大前研一のレビュー一覧
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著者の2人はどちらもMBAの学位を持ち、R・H・ウォータマンはマッキンゼー社で21年の実務経験を持つ。訳者は技術者としても豊富な実務経験を持つ、大前研一氏。アメリカの62社をサンプルとして取り上げ、25年間のデータを分析した結果に基づいて書き綴られている。リーダーシップのあり方について論じている内容が多く、経営分析や経営計画などを偏った合理主義に基づいて推進すれば、生身の人間から構成される組織の活きた要素を取り除いてしまう点を問題提議している。「合理主義的な考え方は、価値観とういものがいかに重要かを忘れさせる」(P103)ということです。
経営研究家のクリス・アージリス氏が1950年代にマトリックス組織の問題点として中間管理者の無力感や資料作成や会議の多さなど組織の非効率性を指摘していたことに触れられているなど、豊富な事例が紹介されており、現在の私たちが生きている組織を見つめなおす視点を養うことができると思いました。組織に関する考察は、時代を超えて参考になるものではないでしょうか。
普段組織で働く社会人にとって、とても多くの気づきが散りばめられているように感じる良書だと思います。 -
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日本の論点2016〜17
日本人の、事実と事実を結びつけて答えを出すのが苦手な国民性:明治以降の近代化プロセス「欧米列強に追いつけ追い越せ」が影響している。答えを覚えたもの勝ちという価値観が支配的だった
Strategy1:日本は世界貢献のアピールが上手く出来ていない。同じお金を出すにしても、日本国民が納める税金の何%かを日本以外のために使う「世界タックス」としてアピールすれば、世界から好感される。
Strategy2:「一内閣一仕事」だが、安倍内閣は仕事が多すぎる。20年続いたデフレを反転させたし、選挙権年齢を18歳に引き下げる道筋を示した。
日本は今、「低欲望社会」。家も車も家電も欲しいという高欲望社会を前提にしたケインズ経済的な金融緩和を行っても、消費意欲は刺激されない。その金は、貸出資金が有り余った金融機関が、円が暴落した時のリスクヘッジとして、アメリカの会社を次々と買っている。ドルベースの資産に切り替えている。
Strategy3:年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、2014年10月資産運用比率の見直しを発表。
債券71%株式24%短期資産5%→債券50%株式50%。
年金の運用効率を高めようという発想ではなく、アメリカへの配慮から。中国が米国債を大量売りするのを危惧
日銀2014年10月31日:長期国債の買い入れを30兆円増やす。GPIFが30兆円分の国債を売って、日銀が買い取るという相対取引。→株価を上げてアベノミクスを正当化するための手段として。←大量の日本円が放出されて市場に出回れば、円の価値が下がり、それが株式市場に流れ込んでくるという期待感。
ただし、日本人は株を15%くらいしか持っていない。アメリカ人は資産運用の85%が株。
リストラを進めて雇用を削った会社は収益が上がるので株価も上がる。日本では、景気や雇用と、株価は逆相関にもなりうる
→老後資金は、自分で準備せよ。年金制度は、前提に無理がある
土地や生活必需品関連の株。or外貨は、資源国で財政規律の良い国の通貨
Strategy4:資本主義における成長の3要素は、労働・資本・土地。
少子化→労働はない。先進国におけるカネ余り→資本は不要。
土地→容積率が不動産の価値を決める:商業的に貸し出し可能なスペースがどのくらいあるか。
Strategy5:オランダは、九州程度の面積しかないが、世界第2位の農業輸出国。「自由化」「選択と集中」「イノベーション」を断行。ボリューム型の農業大国ではなく、クオリティ型の農業先進国へと進化した。スマートアグリ
Strategy6:オランダの農作物輸出の3つの特徴
1付加価値の高い農作物の輸出;トマト、キュウリ、パプリカ
2加工貿易;ドイツから輸入した牛乳をゴーダチーズに加工して輸出
3そのまま輸出する中継貿易
全中の下に全農があり、その下に約700もの地域農協がある。
Strategy8:間接業務の仕事のやり方に革命が必要。「会社のしきたり」という美名のもとに業務の内容を古株が支配していて、仕事のやり方をITスキルの乏しい古参社員が新人に教えている。
メッセンジャーボーイみたいに下に伝えるだけの課長や部長。
自動化して値引きの条件をコンピュータに入れておけば、顧客のところで瞬時に答えが出せる
星野リゾートは、マルチタスク。フロント業務は、忙しい時間帯が決まっている
パソコンやスマホなどのITで業務を管理し、情報共有を徹底してマルチタスク化を進めれば、専任の人間は少なくて済むはず。
間接業務の生産性がアメリカ並みになったら、1000万人以上の人が溢れ出てくる。
Strategy15:人をその気にさせて集団を動かすリーダーシップは、IQではなく、EQ(心の知能指数)が問われる。好きも嫌いも、味方も敵も全部巻き込んで、包んでしまうような人間力。
論争に勝たないと気が済まない性格。一般社会では、白黒つけなくてもいいことがいくらでもある。
大きな流れの中で自分は何をやりたいのか。そのために目の前の戦いをどうやって展開していくか。不必要な戦いはどうやって関与を避けるのか、という戦略の基本。目的達成のためには無駄な戦いで消耗しないことが大事。
Strategy18:国家とは何か。一定の力を発揮するためには、「規模」が重要であるというのが、国民国家万能時代の常識だった。今や、世界で一番繁栄している国の一つが、人口700万人のスイス。 -
