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そういう生きものなんだよねえ、おれらは 「俳句のことを書かせてください」 令和3年にリンパがんと診断され、小説の連載も趣味の釣りも、全て休まざるを得なくなった作家・夢枕獏。そんな彼が闘病中にどうしても書きたかったもの――それは「俳句」について。思い出の句会や、季語のもつ不思議な力、今は亡きあの人との逸話まで……。エネルギッシュな闘病×俳句エッセイ! 単行本 2022年6月 文藝春秋刊 文庫版 2025年5月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
夢枕獏『仰天・俳句噺』文春文庫。 ステージⅢのリンパ癌で闘病生活を送る夢枕獏の闘病と俳句にまつわるエッセイ。抗癌剤の影響らしく、文章は統一性が無く、滅茶苦茶、あっちに飛んだり、そっちに飛んだり。それでも内容は十二分に面白い。 幸いリンパ癌は寛解したとのことで、今後再開されるであろう数々の連載小説...続きを読むが楽しみである。 夢枕獏がデビュー直後の20代半ばで『神々の山嶺』を構想し、19年から20年近く掛けて執筆したとは知らなかった。 『仰天・プロレス和歌集』も面白かった。当時はプロレス大好き人間で、週刊ゴングとか週刊プロレスを読みつつ、プロレスの地方興業やUWFの興業などにも行っていた。全日本プロレスの地方興業に行った際に売店で当時人気だったロード・ウォリアーズのTシャツを購入したら、若手レスラーみたいなアンちゃんがそのTシャツを有無を言わせず勝手にジャイアント馬場に差し出し、ジャイアント馬場のサインを入れられてしまった。葉巻を加えて売店の椅子にふんぞり返るジャイアント馬場を最初に見た時は人形だと思った。トイレで天龍源一郎と連れションしたのも、地方興業ならではである。地元で開催された興業だけでは飽き足らず隣町の興業も見に行ったら、6人タッグマッチの展開が全く一緒だったのには唖然とした。いかん、いかん。プロレス話が止まらなくなってしまった。 キース・ジャレットのコンサートで夢枕獏がキースに対決を挑んだという話も面白い。出来ればキースの唸り声についても言及して欲しかった。 日本の三大偉人とは空海、宮沢賢治、アントニオ猪木なそうである。アントニオ猪木は後に三大偉人から脱落してしまうのだが。空海は坊さんであるくらいしか知らない。宮沢賢治は自分の故郷の偉人だけによく知っている。宮沢賢治は37歳という若さで亡くなるのだが、花巻から盛岡、南昌山に秋田、さらには一関の東山と県内のあちこちに足跡を残し、さらには童話や詩を書いて、農業をやりながら教師をこなすという凄まじい行動力を見せている。東北地方のあちこちに弁慶岩とか弁慶の腰掛けなどという武蔵坊弁慶の足跡がある。或いは松尾芭蕉の足跡があちこちに残され、句碑などがあるのだが、宮沢賢治はそれと変わらない。 久し振りに船戸与一の名前を見た。船戸与一は南米や世界を舞台にした優れた冒険小説の書き手であったが、癌で亡くなるや蜘蛛の子を散らすように数々の優れた著作を目にすることが無くなってしまった。殆ど全ての船戸与一作品を読んでいるのだが、何十年と残すべき作品ではないかと思う。 本体価格1,200円 ★★★★
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