【感想・ネタバレ】グローバル化時代の大学論2 - イギリスの大学・ニッポンの大学 - カレッジ、チュートリアル、エリート教育のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年08月13日

榎本博明の「教育現場は困っている」に引用されていた所から興味を持って読んでみた。

本書の情報は2012なので少し古いが、2020年にも通じるところは多くある。著者の苅谷はイギリスの名門オックスフォード大学で教鞭をとる日本人だ。本書の内容は彼(在英日本人)から見たオックスフォードの内情について、そし...続きを読むて日本の大学制度についてである。
●オックスフォード含めオックスブリッジは生活の中心となるカレッジと学科教育の中心であるdepartmentからなる。
●departmentは日本に似た講義形式の授業だが、カレッジでは毎週1度マンツーマンないし1対2程度で行われる個別指導だ。オックスブリッジの学びの中心はカレッジで学生は毎週大量の参考文献の読書(インプット)とそれについての議論、論文化を行う。
●学生の採用は、高い学力をクリアした上での面接重視で、教員は自分が指導したくなる、世界トップレベルの教育に耐えられる学生を採用し「教育された市民」をつくる。
●日本の大学教育は、大学での学問教育(知識の伝授の更に上にある、運用力)が特に人文社会系で行われていない、また社会的にも価値が認められていない。
●日本も「コップの内側」から世界に目を向けなければならない。

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Posted by ブクログ 2015年05月04日

子供の大学の入学式で、この本の著者が来賓に招かれ、スピーチをしていたので読んでみようと思いました。
オックスフォード大学のチュートリアルという教育方法の話は全然知りませんでしたので、非常におもしろく、勉強になりました。マンツーマンに近い教育で学生を徹底的に鍛え上げ、インフォーマルな関係も含めて全人教...続きを読む育を施すというのは、現代の視点から見るとそうとうのアナクロニズムのようにも思えますが、これだけ世の中が効率化・均質化の方向に行ってしまった現代だからこそ、逆に極めて重要になってきているようにも思います。
子供にもぜひ読んで欲しいと思いましたが、本人は大学生活に忙しく、本には全く興味ない模様。この本に書かれている「大学ではエリート教育は決して行われない」日本の実情を再確認。それがいいのか悪いのか、悩ましいところです。

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Posted by ブクログ 2012年10月22日

「聞く」ことを中心とする日本の大学教育と対照的に、「読んで、書いて、議論する」というチュートリアルによる英国のエリート教育の実態が描かれている。そうした知的訓練によって、英国の若きエリートたちは物事を批判的にとらえて説得する能力を磨いているのである。それはガバナンスに必要な基礎能力そのものである。政...続きを読む治にしろ、企業や組織にしても、日本で自ら改革が起こりにくいのは、そうした訓練がされていないからに違いないと納得。
著者の問題意識と改革の提案が、日本の教育界や行政で真正面からとらえられることを強く願う。

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Posted by ブクログ 2015年11月13日

イギリスのエリート教育の一端を垣間見た。日本で人材育成は確かにかつては企業がOJTで担っていた。今の時代、大学に学びを取り戻す手段は三つか。オックスブリッジかアメリカのリベラルアーツカレッジを選ぶか、独学だ。どちらも困難な道だ。

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Posted by ブクログ 2014年03月13日

アメリカとは違い、こちらは矢張り老舗の風格、学ぶべき点は多い。日本の近代は初めはその西洋の薫風に憧れたのだった。しかし、戦後は東からアホの西洋がやってきたということ。教育関係者は本著を読んでも、もはや希望は見つからず、どこから手を付けるべきかに途方に暮れるしかないのでは。日本の近代教育は遂に失敗だっ...続きを読むた、という気がしてならない。

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Posted by ブクログ 2013年07月15日

日本語に守られた日本の大学の特殊性と中世から伝統を持つ世界レベルの大学の特殊性を比較する。

日本の大学教育,いや,教育制度全般を変える時が差し迫っている。大学教育を小手先の改良をしても全体に波及するのに長時間かかる。全体を変えるには手続き上長時間かかるし,コンセンサスを取っていくのにも時間がかかる...続きを読む

