小田雅久仁のレビュー一覧

  • 紙魚の手帖Vol.12

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    ネタバレ

    書籍のSFアンソロジー「Genesis」が雑誌になったようです。今後は書籍のアンソロジーは出ないのは少し寂しくもあるが、代わりに雑誌を購入するいいきっかけになるのかもしれない。収録作品はどれも面白かった。話が止まっていそうで進んでいる「ローラのオリジナル」(円城塔)、なんとも切ないSFラブストーリー「扉人」(小田雅久仁)と「英語をください」(アイ・ジアン)、リアルさに慄く「冬にあらがう」(宮西建礼)といったところが、印象に残った作品。創元SF短編賞を受賞した「竜と沈黙する銀河」を読めるのもよい。

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    2023年09月29日
  • 本にだって雄と雌があります

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    ユーモアに溢れて、溢れすぎて大洪水を起こし、嘘か誠か夢か現か皆目見当もつかない。けどそこが面白くてたまらない。
    家族史と思えば本の話であり、 時代史と思えばファンタジーでもある。
    まるで万華鏡のような一冊でした。
    あと、森見登美彦さんの作品に似ているとも感じたため、好きな方は是非!

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    2022年12月11日
  • 本にだって雄と雌があります

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    壮大な嘘っぱちのファミリーストーリー!
    これは傑作。前半の行きつ戻りつ冗談交じり無駄話のような内容が、後半怒濤の展開に見事に生きてくる。
    どれほど時間をかけて練り込まれた文章と物語なのだろう。私は、夏目漱石やオルテガ、大岡昇平、ダンテなど数々の名著へのオマージュを感じたが、読む人の読書遍歴によっても印象は変わってくるかもしれない。本や人間への愛情がたっぷり詰まっている。

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    2022年05月05日
  • Genesis 時間飼ってみた 創元日本SFアンソロジー

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    新進気鋭の作家様によるSF中短編書き下ろしプラス創元SF短編賞受賞作アンソロジー

    自分の裡に形成される「SF固定概念」を毎回アップデートしてくれる最先端を走るシリーズ

    ティプトリーを読み涙していた頃、このような未来型が到来すると露ほども予測せず、また今後どのような作品が紡がれてゆくのか、想像するだけで萌えます

    読みごたえあります!

    『未明のシンビオシス』
    南海トラフ大規模地殻変動が発生、列島の姿すら変わってしまった日本
    荒廃した世界で生き延びる主人公たちの微かな希望を描いた近未来SF

    『いつか明ける夜を』
    光のない闇の世界が、夜と昼に別たれた
    言い伝えの神馬と少女は、世界の救世主にな

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    2021年12月05日
  • 本にだって雄と雌があります

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    基本、ジョークは苦手です。
    ジョーク連射のふざけた調子で話は進むんですが
    何故読めたかというと、苦手なジョークの比喩が
    すごいんですよ。この表現力ったら何なの?って感じ。
    本書は語り手の博が息子:恵太郎に充てたもので
    祖父母や両親や夫婦の話を通して、家族への思いや、
    ライバル?との本への欲望みたいなものを
    ファンタジックに幻想的に語っているのですよ。
    読み終わって、あぁ~繋がっているんだってわかったら
    鳥肌立ちましたぁ~
    ヤバい!これ、今年読んだ本の中で1番だわ。

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    2018年09月17日
  • 本にだって雄と雌があります

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    壮大なファンタジー!
    最初は、読みにくくかつとっつきにくい、クドイ関西弁の語り口調もだんだん慣れてきて、読み終える頃には、
    もう終わってしまうのか、と名残惜しい気持ちにさせられる。

