小田雅久仁のレビュー一覧
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タイトルに惹かれて、手に取ってみた。
「明月記」と言えば藤原定家だが「残月記」とは。
「そして月がふりかえる」「月景石」の中短編と、
表題の「残月記」三篇の一作。
全てが月をテーマに、物語が描かれている。
一番好みだったのは「月景石」か。
日常から夢へ、日常から月の世界へと飛び、SFであるがファンタジー色も強い。
「そして月は……」この作品も日常から急速に月の変化によって引き剥がされ、ラストは急展開で終わる。
最も長い表題作の「残月記」が、やはり一番精緻に書かれているとは思った。ディストピアSF小説とも、ファンタジーとも、恋愛小説とも読め、読後感もすっきり。
ただ、ウィルスとして感染す -
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ネタバレ月をめぐる、3篇の物語。
日本SF大賞受賞作ではありますが、鴨のイメージは「幻想譚」です。それも、かなり重く、冷たく、じっとりと濡れた味わいの作品ばかりです。
結末らしきものがあるのは、表題作である中編「残月記」のみ。他の2篇は、救いようのない状況でスパッと物語の幕が閉ざされます。はっきりした結末を求める方には、全力で「読まない方が良い」とお勧めします(汗)
要するに、ひたすら暗い作風なわけですが、暗さゆえに、いやむしろ暗いからこそ滲み出る、独特の美学が全作品を貫いています。
どの作品にも共通している構成は、「現実」と「もう一つの世界」の二重構造になっていること。これが例えばディックであれば -
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ネタバレ本屋さんで流し読みして、あまりにも素敵な文章に惹かれて購入させてもらいました。
三篇全て読みましたが、作家さんってすごい……
そんな今更なことを痛感させられた作品となりました。
迫害される感染者の悲劇のストーリーか、ディストピアを舞台にした熱い戦いの物語が展開されると思いきや。
最後はやり過ぎなくらい壮大でロマンチック、月世界の中心で愛を叫ぶという意外な結末。
読んでると恥ずかしくなる恋愛小説を読んだ時のあの現象。
それを体感するとは全く思っていなかったので、とても不意を突かれた。
表題作の<残月記>は特に、作者の尋常でない想像(創造)力と洗練された表現力をひたすらにぶちまけられるような作 -
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「月がふりかえる」
「月景石」
「残月記」
の3編が入っている。
いずれも主人公がとんでもない苦難に遭うディストピア小説で、後ろに行くほどに悲惨さが増していく。
ディストピアという事で生命が脅かされる極限状態が出てくるが、そこでは世間一般での価値観でなく、自らのうちから湧き上がる本能(生と性)や愛・尊厳といった事柄と向き合うことになる。
終始、暗い話が続くが色々あるけど安楽な現実社会から、もしこのようなディストピアに落とされたら自分ならどうなるだろうとは夢想する。
明日、死ぬかもしれない、どうにか生きたいと思う縁を考えさせられる小説だった。
特に残月記は架空の疫病を下地としながら見事に世 -
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全部は読んでいない。GENESISが雑誌になって、ノリの良さが前面に出た感じ。これもまた良いな。
ゲラゲラ笑った青崎有吾さんのメカくらりは別枠として、高山羽根子さん、笹原千波さん、の作品が特に好きだった。
■笹原千波『手のなかに花なんて』
肉体を捨てて情報人格として生きることを選べる世界。花と料理と。
■柞刈湯葉『記憶人シィーの最後の記憶』
あれ、なんかいまいちだった。
■宮西建礼『冬にあらがう』
いつもの宮西さんの、高校生が静かに世界を救うモノなのだが、AIが絡んできた。私いまいちまだ人工知能なるもののすごさがわかってなくて。やっぱ人間その程度のことも考えるのやめちゃだめじゃない?検索 -
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「本にだって雄と雌があります」(小田 雅久仁)を読んだ。
半分くらいまでは最後まで読むべきかどうか迷いながらの読書であったため、ずいぶん時間がかかってしまった。
『はっきり言ってあまり好みじゃないな。 はしゃぎっぷりが痛々しく上滑りしていると思うのだよ。 「残月記」は面白かったし「禍」も面白そうなんだけどなぁ。 どうしようかなぁ。』
が、しかし、半分過ぎたあたりから急に物語が動き出す。
『これは本当の本好きが読むべき物語なのではなかろうか。 混乱がほどけていく過程が心地よいのだ。 小田 雅久仁さんにしてやられたなぁ』
と、感想が変わっていく。
最後に気になった一行を引く。 『否、き -
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ネタバレこれは…なんと言ったらいいのだろう。
たぶんタイトルを見てなんらかの物語を想像したとしても、多分違っています。
本に雄と雌があって、増殖していく話ではあるけれど、それがメインじゃないんだな。
語り手の祖父・與次郎が繰り広げる怒涛の大阪弁。
嘘か真かやっぱりデタラメか!?
最後まで読めば、本好きの人だったらうっとりするか涙をこぼすかはわからないけど、きっと心を動かされるはず。
でもだけど、前半部分が冗漫なのが、もう辛い。
必要なのはわかる。
後半の感動の種は、ダジャレと駄法螺と繰り返しの中にしっかりと埋め込まれているのだから。
でも、辛いんだなあ、読んでいて。
次回はぜひ、テンポとリズムの -
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突飛なタイトルと翼の生えた象が描かれたジャケット、さらには「森見登美彦氏も驚いた!」という帯の文句に惹かれて購入。
語り手は土井博なる人物。彼が息子の恵太郎に聞かせるのは、博の祖父(恵太郎の曾祖父)である與次郎の話。博は小学生のときに與次郎が暮らす深井家に預けられる。本の蒐集が趣味である與次郎の屋敷はどこもかしこも本だらけ。そして與次郎が定めた掟は、「書物の位置を変えるべからず」。博がついその掟を破って本を適当な場所に返したところ、翌朝信じられない光景を目にする。
人間と同じく、本にだって♂と♀がいる。相性の良い本がたまたま隣り合った場合は子どもまで生まれて飛び回るという、なんとも楽しい物