多くの国民が高度な教育を受けられることは国力の高さに反映される(はず)。名ばかりの大学,名ばかりの高等学校となっていないだろうか。その国の最高学府で学問をする矜恃を教員・学生は持っているのか。

本の中で入学試験を受ける者の知的水準の違いを述べていた。知識量は日本も見劣りはしないであろう。その知識を生み出す場所で学問することへの意欲はどうであろう。

大学で学ぶということとは,大学を卒業する人材とは,社会における大学の存在意義とは,・・・改めて(初めて)真剣に考える必要があるな。

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Posted by ブクログ 2013年01月01日

東大からオックスフォード大学に移籍した著者の体験的、日英大学制度の比較と評論。大学教育に関心のある方なら必読書かなと思う。

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Posted by ブクログ 2012年12月24日

続いてイギリスの大学と日本の大学との比較論です.端的に申し上げれば,大学にもグローバル化の波が押し寄せており,オックスフォード大学のような名門中の名門大学が,精力的に変革を進めている一方で,日本の大学は「閉じたコップ」の中でのみ競争を続けているというものです.

当事者としては,こちらの方は多くの点...続きを読むで頭の痛い話です.

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Posted by ブクログ 2012年11月04日

読後感は、暗い。
内容が悪いのではなく、日本の状況を振り返るととてつもなく暗くなる。
「日本社会という閉じたコップの中」で大学改革は遅々として進まない。
教育の質を高めるには学修時間を増やせば良いというような答申が未だに出てるような状況だし、最近就任した大臣は裁量逸脱で混乱を招いている。

この本を...続きを読む読むとこのように暗くなるのであるが、あのオックスフォード大の専任教授としてこのような貴重なレポートを発し続けていただくことがコップを割るような改革につながっていかないだろうか。

潮木先生の解説がまた素晴らしい。
「我々は人材を失ったのではなく、強力なイギリス観察者をオックスフォードに送り込んだのではないか(p198)」
ホントにそうだと思う。続編に期待したい。

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Posted by ブクログ 2012年10月29日

前書のアメリカの大学に物足りなさを感じたのはおそらく時間経過であるということがわかった。リバプール大学の集中講義で学ぶよりも早く本書に出会うことができればよかったと感じる内容であった。

ただし、どうしても高等教育研究における各国の比較研究はエリート大学などに偏っている点が研究の網羅性として多いに疑...続きを読む問を感じてしまう。しかし、反対に考えれば研究のフロンティアは残されていることになるため、研究領域としては行き詰まりよりも明るいゴールドラッシュを望む西部開拓民のような心持ちで望めるものであると感じる。

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Posted by ブクログ 2017年03月24日

オックスフォードの教育のあり方がレポートされている。基本は、多くの課題図書を読んでエッセイをつくり、それをもとに教員と学生2,3人で議論する「チュートリアル」。オーソドックスだが手間のかかるそうした営みをきちんと行うことが、エリート(「教育された市民」)には必要である、という。ただ教員が講義する内容...続きを読むを理解し記憶するだけの日本の大学教育では、本当に考える人間は育たないということであろう。様々な雑誌・機関誌に書かれたものを一つにまとめているので重複が目立つし、掘り下げた探究はあまり見られない。日本でエリート教育を行うなら、どうすれば良いかという具体的な提案が、最後に述べられている。

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Posted by ブクログ 2014年01月25日

イギリスの大学がどういうものなのか、というのが書かれている。日本の大学はこのようになるべき、とかいう話ではなく、そもそも、文化が違うとしかいいようのない大きな違いで興味深く読むことが出来た。

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Posted by ブクログ 2013年05月12日

終章の「学修時間の確保を提言の中心に置かざるを得ないところに、日本の大学教育問題の根深さが表れている。」という所に、思わずひざをたたいた。

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