夢枕獏のレビュー一覧
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25年ぐらい前に読んで押入れにしまっていたのを読み返した。
前に読んだ時と今では、感じるところが違う。最初に読んだ時は主人公の年齢より12歳ぐらい年下で、今では14歳年上。
空手道場のビジネスマンクラスに集う面々と練習あとに居酒屋で語らいながら、『練習した後のビールの味を知ったらやめられなくなりますよ!』という様なセリフ。自分も身近にそんなところがあれば、仲間になりたいなという様な感想をもった25年前。
今回は登場人物それぞれが抱えているものやこだわり。最後に主人公が洩らす嗚咽。
空手道場の館長の父親のセリフ『こだわって悪いのか。おれだって、こだわりたかあない。こだわれたくはないが、こだわって -
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「ゆうえんち」最終の5巻。
体の裡に棲む魔性が蠢き続ける限り、敗北ではなく勝利への途中という思考だったか柳龍光。気持ち悪さが「ゆうえんち」の柳はたまらなくぞわぞわさせる。これのあと死刑囚編の柳を見ると、毒気が薄れたように思えます。
柳との決戦の後、蘭陵王との戦いに臨むことになった無門。彼もあちら側へ行く有資格者でした。ここの挿絵がオーガ、愚地独歩、松本太山、柳龍光、神奈村狂太、久我重明の面々。獅子の門をくぐり、あちら側へと歩を進めた無門。その最初の相手が蘭陵王か。
ここの戦いもそそるものがありましたが、さらに古から続く闘争の歴史があるという新事実の披露がとんでもない好奇心を生み出してしま -
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羽生丈二。なんと不器用で、魅力的な男だろう。 なぜ山に登るのか?という問いにマロリーは「そこに山があるから」と答えたという有名な言葉があるが、「ここに俺がいるからだ」という羽生。
誰もなし得ていないエベレスト登山に己の全てを注ぎ込む人生。少年から青年になり、年齢を重ねると共に社会に適合するようになっていく周囲の人々とは異なり、常に山だけを見据える。
決してスマートな生き方ではないのに、小説の中の深町のようにいつのまにか引き込まれていく。
酸素の薄い地点で高山病に苦しみ、意識が朦朧とする中で、とりとめもない考えががぐるぐる回る様子に、エベレスト登山のリアルさ、怖さを文字から感じた。
なぜ山に -
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原案・板垣恵介、原作・夢枕獏、漫画・藤田勇利亜『漫画 ゆうえんち 4』秋田書店。
全5巻をもって完結した夢枕獏の『小説 ゆうえんち』でイラストを担当した藤田勇利亜が漫画化するという何ともややこしい作品。
第4巻。まだまだ『ゆうえんち』には辿り着かぬのだが、オリジナリティが効いていて非常に面白い。
師匠の松本大山の仇を討つために主人公の葛城無門は柳龍光の居場所を探す。無門はかつての柳龍光の師匠であるマスター国松の元を訪ねる。相変わらず不気味な国松。
国松との死闘から生還した無門は久我重明に柳龍光が参加しようとしている『ゆうえんち』のことを聞く。
夢枕獏の原作には無かった『ゆうえんち』の -
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ネタバレ私、夢枕さんの原作至上主義なんですが、ほんとに、この作品の博雅さまは博雅さまのこう、核というかこれがなくてはその人にならない、ところがかっちりと入っていて、魅力的なのです。
この作品での衣を着崩して、ちょっと無精ひげがあって、へらっとしてるのに品があって、音楽に真摯で音楽に愛されまくっている、柔い方言で話す博雅さまは、本当に博雅さまだ!!!とおもうのです。この作品全体に言えることなんですけど、夢枕先生の陰陽師の譲れない点をきっちり踏まえてそのうえで伊藤先生の魅力がうまく乗っかっていて、すごく好きです。
晴明さまとの関係性も、違うように見えるんですけど、枝葉を落としていくと結局のところ、博雅さま -
