苅谷剛彦のレビュー一覧
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大学は死んでいる吉見俊哉☆☆☆
現代の大学論・改革論の基礎を網羅している、著者の見識の深さ素晴らしい
されど日本社会は、少子化・財政逼迫の中で争われ、中期ビジョンの実行のための取組は為されにくい
1.大学の環境変化
①18歳人口激減②グローバル競争激化③Digital革命の社会構造変化
91年大学設置基準の大綱化
大学院の劣化 教養教育の弱体化
「カレッジ」大学の基本
生活共同体(旧制高校) 帰属の単位→エリートの育成
2.大学改革の機運
①日本社会にとって大学の重要性が高まる
②従来の大学教育には問題があった
③科目数の多さ15科目
米国は5つゼミのごとく 2冊読破/毎週→ハード -
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大村はまに関する著書は何冊か読んできたが、何度読んでも大村はまの言葉には身につまされる。
本書も何度も繰り返し読みたくなる金言、また私もやってみたいと思える実践がたくさん。
例えば、目標を具体化し、その評価を毎回の授業のたびにしていたというエピソードや、中学生を大人にするために話は必ず一度で聞くようにさせたこと、掲示物はこまめに張り替えていたことなどが印象に残っている。
どれも奇をてらった取り組みではなく、むしろ当たり前にやらなくてはいけないことなのかもしれない。
しかし、実際にこれらを継続的に行うには教師の覚悟が必要である。
大村はまの言葉からその覚悟と教師としての矜持を感じた。
72歳まで -
Posted by ブクログ
榎本博明の「教育現場は困っている」に引用されていた所から興味を持って読んでみた。
本書の情報は2012なので少し古いが、2020年にも通じるところは多くある。著者の苅谷はイギリスの名門オックスフォード大学で教鞭をとる日本人だ。本書の内容は彼(在英日本人)から見たオックスフォードの内情について、そして日本の大学制度についてである。
●オックスフォード含めオックスブリッジは生活の中心となるカレッジと学科教育の中心であるdepartmentからなる。
●departmentは日本に似た講義形式の授業だが、カレッジでは毎週1度マンツーマンないし1対2程度で行われる個別指導だ。オックスブリッジの学びの -
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ネタバレ外国語習得の基盤は母語(国語)。「第二言語としての英語」(ESL)≠「外国語としての英語」(EFL)。後者を意識的に勉強した学生の読み書き能力が高いことは珍しくない。異言語習得の基盤は「母語」だから。
BICS(日常会話力)CALPS(認知的学習言語能力)。CALPSにはまず、母語の獲得が大切。だから母語を獲得してから海外に行った方が学習言語を習得するのが早い。
にも拘わらず、(日本語が覚束ない)幼少期から英語漬けにしようとする。母語をしっかり獲得しないから、日常会話レベルの発音だけは流暢になっても学習言語の修得がおぼつかない。にも拘らず、もてはやされるのは日常会話レベルの流暢さ。
考えて -
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教えるとは、学ぶとはどういう営みなのか。教師が生徒に教えるという上から下へに知識を授けるというような方法をイメージしがちな気がするのだが、果たして本当にそのようなことが可能なのだろうか。自身の経験を思い起こしてみると、教師に教えてもらうことがなかったとは言わないが、本当に学ぶということは自分で本を読み、話を聞き、調べ、自分の頭で考え、書き記し、まとめ、テストへの回答や文章にするなど何らかの仕方で出力する過程を経ることで学びとしてきたように思う。それゆえ、教師とは教える存在というよりも、生徒が学ぶ方向づけをし、学習のペースを崩さないように見守り、時に調整をしてくれるコーチのような存在なのではない