あらすじ
妾は、猫で御座います。名前は、「ファー」って呼んでいただければ――。猫には、秘密の使命が隠されていたことが明らかにされる新井素子版『吾輩は猫である』。素直になれない猫と、不器用なカラスの友情を描く「黒猫ナイトの冒険」。十四歳少女が土地神からの風変わりな試練に立ち向かう「なごみちゃんの大晦日」など、日常から伸びる「橋」をわたった先に待つ、心あたたまる8つの不思議。
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Posted by ブクログ
目次
・橋を、架ける
・黒猫ナイトの冒険
・妾(わたくし)は、猫で御座います
・倍倍ケーキ
・秘密基地
・お片づけロボット
・碁盤事件
・なごみちゃんの大晦日
この本が出る2年前、読者主催の「新井素子作家生活四十周年記念パーティ」が行われたという、その、お返しの本なのかな、と思いました。
書下ろし長編のイメージが圧倒的に強い著者が、ショートショートや連載小説に挑戦した、それらの作品が収録されています。
既読は『妾は、猫で御座います』のみ。
だけど、どれも既読感がないわけではありません。
なにしろ新井素子なのだから。
40年変わらない文体、テーマやアプローチもなんなら変わっていないのです。
1ページ目から最後のページまで新井素子でしかない本でした。
新井素子ファンはもしかしたら文体が大事なので、ネタバレOKと言ってくれるかもしれませんが、大事を取ってネタバレはしないことにします。
ただ、『お片づけロボット』については、私も言いたい!
そう。
欲しいのはお掃除ロボットではなく、お片づけロボットなのよ。
ごみを分別し、あるべきものをあるべき場所に収納してくれるロボット。
出しっぱなしよ、さようなら。
それから、必要な書類、紙ごみ行きのチラシ、シュレッダーが必要な個人情報が記載された紙を分別して処理してほしいの。
で、手書きのメモは必要な場合が多いことを理解してほしいの。
10さんが読んだ新聞は縛って、未読の新聞は畳んで隅っこに積んで欲しいの。
どうして紙って増えるんだろう。
メーカー様、どうか開発よろしくお願いいたします。
”確かに、どんなにひとが努力をしようとも、それが叶わないことはある。いや、むしろ、その方が多いかもしれない。だが、ひとが人事を尽くさなければ、天命は、絶対に、来ない。これだけは、確かだ。”
デビューのときからずっと彼女の本を読み続けてきたおかげで、私の中の相当な部分は彼女の本の影響を受けている。
例えばこの、「人事を尽くして天命を待つ」。
これはもう、私の行動規範の根幹だ。
往々にして天命は降りないけれど、人事は尽くすよ。
卑怯者にはなりたくない。
という、青臭さよ、一番の影響は。
優しいSF短編集
コマツシンヤ氏の装画に惹かれて購入。作家の方は一応名前は知ってますがたぶん初めて読みました。なんかSFにファンタジー感溢れユニークさも良き。
Posted by ブクログ
橋を、架ける/黒猫ナイトの冒険/
妾(わたくし)は、猫で御座います/
ショートショート
倍倍ケーキ 秘密基地 お片づけロボット
碁盤事件/なごみちゃんの大晦日
ちょっと不思議 ちょっと夢みたい ちょっと嬉しい
ちょっとホッとして おやすみなさい
Posted by ブクログ
短編集。ほんわか不思議ストーリー。テンポが良くて読みやすかった。猫とカラスは天敵だけど、それだけではなさそうな関係を感じさせた「黒猫ナイトの冒険」、なかなかユニークな感性のご主人を見守る飼い猫の語り口が面白い「妾(わたくし)は、猫で御座います」など、猫率高し。個人的には人格を宿した家具たちの会話がツボなので、「碁盤事件」が一番好き。猫の爪は武器であり、室内ではいろいろ罪深いと思う。
お片付けロボ、洒落にならない
指示したことは出来るけど応用が一切効かないAI。
学習機能があるから同じミスはしないけど、ニュアンスを理解することがないから問題は指示の仕方の細かな設定をしきれない方にあるという話。
これ、今の職場の部下に当てはまりすぎて、彼がロボットなのではないかと思えました。
あとのお話はどれもいい感じで終わるので、久々にショートショートを堪能しました。
Posted by ブクログ
少し書き方に特徴がありましたが、それぞれ話は良かったかなと思います。
なごみちゃん一家の試練厳しすぎないですか。正直雨のところとか、わからせるためとはいえなかなかきついと感じました。
Posted by ブクログ
新井さんの色が薄めで、どこか遠い太鼓のような試験的な感じを受けていたら、後書きに書いてありました。
軽めで気軽に読めるけど時々コバルト初期の色が恋しくなります。
Posted by ブクログ
友達から回ってくる本は、自分で選んだものでないので、ちょっとした驚きがある。
この本を見た時、わ、新井素子さんだ、なつかしーと思った。
中学生くらいの時、流行ってたなぁ。
私は3作品くらいしか読んだことないけど、この本を読み始めてすぐ、新井さんっぽいと。
短編集なので、読みやすいけど、人によっては読みにくいと感じるかもしれない。
でもそれは、個性のある作家さんだからだろうし、他の人とは違う魅力なんだろう。
うまく言えないけれど。