夢枕獏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
30年かけてもまだ未完、という壮大なファンタジー。
母に聞いたら、母も当時発売されたときに読んだそう。
今回、新装刊行されていたのを機に購入。
表紙からラノベのような印象を受けていたが、骨太で全くそんなことはなかった。
獣に喰われる悪夢を見る以外は、ごく平凡な日々を送っていた美貌の高校生・大鳳吼(おおとりこう)。
だが学園を支配する上級生・久鬼麗一と出会った時、その宿命が幕を開けた…
美貌の少年という時点で平凡ではないのではと思ってしまうが、
1巻では話は進まないものの、成長が見てとれるのが楽しい。
すんなりと作品に入り込める文体も好きだなあ。
陰陽師読んでみようかしら。 -
Posted by ブクログ
《本文より》
世間の全てが、自分たちの敵となっていることを、采女は実感した。
腰のものを抜いて、ここにいる見物人全員を斬り殺してやりたかった。
采女が、生まれて初めて、心に抱いた煮えるような殺意であった。
不思議と赤穂の浪士たちに、恨みは抱かなかった。
この世間に、采女は厳しい憎悪を抱いたのである。
浪士たちはこの世間によって踊らされたのだ。
吉良は、あの好人物は、この異様な世間によって殺されたのだ。
お前たちの思い通りになぞ、なってやるものか・・・・
腹の中で、その言葉を何度も幾度も噛みしめながら、采女は、伴大夫と共にその場を後にした。 -
Posted by ブクログ
全2巻。
生類憐れみの令が出た頃の
釣り師たちの話。
陰陽師のイメージの強い著者。
名前が好きじゃないこともあって
敬遠してきたけれど、
表紙がかっこよくて読んでみる。
表紙画は松本大洋だった。
事件を予感させるミステリアス出来事から物語は始まるが、
肩すかし。
中盤になって物語はつながっていくものの、
ハッキリ一本の筋が通っている訳ではなく、
釣り師たちの群像劇な感じ。
江戸時代の釣り師たちの話なんだけど、
中盤以降しばらく釣りの話は出てこない。
生類憐れみが出たから。
とはいえそれに対抗して事件を企てるでもなく、
なんとなく月日が流れて、将軍死んで、よかったね。
著者の初めて読 -
Posted by ブクログ
登場人物がバラエティーにとんでいる・・・
下巻が楽しみですね。
《本文より》
釣りに行くというのは・・・
釣りが好きだからだ。
釣りが好きだから、釣りに行って癒される。
しかし、その癒しを得るために竿を握るわけではない。
かといって、目の下一尺の鯛が釣れればそれでいいのかと、
そうゆうことでもない。
何故、釣りにいくのか、何故、釣りがすきなのかというのは、
うまく言葉にできない。
何故だろう。
何故だろう。
その問いは、問いとして、采女にとって根本すぎた。
何故、人は食べるのか、あるいは、人は何故生きるのか・・・
采女にとって、釣りはそういうものである。