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21世紀の経済活動の場として、20世紀以前に主流であった「実態経済」に加えて「サイバー経済」、「ボーダレス経済」、「マルチプル経済」が大きなウェイトを占める様になり、その3つの領域で価値を創造出来ない組織や個人は世の中の経済活動の潮流から取り残されていくと説いた本です。2001年に出版されたとは思えない程、今日の世相を言い当てており、改めて著者の慧眼に驚かされます。少し説明が冗長であり、かつ今では当たり前だと思えることも一部記載してますが、2016年現在の、そしてこれからの経済を理解する上で非常に有益な視点を提供してくれる(気がする)本です。
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1.示唆
すごいという印象を受ける人は融通無碍だ。基本的な考え方や技術などの型があるけど、型にはまらない。他人の土俵でも相撲がとれる人という表現がいいだろうか。こういう人は、感情的にならない。特定の型しかない人は自論と正反対のことを言われると、過度に反応してしまう。第三のより良い解に到達することが本来の目的なのに、それを忘れてしまう。こんな人になれるのが理想だが、そもそも自分がどんな考えをするのかを理解している人も少ない。だからこそ、忌憚ない意見を言ってくれる人、否定してくれる人は何にも替えがたい。
2.行動
否定されたとき反論されたとき感謝する(ありがとうと伝える)。
3.引用
・名人あるいは達人と呼ばれる人々は、総じて慎重さと大胆さの両方を兼ね備えているものです。
・優れた組織はイノベーションに積極的であると同時に、リスク・マネジメントの能力にも長けています。
・企業の成功は、非合理性と合理性の両方をうまく働かせ、この非合理性を経済的効果に変える能力を持っています。 -
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2015-16に引き続き、16-17を購入。日本・世界で起きている様々な事象に対して、大前さんの考えている課題と解決案が語られた一冊。自分の引き出しを増やしたい人にお勧め。
・日本が国外の援助に使っている費用は税収の10%にもなる。これを五月雨式に使うのではなく、まとめてインパクトのある使い方を模索すべし。
・年金制度は、あまりにも実態とかけ離れた経済成長率、給与アップ率、出生率をもとに制度設計されており、破たんしている。老後の資金は自分で守る必要がある。日本円一本で持つことなく、資産を分散して持つべし。
・日本経済を立て直す案としてもっと土地を活用するべき。その為には容積率を変更すべし。
・TPPが施行されても日本の農業はほとんど変わらない。農家は226万人全労働人口井の2-3%程度。うち2/3は65歳以上。ほとんどは年金暮らしで、農地を持っているだけで出る補助金+年金で生活している。このような状況ではTPPに対抗したイノベーションは起こらない。補助金ジャブジャブで競争力を奪うのではなく、農協を株式化し正当な競争の中でもっと強い農業を目指すべき。オランダは、九州程度の面積で、農業輸出金額瀬騎亜第二位。やりようはある。農林業だけド栗生した農水省管轄にするのではなく、1つの産業として経産省で今日速力を磨くべき。食糧危機管理のためにも自給率を高めるべきとの論もあるが、エネルギーを止められたら農業は即立ち行かなくなる。
・沖縄を日本の返還される際に、民政は返還するが軍政は現状通りアメリカ統治であることが前提とされた密約がある。だからこそ、今でも沖縄の基地が当たり前のように利用され続けており、その見返りとして国は莫大な補助金を沖縄にばら撒いている。この密約を隠したままでは、国民に説明がつかず、話はいつまでも前に進まない。
・クリーンなイメージを前面に出しながら、水素をエネルギー原として推し進める政策が進めらているが、水素を生成する過程では莫大な二酸化炭素が排出されていだけでなく、取扱が非常に難しくひとたび爆発すれば甚大な被害を招きかねないことを知らなければならない。一足飛びに水素社会を目指すのではなく、水素の良い面と悪い面を理解しながら慎重に進めるべきである。
・ソ連とアメリカのヤルタ会談での密約により、ソ連は対日戦争への参戦する代わりに、樺太千島列島の占拠を認めていた。だからこそ、戦後もソ連ロシアの占領がし続いている。一時、千島列島のうち2島を返還する機運が高まった時期もあったが、日本とソ連が近づくことを避けたいアメリカが、沖縄返還の条件として日本に4島一括返還を求めるよう水を差し、返還に至らなかったこともある。北方領土問題を複雑にしてきたのは実はアメリカなのだ。現代にておいては、極東に進出したいロシアと手を組み、中国、アメリカを牽制していく道もありうる。
・中国な2つの観点からリスクあり。政争による転換、経済停滞による破たん。
中国の官僚にはびこる腐敗の取り締まりは、敵対する政敵を追い落とす為に実施ているが、ほとんどの官僚がすくなからず賄賂に染まっている中で、やり過ぎることはもろ刃の剣となって習体制を転換させるリスクもある。
中国は、国民が持つ土地を二束三文で召し上げ、何十倍も高値で貸し出すことで財政を賄ってきた。企業は何十倍のコストをかけてもペイ出来るから積極投資してきたが、経済停滞が起こると逆回転が始まる。
・イスラム国はイスラム教スンニ派の過激原理主義者。アメリカが9.11の報復としてイラクを攻撃。フセイン政権崩壊後、イラクにイスラム教シーア派が台頭することを嫌った隣国のサウジアラビアがスンニ派に資金提供したことが、イスラム国の起源になっている。
・国境を越えた経済活動が当たり前になった現代において、国内経済を前提としたケインズ理論の経済政策が効果を出さないのは当然。いくら金利を下げて金をばら撒いても金利の高い国外マーケットに資金が流れるだけ。