夢枕獏のレビュー一覧
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平安時代に活躍した陰陽師安倍晴明とその友の源博雅を
描いたシリーズ第七作目。
このシリーズには一つの「おきまりのパターン」がある。
いつも物語は、晴明の屋敷で二人が庭を眺め、
変わり行く景色を感じながら酒を飲むシーンから始まる。
素直でロマンティストな博雅は、その庭から感じ取った
あるがままの自然の姿について自分の感想をを率直に述べ、
それを晴明は不思議な微笑を浮かべながら聞いている。
時に博雅は、そこから生じた疑問を晴明に投げかけると、
晴明は「呪」の言葉を用いて説明しようとする。
しかし、単純な男である博雅は、
晴明の「小難しくてややこしい」説明を嫌がる。
本当は博雅はその「ややこし -
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シリーズ第五作目は、某新聞社の夕刊に連載された長編。
そのため若干今までの作品と趣が違う。
本作は、「付喪神ノ巻」の中の短編「鉄輪」を
長編化したものである。
そのため、私にとって、
短編版の「鉄輪」を初めて読んだ時に受けたショックや
感動があまりに強かったために、
改めて長編化した「生成り姫」を読んでみたら、
既に一度読者の心に向かって発された題材を、
いかに著者の夢枕獏氏が
その筆力を駆使して料理し直しても、
この物語から受ける感動は薄れ、
熱は冷めてしまった感がある。
それでも、この切なすぎる物語のラストは、
何度読んでも、短編も長編関係なく、
ぐっと胸に迫ってくるものはある。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第四作目。
悪くはないと思う。
悪くはないと思うのだが、
しかし、自分の気持ちの問題で相済まないが、
前作に圧倒的に感動させられてしまったため、
その後に続くこの巻の印象がどうしても薄い。
「付喪神ノ巻」の存在がなければ、
もっと高い評価をしていたと思う。
晴明がライバル蘆屋道満と術の競い合いをする
この巻ラストに収録されている作品は、
ある意味このシリーズのファンが
「いつの日か・・・。」と
待ちに待ったシチュエーションだと思う。
この作品を読むと、蘆屋道満という人間が、
この「陰陽師シリーズ」の作品中において、
ただ悪役的役割をこなしている訳ではない事がわかる。
彼は、晴明と