夢枕獏のレビュー一覧
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敦煌にある千仏洞の莫高窟に赤が描いた絵が赤図で、下法曼荼羅図。それを模写したギャツオがチベットに帰り、開いたのがカルサナク寺。それから千年余りの時を経て、カルサナク寺にやってきたタクトラが赤図に魅せられたのが、今から二百年ほど前。タクトラは敦煌の莫高窟で絵を見た後、羊の皮の絵とそれを包んでいた皮を経堂に納めて土で封印し、チベットにもどり、頭の中に焼きつけてきた絵をカルサナク寺の地下に再現。そこで下法を試み、狂仏となった。タクトラがカルサナク寺を出て建てたのが、ツォギェルが修行することとなったドルマ寺という不思議な因縁。古から語られてきたキマイラのルーツがやっとツォギェルに繋がり、彼もまた狂仏と
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今度は、秦の始皇帝と徐市(じょふつ)の話で、ここにも赤(せき)が出てくる。始皇帝も不老不死を追い求め、キマイラが始皇帝の死に関係しているという。どこまで歴史の中にキマイラは存在しているんだ。でも、今回は、龍王院弘の復活だ。復活にとどまらず、進化している。あのフリードリッヒ・ボックにここまでやるかというところまで来た。ボックとの対決は、一応の結末を見た。凄いの一言。作者夢枕獏の描く闘いは、読みながら頭の中に鮮やかに動きが浮かんで、ワクワクゾクゾクしてくる。こんなシーンを今まで待っていた。ここまで読んできてよかったと思えた。それにしても、その次はまたしても狂仏ツォギェルの過去の話。テンジン・ツォギ
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まさか西城学園を支配していた「もののかい」がルシフェル教団と関わっていたなんて。この事件を機に九鬼のことが知れて、ボックが1年後日本に現れることになる。トランシルヴァニア症候群や伯爵病についても、ここで触れられている。そして、この事件で闇狩り師のあの人がキマイラ本編にサプライズ登場。長く書き続けられていると、こんなこともあるんですね。さて、この後でグルジェフの過去まで語られ、(また1人掘り下げられた、阿久津まで含めると2人か)やっと現在に戻りました。九鬼玄造達、九十九と雲斎、大鳳は、拉致された深雪が伊豆にいることをそれぞれに知る。深雪を助け出すために動く大鳳。ついに割れた円空山の裏手の石、九十
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深雪の事件を知った龍王院弘は、九鬼玄造の屋敷へ。捕えられた菊地は、金髪の少年グリフィンと対峙する。円空山に戻ってきた雲斎は、大鳳と一緒に雪蓮の一族である亜室健之に会ってきたと告げる。そして、雲斎は亜室健之から聞いたキマイラの秘密について九十九に語り出す。またまた過去の話になり、いよいよキマイラの秘密に触れるのだが。遥かな昔、中国の周の時代に遡り、赤須子(せきしゅし)と耼(たん)の話。そして、インドのシッダールタとセキ(赤須子)の話では、十番目のチャクラがアイヤッパン・チャクラだと判明。それにしても、キマイラの謎に迫るためにもっと過去の話になり、また一巻だけでは終わらない。どこまで行くんだ、あと
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橘瑞超の『辺境覚書』、吉川小一郎と能海寛の『西域日記』、この2冊を読んでいるのが九鬼玄造と梶井知次郎で、そのことを九十九三蔵や宇名月典善、菊地良二に語っているのが九鬼玄造であるという複雑な状況の現在。語っている最中にも、忍び込んできた金髪の青年と、キマイラの腕を典善が取り合いになり、半分を持ち去られる事が起こる。しかし、過去の話はまだ続く。能海寛と真蓮との出会いがきっかけで能海は狂仏になり、下法曼荼羅図をこの世から抹殺して不老不死の秘密を守り、真蓮と共に王母の谷に帰らなければいけない務めがあったことを能海の手記から知る玄造と梶井。玄造は、馬垣勘九郎の葬儀の後に起こった息子の勘十郎とアレクサンド
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父勘介の死から中国大陸を渡り歩くことになった馬垣勘九郎は、橘瑞超や吉川小一郎の探検隊と巡り合う。それから出合った幻獣との闘いで獣の腕を勘九郎が切り落とし、橘瑞超が持ち帰ることになる。キマイラの腕は、再び勘九郎のもとへ来るが、すぐに九鬼玄造へと渡る。ここまでの話を丁寧に語るために、馬垣勘介・勘九郎の父子から始まり、前田光世、周礼文、徐分強、王洪宝、ハッケンシュミット、そして、橘瑞超、吉川小一郎、ついに、グルジェフ、アレクサンドル、曹元深、謎の少年といった核心に迫る人物達が登場してくる。虚実の様々な人物が絡み合い、キマイラの謎が描かれているが、やはり長い。でも、おもしろい。ソノラマ文庫で出版されて
