あらすじ
「ねえ、史子ちゃん、天国って、あると思う?」八十過ぎ、余命数週間の今日子さんは、あたしより三十も年上のお友達。天国では「病気をしていても元気になって、なりたい年齢に若返る」というあたしに対し、「でも、小さい頃死んじゃった子供は大きくなりたいんじゃないかしら」と妙に理屈っぽい。話すたびに、天国はどんどん複雑な状況になっていって……。短編10編とエッセイを収録。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
201606/バラエティにとんだ短編集。お馴染みの文体で長年このブレのなさ、だけど書かれるものがその時その時の素子さんが出てて。好み大きく別れる作家さんだけど、新井素子という独自ジャンルを築いた功績は大きいよなあ。願わくばもっと早いペースで新作が読めるといいのだが。
ん、、、んん?
潜在意識とのコラボ作品が半分とな。
もともとの文章力、構成力がしっかりしてる方だから、無意識にもプロがいらして…
そしてこういうショートショートが生まれたのでしょう。
なんて素敵な時間なのか…
AIのことを勉強しました。
それから読んだらこれが近未来に起こることなんだろうと思われて…
神が降りてるのでしょうか?
ぬいぐるみ型かどうかはきっと選べるのでしょうけれど。
また、絵里。
妊娠して育てるところまでの自身の変化、失うものに焦点が当てられた作品。愛を得るにはどれだけの心血を注がねばならないか、という観点から描かれている。
経済的損失まで考えたら詰む未来。
そして…
ほぼ同じ経験をしました。
似たような思考を経て。タクシーの中、遠ざかる相手の顔を見ながらその一錠を口にしました。
中国製の安全なのが1万円で売られてるのよね。
作者に同じ経験はないでしょうに、すごい。
そして全ての母への尊敬の念が湧きます。
Posted by ブクログ
何十年振りの、素子さま!
高校から専門学校の頃にめっちゃはまりました。あの頃と変わらぬ文体に懐かしさが込み上げます!
素子文体の星新一風ストーリー。
楽しく読みました♪
お久しぶりです。
素子さんは、星へ行く船、ブラック・キャット辺りからの読者ですが、ハッピー・バースディで、自分の中で「そっちに行っちゃうんですか」感があったので、イン・ザ・ヘブンは、やや引き気味で手にとりましたが、久しぶりに素子ワールドを楽しませていただきました。
30年くらい前の素子ワールドに親しんだ方には賛否あるところだとは思いますが、自分も年齢を重ねたためか、時と共に変化した素子ワールド健在、と感じました。
しばらくぶりに、ハッピー・バースディ、チグリスとユーフラテス、くますけ、おしまい、あたりを読み返してみようかなと思います。
Posted by ブクログ
少し不思議な、静かな世界。
SFだろうか。人工知能だったり、ウイルスだったり、少し未来の、少し不思議なお話。後書きに、東日本大震災のことが書いてあり、震災直後だったり、一年後だったりに書かれたとのことだったが、なるほどわかる気もした。ある日急に世界が終わるような、生活の色々なものが崩壊するような、それでも生きている人が何を考え、どう行動するか。ユートピアとディストピアは表裏一体かもしれない。
「ここを出たら」語り手の正体がまさかのオチ。地震が起きたときにエレベーターに乗っていて閉じ込められたら、というのは誰しも一度は想像するのでは。
「幻臭」将来、こういう人工知能が生活を助けてくれるかもしれない。すでにSiriやアレクサがいるし。でもわかりあえないところがあるとしたら。
Posted by ブクログ
SF短編集。久しぶりの文体が懐かしい。口調とは裏腹に死と生にまつわる話が多くて考えさせられたし、短い文章で世界に飛べるのはさすがだなぁと思うけれど、やっぱり新井素子さんの本はどっぷり世界に浸れる長編が好きだなぁ。