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Posted by ブクログ
榎本博明の「教育現場は困っている」に引用されていた所から興味を持って読んでみた。
本書の情報は2012なので少し古いが、2020年にも通じるところは多くある。著者の苅谷はイギリスの名門オックスフォード大学で教鞭をとる日本人だ。本書の内容は彼(在英日本人)から見たオックスフォードの内情について、そして日本の大学制度についてである。
●オックスフォード含めオックスブリッジは生活の中心となるカレッジと学科教育の中心であるdepartmentからなる。
●departmentは日本に似た講義形式の授業だが、カレッジでは毎週1度マンツーマンないし1対2程度で行われる個別指導だ。オックスブリッジの学びの中心はカレッジで学生は毎週大量の参考文献の読書(インプット)とそれについての議論、論文化を行う。
●学生の採用は、高い学力をクリアした上での面接重視で、教員は自分が指導したくなる、世界トップレベルの教育に耐えられる学生を採用し「教育された市民」をつくる。
●日本の大学教育は、大学での学問教育(知識の伝授の更に上にある、運用力)が特に人文社会系で行われていない、また社会的にも価値が認められていない。
●日本も「コップの内側」から世界に目を向けなければならない。
Posted by ブクログ
子供の大学の入学式で、この本の著者が来賓に招かれ、スピーチをしていたので読んでみようと思いました。
オックスフォード大学のチュートリアルという教育方法の話は全然知りませんでしたので、非常におもしろく、勉強になりました。マンツーマンに近い教育で学生を徹底的に鍛え上げ、インフォーマルな関係も含めて全人教育を施すというのは、現代の視点から見るとそうとうのアナクロニズムのようにも思えますが、これだけ世の中が効率化・均質化の方向に行ってしまった現代だからこそ、逆に極めて重要になってきているようにも思います。
子供にもぜひ読んで欲しいと思いましたが、本人は大学生活に忙しく、本には全く興味ない模様。この本に書かれている「大学ではエリート教育は決して行われない」日本の実情を再確認。それがいいのか悪いのか、悩ましいところです。
Posted by ブクログ
日本語に守られた日本の大学の特殊性と中世から伝統を持つ世界レベルの大学の特殊性を比較する。
日本の大学教育,いや,教育制度全般を変える時が差し迫っている。大学教育を小手先の改良をしても全体に波及するのに長時間かかる。全体を変えるには手続き上長時間かかるし,コンセンサスを取っていくのにも時間がかかる。
多くの国民が高度な教育を受けられることは国力の高さに反映される(はず)。名ばかりの大学,名ばかりの高等学校となっていないだろうか。その国の最高学府で学問をする矜恃を教員・学生は持っているのか。
本の中で入学試験を受ける者の知的水準の違いを述べていた。知識量は日本も見劣りはしないであろう。その知識を生み出す場所で学問することへの意欲はどうであろう。
大学で学ぶということとは,大学を卒業する人材とは,社会における大学の存在意義とは,・・・改めて(初めて)真剣に考える必要があるな。
Posted by ブクログ
読後感は、暗い。
内容が悪いのではなく、日本の状況を振り返るととてつもなく暗くなる。
「日本社会という閉じたコップの中」で大学改革は遅々として進まない。
教育の質を高めるには学修時間を増やせば良いというような答申が未だに出てるような状況だし、最近就任した大臣は裁量逸脱で混乱を招いている。
この本を読むとこのように暗くなるのであるが、あのオックスフォード大の専任教授としてこのような貴重なレポートを発し続けていただくことがコップを割るような改革につながっていかないだろうか。
潮木先生の解説がまた素晴らしい。
「我々は人材を失ったのではなく、強力なイギリス観察者をオックスフォードに送り込んだのではないか(p198)」
ホントにそうだと思う。続編に期待したい。
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