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私がフォローしてる〇〇さんの感想を見て読んでみたくなった作品。「神々の山嶺」以来、久しぶりの夢枕獏先生。
冒頭いきなり「まえがき」で著者が語る。
「いいなあ。
まっさらな状態でこれが読めるなんて。
あなたのことが。ぼくは本当にうらやましい。
作者が本気で読者に嫉妬しているのであります。
2008年9月12日
東京にて 夢枕 獏」
より始まる物語。
相当な入れ込み様です。
これに近い導入は何度か他の著者にて拝読した事がありますが、読む前にハードルが上がってしまい逆効果で残念な手法として記憶しています。
しかしながら流石夢枕獏先生。私の予想を良い意味でかるーく裏切ってくれました。
確かに面白い。 -
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シリーズ5番目
晴明からたびたび、お前は良い男だな、優しいな、と言われる博雅の魅力がいっぱいに散りばめられたストーリーとなっています。
博雅と晴明のキャラもよく見えて、エンタメとして読むのが楽しみになってきました。
。。。
博雅と長年の思いびとの徳子姫との一部始終。
博雅の笛を橋の袂で聞いたことから、お互い恋心を持ってきたが、徳子姫は別の男性と結婚して、そののち捨てられ、鬼に変貌してしまった。男性の新しくできた恋人を呪い殺し、浅ましい姿になり、それを博雅に見られるという失態。
恨みと辱めと愛憎がぐるぐるして恐ろしい情景が描きだされるのだが、最後は大きな博雅の愛に包まれて、元の徳子に戻ってい -
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文句のつけようなど一つとしてございません。
漫画→アニメ映画→原作という順だが、
結局この原作小説が一番心に来た。
理由の一つに、とにかく夢枕獏氏の文章の巧みさ、読みやすさが上がる。
本当に賢い人は、誰にでも伝わりやすい言葉で簡単に表現できると言うが、
まさに氏のような方のことを指すはずだ。
とにかく氏の文章は、読み易いばかりでなく、人や時代が匂い立つように浮き上がる。
こと本作の表現の話題になると、
冬山の美しさや冷徹なまでの過酷さ、孤高の登山家の心の在りようなどに焦点が当たる。
しかし私はそれ以上に、
当時の日本の情景や日本人たちの描写が異様に巧みであるがために、
その勢いのま -
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とにかく登山家たちの登頂への思いは想像するより遥かに強い。
エベレストに三度挑んだジョージ・マロリーが登頂できたのかは、マロリーが亡くなって何十年も経った今でも謎のままである。
ネパールの地で、マロリーのカメラの謎と羽生という登山家を追う深町。
ある意味山岳ミステリーとも受け取れる作品。
主人公の深町自身は、ちょっと情けないというかふがいないというかそんな印象を受けるが、その経験を通して強く成長していく。
そこら辺も見所のひとつだと思う。
マロリーが残した名言「そこに山があるから」は、正確には「そこにエベレストがあるから」である。
なぜか日本語ではエベレストを山と訳されるのだが。
実在の登山家 -
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ネタバレこの物語は主人公・安倍晴明の活躍と、その親友である源博雅の悲恋を描いた物語です。
博雅は12年前のある夜、得意の笛を吹いている時に一人の姫と出会う。
その後も笛を吹くたび現れる姫。彼は名も知らぬまま彼女に惹かれ、いつしか会えなくなってからも ほのかな想いを持ち続けていた。
時が流れ、博雅はある男から相談を受ける。
かつて情を通じたが今では疎遠になった姫が、夜な夜な呪いをかけて男を殺そうとしているというのだ。
博雅は男を救うべく親友・晴明の力を借り、共に姫を待ち受けるが、生成りとなり現れた女…徳子姫は 彼が思いを寄せたその人であった。
あさましき姿を博雅に見られたことに絶望する徳子