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吐月と九鬼玄造が再会することによって語られる玄造の過去。玄造が持っているキマイラの腕がどのようにして日本に持ち込まれたのかを知るために、話は明治時代の大谷探検隊について触れることになる。でも、事実に絡ませてキマイラの真相に辿り着くように話を紡ぎ出すのは凄い。橘瑞超、吉川小一郎、能海寛といった実在の人物達のことも知らなかった。玄造が若い頃に出会った馬垣勘九郎がその探検隊に関係するということからまたその前の明治時代に話が移っていく。どこまで遡るというのか。馬垣勘九郎の父、勘介が大陸に渡ることになるところまで遡り、格闘家のことになると長くなる作者の癖が出ているような。とうとう次巻まで過去の話は続く。
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巫炎、大鳳、九鬼の関係が明らかに。しかし、キマイラの謎はそのまま。雪蓮の一族を知る手がかりは吐月に話を聞くことなのか。九鬼はキマイラ化が抑えられないまま。そして、物語は少し動きました。玄造の屋敷に忍び込む大鳳が菊地と対決、典善も。さすがに2人を相手にしてはというところへ巫炎が助けに入り、そこに斑孟も関わり…。巫炎に対する斑猛の復讐心に決着。やはり、この物語は対決シーンがおもしろいです。誰が誰とやり合うか、そんな場面をいくつも紡いでいけるのが夢枕獏だと思います。それだけなら、これまでも夢枕作品には、「獅子の門」「餓狼伝」等があります。様々な対決を描きながら、キマイラという獣の謎に迫り、大鳳と九鬼
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原案・板垣恵介、原作・夢枕獏、漫画・藤田勇利亜『漫画 ゆうえんち −バキ外伝− 8』秋田書店。
5巻をもって完結した夢枕獏の『小説 ゆうえんち』でイラストを担当した藤田勇利亜が漫画化するという何ともややこしい作品。
月1連載につき、ようやく第8巻に到達。今回は主人公の葛城無門の闘いは無い。
夢枕獏は『ゆうえんち』を執筆するにあたり、板垣恵介から範馬刃牙と範馬勇次郎を登場させてはいけないが、それ以外は自由にやって良いと制約を受けていたようだ。恐らく、懐の深い夢枕獏のことだから、藤田勇利亜に一切の制約をしてないのではないかというくらいに原作とは内容が異なる。しかし、却ってそれが面白いのだ。
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久しぶりに夢枕獏先生の作品を読んだ。
陰陽師シリーズが好きだったので、これは江戸版陰陽師…?ということでワクワクだった。
短編2話、中編1話という感じだった。
たぶん陰陽師なのであろう遊斎が(遊斎が何者なのかははっきりと書かれていない)、読み進めるうちにどんどん魅力的になっていって、自分の中でちょっと推しになってしまった(笑)
短編2話では、遊斎が1人で妖を片づける感じだが、中編では仲間的存在を引き連れて、チーム戦という感じがとても良かった。
敵でも味方でもないと思っていたあの人が、最後に力を貸してくれたところも意外で良かった。
終始、魅惑的で落ち着いた雰囲気の遊斎がとても魅力的だっ -
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夢枕獏『新・餓狼伝 巻ノ六 変幻鬼骨編』双葉社。
40年も続いているという驚異の世界最長の格闘技小説シリーズ。5年ぶりの刊行となる第6巻。
どうやら、この格闘トーナメント『闘天 TOUTEN』が最終トーナメントとなるようだ。
時代の流れと共にプロセス、空手、古武術、ボクシング、キックボクシング、マーシャルアーツ、サンボ、コマンドサンボ、ブラジリアン柔術、異種格闘技戦からMMAと、格闘技の対戦形式が変遷する中、誰が一番強いのかという疑問への答えが出るのはもう間もなくである。次巻は『新・餓狼伝 巻ノ七 邪拳聖拳編』で、夢枕獏のあとがきによれば、2年少しで刊行されるとのこと。
夢枕獏が癌の治 -
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5年ぶりの新刊!
餓狼伝も40年も経ってる〜
いよいよ最強を決めるトーナメント「闘天 TOUTEN」が始まる!
って言っても、まだ、メンバー確定してないやん。
文七は、出ないって言ってるし、松尾象山、巽もあんまり納得してなさそう。
今回は、そのトーナメントに出る人物を紹介しながらの話。
でも、格闘はある。
象山の圧倒的な強さに痺れるわ〜
技というか、バン!って突き一発で破壊とかレベルが…
幻惑的な強さの面子もおり、楽しみ!
って、いつまで待たせるの!とは思うけど、ワクワクしてしまうねんな。
これだけ、猛者が揃うとトーナメントとか試合とかのルールが邪魔みたい。
生まれた時に持っていたもの以外