苅谷剛彦のレビュー一覧

  • オックスフォード大教授が問う 思考停止社会ニッポン 曖昧化する危機言説

    Posted by ブクログ

    コロナ禍での現代版鎖国。
    自粛によるコロナ生活。筆者の日本でのコロナ対策の隔離生活が詳細にわかったのは興味深いと感じました。
    海外留学生の再入国を認めないなど、海外との違いは初めて知りました。
    自粛というと自ら進んで行動する様に思えるけど、同調圧力によるものというのは、自らの思考を止めてしまうことになる。

    長い歴史の中で、権利は自ら得たものでなく、上から与えられたものという印象が大きいのは、明治維新然り、戦前また、戦後の体制が、実は今も続いているのではと思わずにはいられません。反抗心はあっても、上が決めたことに従順な気がします。

    同調圧力に弱い日本人かもしれませんが、欧米諸国の様に、国民が

    0
    2022年11月28日
  • 教えることの復権

    Posted by ブクログ

    大村はま先生の言葉は一つ一つにパワーがあり、たくさん学ぶところがありました。
    これまでの本と比べて「近頃の若者は…」という感じが強い印象もありました。話し言葉が混在しているからかもしれません。
    現在の「総合的な学習の時間」に対しての否定的な考えについてもすごく納得しました。

    0
    2021年08月13日
  • コロナ後の教育へ オックスフォードからの提唱

    Posted by ブクログ

    いつもながら読み込むのはちょっと難しいんだけど、はっきり分かったのは、コロナ後の教育は、もともと変革の流れができていたけどそれを後押しするように、変わるということだ。そしてそれはピンチだけどチャンスでもある。教育政策が突きつけてきているエセ演繹的な、理想を掲げて装飾した改革を受け取るのではなく、自ら帰納的に思考することが必要だ。
    私のこれまでの関心としては、大学のあり方についての章が大変勉強になった。私が大学入学後からモヤモヤしながら追究してきたことは、日本型大学教育への不満から発していたもので、その解決には学生時代に他国の大学教育を受ければよかったのだということだ。定年退職したら、

    0
    2021年01月17日
  • コロナ後の教育へ オックスフォードからの提唱

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    <目次>
    はじめに  教育改革神話を解体する
    第1章   日本型教育改革の習性(くせ)
    第2章   入試改革、グローバル化~大学大混乱を超えて
    第3章   人文科学の可能性
    第4章   教育論議クロニクル…2016~2020年
    終章    コロナ渦中の教育論

    <内容>
    目に鱗の内容だった。特に第1章。文科省が(中教審が)掲げて、押し付けてくる(教員になった当初は「目標」という感じだったが、近年は「法令順守」と言われる)指導要領は、「エセ演繹」なのだと。演繹から、その理論から具体的な実証をしなければならないが、指導要領改訂のたびに「何が変わったか」を示すものに、実証した根拠が見られないと。「観

    0
    2021年01月14日
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起

    Posted by ブクログ

    大学は知識ではなく思考力を得るところ
    大学はカレッジ、ファカルティー、ユニバーシティが合わさったもの
    積分的思考の文系と微分的思考の理系が合わさって新しい知見が生まれる
    グローバル化を履き違えている日本の大学
    出版と大学による知の再生
    どれも新鮮な視点で、目が覚める様。
    日本の大学の未来は明るくないが、絶望的ではないと思う。

    0
    2020年08月20日
  • 大衆教育社会のゆくえ 学歴主義と平等神話の戦後史

    Posted by ブクログ

    25年も前の著作だが、データを丹念に扱い、他国との比較も踏まえ、戦後の日本教育の変遷を辿った語り継がれるべき良書。今でも学歴の再生産と固定的知能観を醸成させていることは否めない。大学入学共通テストもどうなるんだかねぇ...。合否判定する側の力量の方が問われるだろう...。

    0
    2020年07月18日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

    Posted by ブクログ

     楽しいのは、第Ⅱ部のやりとり。
     一番印象に残ったのは、“クェスチョンはあってもパズルが無い”というオックスフォードの言い方。確かにそうだ。
    学びが深まるためには、そういう知的な面白さが必要だ。
     それから、問をブレイクダウンしていくうちに、抽象化したキーワードが浮かび上がってくるプロセス。

