苅谷剛彦のレビュー一覧
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日本の大学のグローバル化が叫ばれ、英語による授業などが叫ばれているが、オックスフォードや欧米の主要大学は、そもそも外国人の優秀な学生が多く集まり、今ではそれが院ではなく、学部に及んできているという。オックスブリッジ、米国の主要大学が国家の成立前から存在し、国家人材を育ててきたという歴史の前に、明治から国策で大学を作ってきた日本との歴史の違いを感じる。英国の大学でなんと1.4兆円の外貨を毎年稼いでいる。それが、EU離脱によりどのように展開していくのか、英国の衝撃の大きさが分かる。本当の意味でのグローバル化は、外国から優秀者を集めるべく、世界の有名大学と競い合うことなのだけど!を痛感する。世界大
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オックスフォードの教育のあり方がレポートされている。基本は、多くの課題図書を読んでエッセイをつくり、それをもとに教員と学生2,3人で議論する「チュートリアル」。オーソドックスだが手間のかかるそうした営みをきちんと行うことが、エリート(「教育された市民」)には必要である、という。ただ教員が講義する内容を理解し記憶するだけの日本の大学教育では、本当に考える人間は育たないということであろう。様々な雑誌・機関誌に書かれたものを一つにまとめているので重複が目立つし、掘り下げた探究はあまり見られない。日本でエリート教育を行うなら、どうすれば良いかという具体的な提案が、最後に述べられている。
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アメリカやイギリスとの比較を通して、日本の大衆教育社会の形成とその問題を考察した本です。
イギリスでは階級が、アメリカでは人種が、学歴の再生産と密接に結びついていることがはっきりと見えるのに対して、日本では高度成長によって目に見えやすい貧困がなくなった結果、学歴の再生産が論じられることは少なくなっていきましたが、その背後で不平等の再生産がますます強化されつつあると著者は論じています。
さらに、能力主義教育への批判が浸透し、誰でも同じ教育を受けられる制度が行き渡ったことで、メリトクラシーが大衆的規模に拡大し、階層的なアイデンティティを持たずノブリス・オブリージュを備えていない学歴エリートが増 -
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さまざまなデータを検証して、「ゆとり教育」が推進されてきた背後にある考え方が、もはや通用しないものになっていることを論じた本です。
戦後、子どもたちの学習時間がどのように推移してきたのかを分析して、子どもたちが過度の受験競争に苦しんでいるという「ゆとり教育」の根拠になっている事実が存在しないことを、説得的に示しています。
また、「生きる力」を育てることをめざす「新しい学力観」とそれに基づく「子ども中心主義教育」が、具体的な手段を欠いているために実効性に乏しいという批判をおこなっています。
「ゆとり教育」の問題が喧しく論じられるようになり、その見なおしがおこなわれた今となっては、すでに広く -
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何を思いながら教師は教壇に立つのか
何を思いながら生徒は椅子に座るのか
生徒は受け身でもまだいい
しかし教師はそうはいかない。
何を教えたいのか
何を学ばせたいのか
どんな力を社会は必要とするのか
どんな力がこれからこの子を支えていくのか
考えない教師はきっといない
でも日々の業務に追われ
忘れる教師はきっと多い。
忘れたままにしないように
「教えたい」
という初心に戻るために
本書は有効となるだろう。
情熱だけでは教師になれない
時々で自分に対して
授業に対して
子どもに対して
「クール」な評価を下せる
そんな教師で溢れてほしいと願う。