    圧倒的な描写力で、目の前に様々なシーンが流れていく、とても素敵なお話だった。

    ファンタジーなのに、戦争の残酷さ、けして繰り返されてはならない事故のこと、戦前戦後の日本に起こったこと、その深い悲しみと虚無感を感じずにはいられなかった。

    人は亡くなるとどこに行って何をしているんだろう、って誰もがきっと一度は考えて悩むことに、
    素敵な答えを返してくれる、心が温かくなる素敵な作品。

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    2016年06月11日
  • 本にだって雄と雌があります

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    仰天!
    なんですかこの素敵なお話は!
    本が増える謎とかいう不思議なわくわくする気持ちも、與次郎さんとミキさんのほんわり幸せな気持ちも、死後の世界とか、未来を知る知らないとか哲学的な問いも、ぜーんぶ。
    幻書を手に入れてしまってると気づいた時の衝撃!笑
    物語を読む幸せここに極まれり。
    2016年しょっぱなからヒットが出ました。

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    2016年01月11日
  • 本にだって雄と雌があります

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    読み始めは、何というか…これは奇書の類であろうと思ったものだ。

    しかし読み進めるほどに、胸の中に何とも言えぬ安らぎが広がってゆくのが不思議だった。

    雄の本と雌の本が睦みあって本を生む…などという奇天烈な設定なのに、このファンタジーが内包するとんでもなく長い歳月と愛すべき読書家たちの見た夢…あるいは見ることになる未来へと続く途方もない必然の蓄積の中で、その奇天烈さを見失わされてしまう。確かにあるのだな、そういうことは。いつの間にか腑に落ちてしまっている。

    何にせよ、なぜかはわからぬし、私だけの感じなのかもしれないが、このファンタジーからは得体の知れない穏やかな幸せの空気が漏れだして、私を包

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    2015年10月01日
  • 禍

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    何と薄気味の悪い話を書くのがお上手な作家さんなんだろう(笑)
    ホラーとは少し違う.どちらかというと,日本の怪談にSFファンタジーを混ぜたような世界観.
    なんだけど,まぁ……何と気持ちの悪いことか!

    ファンタジーは苦手だし,SFもあまり読まない.
    怪談もホラーも,好きなジャンルとは言いがたい.
    それなのに,読んじゃうんだよなぁ.これが.

    何が気持ち悪いかというと,完全な虚構だと分かっていながら,どうしても現実との地続きを感じてしまう展開の巧みさだ.
    「うわっ,気持ちワルっ!」と,生理的に反応してしまう.
    そして,それがたまらなくなってしまう.

    収められた短編はどれも

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    2025年12月19日
  • 禍

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    短編の3作まで読んでいたところ、
    異世界の物語すぎて、私の能力では読み進めることができなくなってしまい、
    残念ながらギブアップ・・・です。
    頭悪〜・・・・・

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    2025年09月28日
  • 「いじめ」をめぐる物語

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    ネタバレ

    5人の作家さんによる、いじめをテーマにしたアンソロジー。
    どのお話もいじめの描写が出てくるため何度も胸がぎゅっとなる。
    いじめた側はいじめていたことをすぐに忘れるが、いじめられた側は一生忘れない。
    大人になってからもずっと。
    どんな言葉を吐かれたか、その時どんな感情が湧いたか、当時のことを鮮明に思い出せるのはいつもいじめられていた側。
    それだけ、いじめる側は軽い気持ちであり、いじめられる側はその何倍もの深い傷を負っているのだろう。
    いじめる側の無自覚さが恐ろしい。
    自分も気をつけなければと思った。

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    2025年09月18日
  • GOAT meets01

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    はじめて文芸誌を隅から隅まで読んだ。

    良い意味でハードルが低く、ここから文芸誌を手に取る人もたくさんいると思う。
    小学館さん凄いことやってます!!!

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    2025年08月13日
  • 禍

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    江戸川乱歩的なヤバい話から残月記を思わせる物語までが揃う短編集。表現力が凄まじく、話によっては容赦なく気持ち悪いです。食書に目覚めたとしても絶対に食べたくない1冊。

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    2025年06月11日
  • 本にだって雄と雌があります

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    ずっとナニコレ?ナニコレ?って思いながら一気に読んでしまいました。
    軽快な冗談がところどころに散りばめてあって、とてもリズミカルな作品です。
    本好きの方はご一読を。楽しかった!