    0
    2020年05月14日
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「○○はもう死んでいる」。北斗の拳で聞いたような台詞だが、本書で主に取り上げられているのは、オックスフォード、ハーバード、そして東大。決して死んでるような大学ではない。

    「(昨今の)日本の大学改革論の不幸なところは、コンセンサスを得ようとしたときに座標軸(大学は何を目指すのか、何がクリティカルかという軸)を設定する人がいなくなってしまい、どこで自分たちが対立していて、どこで折り合いがつかないのか見えなくなってしまっている」(p.37)。その背景には「経済ナショナリズム」(p.40)と国家予算の削減。これが現場の混乱をもたらしているのではないか。

    アメリカやイギリスの大学組織で見習うべき点は

    0
    2020年05月02日
  • ことばの教育を問いなおす ──国語・英語の現在と未来

    Posted by ブクログ

    英語教育、国語教育、社会学のプロの方が、それぞれ異なる立場からことばの教育について論を交わしている本。議論の中心となるのが、大村はまさんという国語教師の方が実践した教育方法。半世紀の間、ひたすら、言葉を使うことの重要さを子供に感じてもらうような実習を自ら考えだしては実践したらしい。

    論点としては想像以上に幅広く、面白かった。国語教育・英語教育に共通する現在の問題点や重要な点は何か?ことばの力を育てるために有効な方法は何か?そもそも教育について考えるとき、「理論」とはどんなふうにつかうべきものか?

    最後にまとめられていた通り、ことばの教育=考える力の教育という点が印象的だったし納得した。

    0
    2020年01月25日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

    Posted by ブクログ

    何かの書評から手に取ったが、とても興味深い本に巡り会えて感謝。この本のテーマは表紙の言葉で、「学校や大学での学習や研究の場面だけでなく、仕事の場や社会生活の上でも、一面的な見方にとらわれていたり、安直にわかったつもりで終わってしまう議論にならないためにも、問の立て方と展開の仕方を身につけることは役立つ思考力の要なのだ。」とある。オックスフォード大学で行われているチュートリアルという形式の、先生と生徒の一対一の学びを実際に行い、テーマにある問の立て方と展開の仕方を詳細している。先生はもちろん、生徒もレベルが高く、対話形式のまま記載されているので分かりやすい。最後に、少し時間をおいて生徒が振り返っ

    0
    2019年12月30日
  • 教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか

    Posted by ブクログ

    オックスフォード大学での学部生向けの個別指導(チュートリアル)と大学院生向けの研究指導(スーパービジョン)を日本人向けに再現したもの。論理展開の方法や問いの立て方など、具体的に応用できる技術が散りばめられている。受講者による学習レポートも、指導中に感じた違和感なども率直に綴られていて、読み応えがあった。

    なお、指導の内容が身に付くかどうかは、学生自身の訓練が欠かせないし、「先生は教えることはできますが、後はモチベーションを出してもらうしかない」と言い切っていることは見逃せない。教員が教える技術を磨くことが必要なのは言うまでもないが、学生を良い意味で突き放すことも必要なのだろう(もっとも、突き

    0
    2019年09月22日
  • グローバル化時代の大学論1 - アメリカの大学・ニッポンの大学 - TA、シラバス、授業評価

    Posted by ブクログ

    日本の学校は、掃除や給食そして部活など人間を作る全てを学ぶ、知識だけではない全人教育である。能力差を個人の努力で狭めることで、その精神力を身に着ける。
    アメリカは、多くの情報からいかに個人の意見を作り出すかを学ぶことろが大きく違ってる。 これが日本人の強さと、グローバルに生きるには弱さにもなる点であろう。

    0
    2019年01月05日
  • 学力と階層

    Posted by ブクログ

    ぼんやりと感じていた「教育格差」の背景にある
    家庭環境についてデーターをきちんと集めて
    実証してあります
    少し古い本なのですが 現状はまったく変わってないなぁ

