苅谷剛彦のレビュー一覧
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ネタバレことばの力とは何か? どうやって育てるのか?
それぞれ専門分野が異なる3人の往復書簡のような意見交換。自分の中では鳥飼先生の分野にもっとも馴染みがあるので、鳥飼先生の意見が一番スッと入ってきた。しかし大村はまという大きな教育をどのように受け継ぐかは興味がある。教育に王道なしとはよく言ったもので、同じ生徒、同じ先生という条件にはないのだから、唯一絶対のメソッドなんてない。大村はまの教育がどんなに優れていようと、うまく適用されない現場や生徒がいるだろう。だからそれぞれの優れた教育法の核を認識して、教員がそれぞれの教室で一人ひとりの生徒をよく見て、もっとも適した方法を取る必要があるのだ。それはとて -
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「正解のない問題について、自身で考える力」が大切だと言われて久しいですが、どのようにそれを訓練するかを教えてくれる良書です。
「ありきたりの常識や紋切り型の考え方にとらわれずに、ものごとを考えていく方法」
これを「知的複眼思考法」と定義して、その重要性と養い方を説いています。
情報が溢れる現代において、間違いなく重要なスキルであり、批判的な読書については、是非実践していきたいと思いました。ただ、「単眼(常識を信じる)=悪」だとも一概に言えず、ステレオタイプや常識は、脳のメモリを節約できる利点があるため、日々多くの情報に接する我々には、ある種なくてはならないものとも言えます。大切なのは、我 -
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#大学はもう死んでいる ? #刈谷剛彦 #吉見俊哉 #集英社新書 #読書記録
283ページの新書の中で、日本の大学改革についてから、グローバル人材の定義、日本の大学と知と出版について、日本の大学の成り立ち、難しさ、優位性についてまで、幅広く語られる。
最後は、それまで端端で語られてきたように、オプティミズム。
語られる中で、自分の仕事に結びつけて、考える。それは、大学改革というテーマに関わらず、人の生き方や、考え方や、動き方について。
これが、いわゆる知なのだろうと、文系の学問の意味のものすごい狭ーいけれど、発展的なものなのだろうとも思う。
脳に汗が出るほど考える、思考する日々を、学 -
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私の所感では、「ロジカルシンキングをどう実践するか」をテーマにした本だと受け取った。「問いを立て、問いを解く技術」の方がふさわしいように思う。
著者のオックスフォード大学での「チュートリアル」の経験をそのまま日本に持ち込んだ。「チュートリアル」とは、欧米の大学の厳しさの代表格で、ある課題について大量の図書を読んで小論文を執筆し自分なりの答えを出すというもの。例として、「日本の教育は社会の平等・不平等にどのように貢献したのか」を取り上げている。少人数の学生に大学講師が張り付いて手厚い指導や深い議論を行う。
本書の大半は学生と著者の指導・議論で構成される。
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<目次>
序章 「問いを編集する」とはどういうことか
第1部 いかに論理を組み立てるか
1日目 抽象と具体によって課題を明確化する
2日目 分析枠組みはこう使う
第2部 自分で解くべき問いを見つける
1日目 問題意識を俯瞰する
2日目 関心をコンテクストにのせる
3日目 キーワードを探すために
4日目 問からリサーチ・クエスチョンへ
学習レポート~チュートリアルを振りかえって
<内容>
オックスフォード大学で教鞭をとる苅谷剛彦が、オックスフォード大学留学経験のあるライターを相手に、英国流の課題解決の流れを公開したもの。話は硬いが、子弟の会話で進んでいくので、ポイ -
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2008年刊行の単行本を文庫化したもの。一般向けの読み物なんだろうが、何となく論文の寄せ集め的なテイスト。内田樹が解説を書いている。
1章 階層で学力が決まるのか、学力が階層を作るのか
階層で学力が決まりますよね、という結論。89年と01年それぞれに大阪の一部小中学校で行われたアンケート調査(もともと89年調査は同和問題へのアプローチ、01年はその後の時系列変化を調べることを狙っている)を、統計的に分析している。統計の詳しいところは分からんのだが、家庭的背景→学習への態度・意欲→学力というパスが示唆されているっぽい。しかもこの12年の間にその関係が強まっている。授業についていけない層をどう底