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    2025年05月31日
  • 禍

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    “禍”に巻き込まれるホラーでじっとりとしてくる怖さ。コロナ禍ですっかり馴染んだけれど禍って何なのかを考えちゃった……。お気に入りは、小説を食べることに取り憑かれた小説家の「食書」と、耳から人間に潜りこんで肉体を乗っとる「耳もぐり」。

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    2025年04月29日
  • 禍

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    見開きにビッチビチで文字が書いてあったり、ちょっと独特な言い回しがあったりで最初は読みきれるか不安でした。
    でも文字がびっちびちな分、丁寧にゆっくり読めること、独特な言い回しもリズムとかその言い回しの波に乗れちゃえばどうにかなりました。
    奇抜なアイデア、発想の短編集ばかりで面白かったです。

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    2025年04月17日
  • 残月記

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    ネタバレ

    月をめぐる、3篇の物語。
    日本SF大賞受賞作ではありますが、鴨のイメージは「幻想譚」です。それも、かなり重く、冷たく、じっとりと濡れた味わいの作品ばかりです。
    結末らしきものがあるのは、表題作である中編「残月記」のみ。他の2篇は、救いようのない状況でスパッと物語の幕が閉ざされます。はっきりした結末を求める方には、全力で「読まない方が良い」とお勧めします(汗)

    要するに、ひたすら暗い作風なわけですが、暗さゆえに、いやむしろ暗いからこそ滲み出る、独特の美学が全作品を貫いています。
    どの作品にも共通している構成は、「現実」と「もう一つの世界」の二重構造になっていること。これが例えばディックであれば

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    2025年04月13日
  • 禍

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    いや〜怖かった〜〜
    あまりに怖くて全然進まず…
    今まで色んなホラーを読んできたけど、断トツで気持ち悪くておぞましい
    自分が怖いと思うホラーがこの本を読んでようやく分かった
    『耳もぐり』『農場』『髪禍』が特に怖かった!!
    文体がじっとりとしていて密度が高いので、読むと頭に恐怖が広がる感じ
    背筋をぞわぞわさせながら読みました〜
    『喪色記』だけはホラーというよりファンタジー要素が強くて本の中のささやかな癒しだった…
    濃密な悪夢を探してる方にオススメです!!

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    2025年03月16日
  • 残月記

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    ネタバレ

    本屋さんで流し読みして、あまりにも素敵な文章に惹かれて購入させてもらいました。
    三篇全て読みましたが、作家さんってすごい……
    そんな今更なことを痛感させられた作品となりました。

    迫害される感染者の悲劇のストーリーか、ディストピアを舞台にした熱い戦いの物語が展開されると思いきや。
    最後はやり過ぎなくらい壮大でロマンチック、月世界の中心で愛を叫ぶという意外な結末。
    読んでると恥ずかしくなる恋愛小説を読んだ時のあの現象。
    それを体感するとは全く思っていなかったので、とても不意を突かれた。

    表題作の<残月記>は特に、作者の尋常でない想像(創造)力と洗練された表現力をひたすらにぶちまけられるような作

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    2025年03月04日
  • 禍

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    ネタバレ

    こんな小説が成立するんだ!とワクワクしながら読める短編集だった。
    江戸川乱歩のエログロ感を恩田陸のノスタルジックな不思議世界に載せたような雰囲気を感じつつ、
    読み進めていくと本書のテーマは身体の聖性的なところにあり、著者にとっての聖書の読み替え的な作品なのではと感じた。
    口、耳、目、性器、肌、鼻、髪、体という旅を経て、人体の生々しさをを突きつける表現力に惹き込まれた。

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    2025年01月31日