
だから、はたちの頃って、もう人生を味わいつくしたような気がしているのよね。
本当はそれからが人生長く、機微に溢れ、苦しけれ、楽しいのだけれど。
そのみずみずしさがここには書かれている。新井素子さんの20歳の作品だそうだから、そのまま生のまま。
恋しい夫を食べてしまったり、バイクでひき殺したり、いや、地球に隕石がぶつかって破壊されてしまうなどと涼しい顔でいわれてもねぇと思うが、そんなことも有りと平気に思う若さが -
購入済み
お久しぶりです。
素子さんは、星へ行く船、ブラック・キャット辺りからの読者ですが、ハッピー・バースディで、自分の中で「そっちに行っちゃうんですか」感があったので、イン・ザ・ヘブンは、やや引き気味で手にとりましたが、久しぶりに素子ワールドを楽しませていただきました。
30年くらい前の素子ワールドに親しんだ方には賛否あるところだとは思いますが、自分も年齢を重ねたためか、時と共に変化した素子ワールド健在、と感じました。
しばらくぶりに、ハッピー・バースディ、チグリスとユーフラテス、くますけ、おしまい、あたりを読み返してみようかなと思います。 -
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
女子大生の圭子は最愛の恋人から突然の別れを告げられる。自分は癌で余命いくばくもないのだと。茫然自失する圭子の耳にさらにこんな報道が―“地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”。彼女は決意した。もう一度だけ彼に会いに行こう。練馬から鎌倉をめざして徒歩で旅に出た彼女が遭遇する4つの物語。来週地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか。
来週地球が滅びるとしたら、私は圭子の行動が1番理解出来るかも...お互いに幸せな気持ちで死ねるのなら それは理想な終わり方だと思いました。
いざその時になったら 死にたくない!とジタバタするのかもしれませ -
Posted by ブクログ
ネタバレ少し不思議な、静かな世界。
SFだろうか。人工知能だったり、ウイルスだったり、少し未来の、少し不思議なお話。後書きに、東日本大震災のことが書いてあり、震災直後だったり、一年後だったりに書かれたとのことだったが、なるほどわかる気もした。ある日急に世界が終わるような、生活の色々なものが崩壊するような、それでも生きている人が何を考え、どう行動するか。ユートピアとディストピアは表裏一体かもしれない。
「ここを出たら」語り手の正体がまさかのオチ。地震が起きたときにエレベーターに乗っていて閉じ込められたら、というのは誰しも一度は想像するのでは。
「幻臭」将来、こういう人工知能が生活を助けてくれるかも