雫井脩介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(上巻からの続き)非常にテンポがよく、どんどん読ませる惹き付け力はあるのだけれど、おそらく多くの読者が思ったであろう「このトリックいいの?」感がなんとも。トリックがわかったからといって減速するわけではなくやはり読み進めてしまうのだけれど、うーん、これだとどんな犯罪も可能になってしまうよなぁーと。
ただ、これは犯人やトリック探しのストーリーではなく、犯人の心の闇深さや強い動機をこのような形で描いたものだと考えればありかな。
どう考えても警察はもっと早くにこの犯人にたどり着いて然るべきだと思うし、犯人の最後の台詞も謎ではあるけれど、最後まで読んだ上で上巻の最初に戻ると非常に切ない気持ちになりそうな -
Posted by ブクログ
父親である島尾明村のキャラクターが軽すぎる。
それなりに過去の因縁もあり、読み終わってみれば面白かったとは思うのだけれど。
登場人物たちの行動に説得力がない。
個性的なキャラクターを揃えているのに、読み進めば進むほど軽さを感じてしまった。
重ければいいというものではないにしても、明村が何故そんなにも「見た目」にこだわるのかもよくわからなかった。
やたらと足が吊る設定も必要だったのかどうか。
好きな作家さんだけに残念な思いが先にたつ。
読みやすいしけっして面白くないわけではないけれど、「堪能できた」と言いきれる物語ではなかったような気がした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻読んでの感想
登場人物たちが複雑に交錯している中、新たな事件も起こり物語は進んでいく。
病に侵され先の見えてしまった老刑事が、執念で事件に迫る。
「貌」を題材にしたところが面白いなぁと。
とくに上巻がテンポもよくてグッと引き込まれた。
それぞれの人物像も丁寧に描かれていて、具体的なキャラクターが伝わってくる。
差し込まれているエピソードなどもいい。
犯人は途中でわかってしまうし不自然なところも多少あるけれど、物語としての面白さには影響していないように感じた。
人と人、人と自分、自分と自分。
ミステリーとしての面白さよりも、心の裏側に潜む闇のようなものを描いた人間ドラマとして読んでしまった