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米国と日本とでは大学の仕組みがだいぶ異なるのだという。確かに「米国の大学は入学するのは簡単だが卒業するのが難しい,それに対して日本では入学しさえすれば卒業は簡単だ」などということ耳にすることも多い。本書は,英国の大学に籍を置く教育社会学者による,TA(ティーチング・アシスタント)制度,シラバス及び授業評価,入学者選抜制度などの視点から書かれた日米大学比較論である。
ところで,本書は20年前に出版された同名の著書の新書版である。新書化にあたって元の著書の一部が削除され,替わりに一章及び各章末の新書版付記が追加された。しかし本書の内容は現在でも十分に読むに値する。例えば日米の大学教育を比較した第5章では,米国の大学において小規模クラスやTAによる手助け,また授業内容の詳細を伝えるシラバスが重要だと考えられている背景として,米国における学力問題があると指摘している。「それに対しアメリカでは、(・・・)学生の学力の分散は日本以上に大きい。」「したがって、(・・・)さまざまな教育上の工夫がどうしても必要となる。」(214頁)。しかし,ここで述べられている米国の大学が置かれた状況はまさに今の日本の大学のそれと同様のものであると言えるだろう。とすれば,本書が示す(当時の)米国大学における様々な教育制度は,現在の日本の大学制度にとっても参考になる点が多くあるに違いない。
このように本書の内容は古さを感じさせない。大学教育に関心を持つすべてのひとに強くおすすめできる本である。
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日本の学校は、掃除や給食そして部活など人間を作る全てを学ぶ、知識だけではない全人教育である。能力差を個人の努力で狭めることで、その精神力を身に着ける。
アメリカは、多くの情報からいかに個人の意見を作り出すかを学ぶことろが大きく違ってる。 これが日本人の強さと、グローバルに生きるには弱さにもなる点であろう。
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日本とアメリカの教育が置かれているコンテクストがよく分かる。20年前の著作だが、学問的な方法論と両国の底流にあるものは不変だ。
TA、シラバス、授業評価、トラック。どれもコンテクスト抜きには見る目を持てない。いわんや導入など。
最後の章の大学の漂流は、日米ともに深刻なのだな。
・モノローグとダイアローグ。さらにモノローグも成り立たない日本の昨今。
・体験学習はクリティカルシンキングを伸ばさない。
・グループより個人の学習のほうが、CLAに寄与する。
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第一章は少し古いがTAについてかなり詳しく解説してくれている。この部分をよむかぎりあでは、アメリカの大学の素晴らしさだけが伝わってくる。序説的な部分。第一章は読み物として面白く、かつアメリカの大学の授業とそのための準備も詳細。
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本書は,1992年に玉川大学出版部から出版されたものを新書版にしたものとのことです.
実際,タイトルにもあるように,書かれている内容は,TA,シラバス,授業評価に関する話題が中心で,既に日本の大学で導入され,運用されています.しかしながら,少なくとも私が勤務しているの大学のそれは,あまりにも形式だけの導入にとどまっており,一体どんな効果が期待されるのか全くもって不明です.私の推測では,その主要因は,教員,学生がともに当該制度の導入意図を十分に認識できていないこと,仮にできたとしても我々の業務過多を増長させるに過ぎないことが挙げられると思います.
従って,1992年に問題提起された本書のテーマは,現時点においても有効な議論となっており,一読の価値があります.と同時に,如何に日本の大学教育が構造改革を怠ってきたのかを象徴しているのではないでしょうか?
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オックスフォード大学に所属する著者によるイギリスの大学と日本の大学の比較。
入学者選抜は顔の見える相手として選抜を行う事、歴史に裏打ちされた自信がある事、チュートリアル制度によってきめ細かい指導を行うといった特徴が日本にはないものだという。
日本の大学はこれでいいのか、という事を考えるのによいきっかけになる本だと感じた。
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「アメリカのトラッキングは、競争の後で敗者を納得させる仕組みを前提にしている。あやふやな「夢」を与えるづける制度という視点は大変興味深い。こうしてみるとアメリカの大学制度に最早学ぶものは?という感一入。
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基本的には20年前に書かれた本なんだが、日本の大学にあるTA制度の期限などがあって面白い。
本学、立命館大学などにとっては参考になる本だろう。
アメリカの私学が陥ったのと同じ罠にはまりつつあるのは制約条件の諸相がにいているからだろうか
Posted by ブクログ
アメリカと日本との大学の違い、広く言えば、教育制度や文化の違いが学べる本。自分の知りたいことは後半にしか書いてなかったけど、他国の大学の制度の部分を覗いてみたいなーて人におすすめ!TA制度、授業評価、アメリカの大学への消費者思考、もっと日本の大学に広まればいいな〜
Posted by ブクログ
教育学分野における新書とは独特の雑味があると感じる。およそ200ページに抑えることができない本来の研究内容を割愛しすぎ詰め込みすぎるがゆえに曲解や誤解を招きえると感じる。その点から非常に残念に感じた。
アメリカの大学はあまりに規模が大きすぎて、正直なところ誰も理解しえていないものと考える。アイビーリーグを含め本当に上位中の上位について、日本との高等教育の比較で語られることがある。日本の大学についても同じ読みとり方がされており、ますます高等教育の現状を掴み損ねると感じている。そういう半面もう少し研究対象としての肥沃な大地が広がっているとも捉えられる。いずれにせよ、本書ではアメリカの大学、ニッポンの大学の全容はわからない。初学者が興味を抱くための入門中の入門であると思う。