内田樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
内田樹氏が、様々な雑誌に投稿した原稿を選択して、テーマ別にまとめたもの。2021〜2023年のものが多かったように思う。
言葉は、さすがに難しいと感じるけれど、内容はとても腑に落ちて、納得したり感嘆したり、、。
「ウクライナ危機後の世界」と「沈みゆく社会」の章には、暗澹たる気持ちを抱きながら読んだし、
「成熟について」の章の、鬼滅の刃の構造分析には大きく頷きながら読んだ。
いつもいつも難しく考えながら生きていくわけにはいかないのだけれど、自分の心や体に問いかけながら考えることは大切だと、内田氏の本を読むといつも思う。なぜ、モヤモヤするのか、腹が立つのか、、、、回答をもらったように感じる。
興味 -
Posted by ブクログ
街場の米中論
内田翁の新刊。出版イベント?ではないものの、直近の隣町珈琲のイベントでも言及されており、今後を占う上での指針となる。
米中いずれにも、政治的な意思決定の基盤となるような歴史的趨向性(無意識)のようなものがあり、そうした趨向性を捉えるための内的葛藤や歴史的な動きがあり、そうした内容を読み解くものである。
米中論はさながら、組織にも個人にも当てはまる内田翁の私見にもやはり唸らされた。
また、今回の読書体験は、内田翁の思考の癖を読むことができた、うれしいこともあった。P94で、自由と平等の話が出た際に、食い合わせの悪い二つを接ぎ木するものとして、博愛/友愛をフランスはもちだしたのでは -
Posted by ブクログ
武道的な力とは、端的に言えば、一個の生き物としてあらゆる状況を生き延びることができる能力。自分自身が愉快に、気分良く生き続けられるために心身の能力を向上させること。
ただ、自分ひとり愉快であればよいというものではなく、社会格差のせいで苦しんでいる人がいれば、自分も楽しくなくなる。だからこそ、武道家としての自分であれば、そういう問題も何とか解決するように努力する。自分自身の心身の能力の開発を阻害するすべてのファクターを「敵」だと考えて、どうやってその敵を無力化していくのか、それを工夫する。
内田老師はそう述べた上で、現在の武道がある種無菌状態の中で競技化されているものは、晴れた日の武道=晴天型の -
Posted by ブクログ
内田樹の書いた本は非常に好きで、沢山読んでいる。沢山読んだ、内田樹の本の中でも、この本はかなり好きな部類に入る。
「ウチダ式教育再生論」という副題からも分かる通り、本書は教育、特に大学教育について語った本である。本書は2007年の発行であるが、内田樹は2011年まで神戸女学院大学の教授を務めていた。本書掲載の文章が書かれた当時は、更に、神戸女学院大学で教務部長のような仕事をされていたようだ。内田樹の大学教育に対しての問題意識というか危機感は強烈である。また、文科省の大学政策には非常に批判的なのであるが、教務部長という仕事は、文科省の指示を、居並ぶ教授陣を説得しながら行う必要がある仕事のようで、 -
Posted by ブクログ
村上春樹と並んで、うちの本棚の占有面積1位、内田樹先生。
その出会いとなった1冊。
日本論や日本人論は、国内にとても多くある。
自国の文化や国民性についてこれほど多くの知的資源を割く国は、他にない。
そもそもなぜ、僕たち日本人は、こんなに日本論が好きなのか。
日本人は、他国を参照し、比較して、常に自分が何者であるかを確認しなければ、不安だからである。
日本人はいつの時代も、外の世界に向けてキョロキョロと目を向けてきた。
キョロキョロ目を向ける先は、中国だったりアメリカだったり北欧だったり、時代によって変わる。
けれど、この「キョロキョロしかた」だけは、いつの時代も変わらない。
これが日本 -
Posted by ブクログ
生きていると様々な事柄を考える場面に出くわす。そしてその考えは得てして自分の視点からの見方だけに終始してしまい偏ったものになりがちである。
内田樹さんの本はいつも少しそのようなものの見方をずらしてくれる。
「反抗のうちで死ぬのは、自分個人の運命を超える『善きもの』のため」
運命を越えると思える時、命すら惜しまない状況が起こる。
「反抗的人間は孤独ではない。」
関係性は戦いという形でも万人と繋がる。人は関係性の中で生きている。
「全能感を手早く求める者は必ず破壊に走る。」
権力を振りかざす周りの人はやはりこのスタイルを取る。
「文学的素養のない人たちが他者の内面についての想像力の行使を惜 -
Posted by ブクログ
時代というものがどう流れていても、内田樹の言葉はある種、自分のリズムに合うのだと思う。
(この人が「イラチ」だなんて、そんな気はしないのだけど)
内田樹の取り上げる、ジョナサン・ゴットシャル『ストーリーが世界を滅ぼす』の引用が面白い。
端的に述べられている部分がないので、孫引きにはなるけど、挙げておく。
「今、私たちがみずからに問うことのできる最も差し迫った問いは、さんざん言い古された『どうすれば物語によって世界を変えられるか』ではない。『どうすれば物語から世界を救えるか』だ」
物語の効用というものを、私はどうしても肯定したくなる。
けれど、物語によって、人の憎しみを煽られ、戦いが起きるこ -
Posted by ブクログ
面白かった。
本人も書いておられるように「ずいぶん力んで書いている」力作であります。
消費者として全てを同時性の中で生き、世の中を等価交換で見る体質。
こういったことが学びを馬鹿にし、労働を無意味なものと見る価値観に結びつくと見る。
解明していく際の気押される程の勢いある文章に引き込まれて行く。
学校内の状況は改善はされてきているのだろうか。
ニートの数は減少しているのだろうか。
外からは見えない隠れた部分。実態を知る術が無いが、良くなってきていることを望む。
対談部分は文庫化に際して削っても良かった気がする。何か著者にもしがらみがあるのかも知れないが… -
Posted by ブクログ
ネタバレ内田樹自身による自分の著作物紹介。
リストアップされた自著の解説、というよりそれを契機に思いついた話を展開するというウチダ先生のいつもの流れ。ともあれ1冊で何冊分ものウチダ節を聴けるお得なものとなっている。
1.ためらいの倫理学
著者のデビュー作。フェミニストなどの「正しさ」に欠けている「倫理」の考察。
2.先生はえらい
中高生向けに初めて書かれた師弟論、教育論。教師に勇気を与える内容。内容が大学入試に多く採用されることで有名。
3.レヴィナス序説
コリン・デイヴィスによるレヴィナスの解説書を和訳したもの。
フランソワ・ポワリエ「暴力と聖性」は読みやすい。
サロモン・マルカ「レヴィナ