苅谷剛彦のレビュー一覧
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2008年刊行の単行本を文庫化したもの。一般向けの読み物なんだろうが、何となく論文の寄せ集め的なテイスト。内田樹が解説を書いている。
1章 階層で学力が決まるのか、学力が階層を作るのか
階層で学力が決まりますよね、という結論。89年と01年それぞれに大阪の一部小中学校で行われたアンケート調査(もともと89年調査は同和問題へのアプローチ、01年はその後の時系列変化を調べることを狙っている)を、統計的に分析している。統計の詳しいところは分からんのだが、家庭的背景→学習への態度・意欲→学力というパスが示唆されているっぽい。しかもこの12年の間にその関係が強まっている。授業についていけない層をどう底 -
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日本の大学のグローバル化が叫ばれ、英語による授業などが叫ばれているが、オックスフォードや欧米の主要大学は、そもそも外国人の優秀な学生が多く集まり、今ではそれが院ではなく、学部に及んできているという。オックスブリッジ、米国の主要大学が国家の成立前から存在し、国家人材を育ててきたという歴史の前に、明治から国策で大学を作ってきた日本との歴史の違いを感じる。英国の大学でなんと1.4兆円の外貨を毎年稼いでいる。それが、EU離脱によりどのように展開していくのか、英国の衝撃の大きさが分かる。本当の意味でのグローバル化は、外国から優秀者を集めるべく、世界の有名大学と競い合うことなのだけど!を痛感する。世界大
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オックスフォードの教育のあり方がレポートされている。基本は、多くの課題図書を読んでエッセイをつくり、それをもとに教員と学生2,3人で議論する「チュートリアル」。オーソドックスだが手間のかかるそうした営みをきちんと行うことが、エリート(「教育された市民」)には必要である、という。ただ教員が講義する内容を理解し記憶するだけの日本の大学教育では、本当に考える人間は育たないということであろう。様々な雑誌・機関誌に書かれたものを一つにまとめているので重複が目立つし、掘り下げた探究はあまり見られない。日本でエリート教育を行うなら、どうすれば良いかという具体的な提案が、最後に述べられている。
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アメリカやイギリスとの比較を通して、日本の大衆教育社会の形成とその問題を考察した本です。
イギリスでは階級が、アメリカでは人種が、学歴の再生産と密接に結びついていることがはっきりと見えるのに対して、日本では高度成長によって目に見えやすい貧困がなくなった結果、学歴の再生産が論じられることは少なくなっていきましたが、その背後で不平等の再生産がますます強化されつつあると著者は論じています。
さらに、能力主義教育への批判が浸透し、誰でも同じ教育を受けられる制度が行き渡ったことで、メリトクラシーが大衆的規模に拡大し、階層的なアイデンティティを持たずノブリス・オブリージュを備えていない学歴エリートが増