    0
    2018年06月26日
  • オックスフォードからの警鐘 グローバル化時代の大学論

    Posted by ブクログ

    うん、ただ単に英語で授業すれば、グローバルなんじゃあないんだな。日本の強みを生かさないとね。とはいえ、英語で論文書かないと誰も認めてくれないからなあ。

    0
    2018年05月01日
  • オックスフォードからの警鐘 グローバル化時代の大学論

    Posted by ブクログ

    大学ランキングというものの本質が、
    著者が言うように欧米の一部の有名大学による「外貨獲得」を目的にした、
    留学生獲得(主に中国、韓国、東南アジアの裕福な学生)にあるのなら、
    いったい、日本の大学が行っているグローバル化とは何なのだろうか。
    世界の有名大学と肩を並べる大学になる必要性があるのか?
    ランキングのルールや評価基準を制定しているのがイギリスなら、
    圧倒的にイギリスの大学や英語が母国語に所属している国の大学が有利だろう。

    そのランキングの上位に入りたいがために、行う改革とは、
    果たして、有効なのだろうか?日本の大学のグローバル化は、
    ①国際ランキング(欧米の価値基準で)100位以内に1

    0
    2017年11月19日
  • オックスフォードからの警鐘 グローバル化時代の大学論

    Posted by ブクログ

    本書は既出の原稿をとりまとめたものだった。無理に各章のつながりを求めなくてもよい気がする。表題ありきの書籍編集側の商業的アイディアだろうか。とはいえ、読み手側で重要な知見と考えられるエッセンスは十分に抽出可能である。いかにいくつか引用した。それらは著者にしか指摘できない点が多い。また、SGUという和製英語の奇妙さを指摘した解説はやや赤面ものだった。ただより重要なのは、大学のランキング評価の結果から、大学の社活動の国際的な「遅れ」を導出し、一般の産業と同様に「追いつき型近代化」(p.202)を主たる問題解決の方法にしてしまっているという指摘である。

    0
    2017年09月03日
  • 考えあう技術 ――教育と社会を哲学する

    Posted by ブクログ

     教育の哲学的な模索を対談形式でまとめたもの。非常に参考になった。ただ、現場の視点ではなくあくまで原理原則から論じたものである。お二人の述べる理想的な教育を実際にどれだけの学校が、何人の教師が実現できるのかと問えば、かなり厳しいのではないか。
     本書はそういう現実を超えて語られるところに意味があるのだろう。著書の方々が例えば5年現場で勤務すればかような意見は言えなくなるかもしれない。教室での教育だけに集中できる教員など実際にはほとんどいない。
     では、仕事の山で遭難しかかっている現場の教員こそが偉いのかといえばそんなことはまったくない。教育学の先生方には大いに理想を語っていただきたいし、現状に

    0
    2018年06月17日
  • 欲ばり過ぎるニッポンの教育

    Posted by ブクログ

    フィンランドはテストによる競争をやめて学力世界一になった、という議論を最近聞かないなあと思っていたら、こういう事実に基づく本が出ていたのだ。小中学校ではアクティブラーニングで遊ばせ、その中でも学力を維持できる者のみ、高校に進学させ、絶対評価の進級テストで選別していく。こうした冷徹な教育文化が学力世界一を支えている。しかし、フィンランド信仰は文科省に残り、日本では「高等学校基礎学力テスト」というフィンランド的な教育政策が始まる。合格出来ない高校生が続出した時、やさしい日本の学校文化はどう対応するのだろう。

    0
    2017年01月12日
  • グローバル化時代の大学論2 - イギリスの大学・ニッポンの大学 - カレッジ、チュートリアル、エリート教育

    Posted by ブクログ

    イギリスのエリート教育の一端を垣間見た。日本で人材育成は確かにかつては企業がOJTで担っていた。今の時代、大学に学びを取り戻す手段は三つか。オックスブリッジかアメリカのリベラルアーツカレッジを選ぶか、独学だ。どちらも困難な道だ。

    0
    2015年11月13日
  • グローバル化時代の大学論1 - アメリカの大学・ニッポンの大学 - TA、シラバス、授業評価

    Posted by ブクログ

    日本とアメリカの教育が置かれているコンテクストがよく分かる。20年前の著作だが、学問的な方法論と両国の底流にあるものは不変だ。

    TA、シラバス、授業評価、トラック。どれもコンテクスト抜きには見る目を持てない。いわんや導入など。

    最後の章の大学の漂流は、日米ともに深刻なのだな。

    ・モノローグとダイアローグ。さらにモノローグも成り立たない日本の昨今。
    ・体験学習はクリティカルシンキングを伸ばさない。
    ・グループより個人の学習のほうが、CLAに寄与する。

    0
    2015年11月10日