横道誠のレビュー一覧

  • みんなの宗教2世問題

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    1章は聞書のためか整っていない文章に読み取りにくさを感じると共にとてもリアルに訴えかけてくるものがあった。3章の識者による宗教2世論はとても興味深く、宗教、特にカルトの問題をどう捉えるかの指針となる。特に釈撤宗氏の項で述べられているように宗教教団側の取組むべき課題を明確にし、2世問題を家族の問題だけに留まらせないように社会はしっかりと向き合っていかなくてはならないと感じた。
    宗教問題を取り扱った本や映画の紹介もあり、続けて手にしていきたい。

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    2023年04月27日
  • ある大学教員の日常と非日常

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    横道さんの目を通した世界を覗き見る本。ウィーンの街並みは一緒に回っているかのように楽しめる。これは興味が似通ってることだけでなく文章が読みやすく心に染み入りやすいからだと思う。
    そして一緒に旅しながら、彼のもう一面の発達障害の行動を覗き見る。
    「イスタンブールで青に溺れる」「唯が行く!」も面白かったのでおすすめ。

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    2023年01月18日
  • 唯が行く! 当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記

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    オープンダイアローグに関心があって手に取った。
    当事者研究。中動態。はてはハイデガーやアーレントも出てきて、ぜんぶ理解できたわけではないのだけど、患者と治療者がいる世界じゃなくて、ある意味みんな当事者なんじゃないの、と感じた。あと、ポリフォニー。ポリフォニーのある状態を作り出すのがなかなかむずかしいなと。

    興味をそそられたので、オンラインイベントなども見てみる予定。

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    2022年05月05日
  • 酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

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    ネタバレ

    人が依存症になるのは快感のためではなく、苦痛の緩和のためであるという。なるほど、我が身を振り返ってみても納得できる説である。かなり長いこと私はワーカホリックであったのだが、そのおかげで当時苦しめられていた言いようのない不全感をやり過ごすことができていた。依存症は長期的には命を危険にさらすが、短期的には今を生き延びるのに役立つことがある…皮肉なものだ。

    依存症当事者の支援について、著者のお二人が重視している「ハームリダクション」という考え方にもハッとさせられるものがあった。また、「ダメ。ゼッタイ。」という対処法がいかに当事者を孤立に追い込むかという話には、思わず背筋が寒くなった。

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    2025年10月11日
  • 京都の人ってなんであんな感じなんですか?

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    京都の人のイメージといえば、いけず、京都中心主義、伝統文化など自らが貢献せずとも誇っている、、といったなんとなく付き合いづらいものがあります。ただ実際の京都は夏は暑く冬は寒い、地下鉄は2本しかなくてバスが混んでいる、何とか通り何条上がる下がる等の住所が分かりづらい、、結局自転車が一番便利なローカルだったりします。京都のイメージといえば宇治茶やおばんざいですが、実はコーヒーとパンの消費量が日本一だったりもします。

    京都は洛内のことを指し、それは秀吉によって定められたと言われます。しかし天下人としての秀吉が居住したのは伏見で、洛外に当たります。歴史的にみても京都は度々荒廃し、公家や寺社と貧民が隣

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    2025年09月28日
  • 「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか――自閉スペクトラム症者の生活史

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    フィクションから学んでいるよ。という話だった。思っていたのと違ったのでちょっとがっかり。何人かの当事者経験を語ってくれてはいるけれど何かに秀でているというか勉強できる、言語能力に秀でてる人たちだった。もう少し深掘りして欲しかったし体験談の後別の人たちが当たり合うのではなくで当事者交えて欲しかったな。

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    2025年09月12日
  • 発達障害者は〈擬態〉する――抑圧と生存戦略のカモフラージュ

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    同時並行で『創作者の体感世界』を読んでいて、「向坂くじらさん出てきそうな雰囲気」と思っていたが、こちらで取り上げられていて驚いた。

    インタビュイーによる人生史の語りがあり、それに対して著者横道のコメント(注釈)が入るというリズムで構成されている。横道本としては馴染みのない(裏返すと加工されていないリアルの)文体を浴び、息継ぎのように横道の文章を読む体験になる。そのため横道作品としての読み応え、読み物としての面白さとしては『創作者の』の方が感じられた。
    しかし、等身大の人生史を「文学研究」的に発達特性の文脈で読み込んでいく仕事の様は一見の価値がある。

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    2025年09月09日
  • 〈逆上がり〉ができない人々――発達性協調運動症(DCD)のディストピア

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    当事者の親へのインタビューがとても参考になった。うちの長男もDCDだろうなと思いながらずっと見てきたが、これを読んでやっぱりそうだなと再確認した。しかもけっこう強めかも。
    自分もそうかもしれなくて、でも多少の不便(運転できない、左右盲など)や不自然さをごまかしながらなんとかやれているので、子どもにも自信をなくさなくていいと伝えていこうと思う。必要に応じて環境調整しながら暮らしていければ大丈夫だと。

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    2025年08月21日
  • あなたも狂信する 宗教1世と宗教2世の世界に迫る共事者研究

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    宗教二世問題から、カルトまで。
    この本を手にしたのは、親戚にカルト入信者が複数いるからだ。既に入信して長い時間が経ち、理解不能な行動も見受けられるが、脱会する日は来るのだろうか。全財産食い潰しそうな未来が透けて見える。

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    2025年07月14日
  • みんなの宗教2世問題

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    編者は自身が宗教二世であることを明かしている横道氏。自身の発達障害についても触れている。

    第一章は宗教2世らの生の声。
    そして著名人らによる様々な意見。
    いろんな人の声に耳を傾けるということの大切さがよくわかる。

    後半は宗教二世を扱った作品についてデータベースのようになっている。今まで気づかなかったが、これだけ作品化されているということは、表現者がそれぞれに問題意識を持って発信しているということでもある。

    安倍元首相銃撃事件から3年経過し、改めて読んでみようと手にした一冊。

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    2025年07月11日
  • 「ほどよく」なんて生きられない――宗教2世、発達障害、愛着障害、依存症、セックス、創作活動をめぐる対話

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    世の中の人はたいていニューロマイノリティだという結論に明日からも自信を持って生きていこうと思えました。
    みんな違ってそれがいい!

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    2025年06月15日
  • 「ほどよく」なんて生きられない――宗教2世、発達障害、愛着障害、依存症、セックス、創作活動をめぐる対話

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    複雑な家庭で育った3人の対話が繰り広げられる。こんなことを話し合える仲間を見つけられることが良いよなだと思う。
    互いが対等に話を聞いて、思ったことを伝え合って自分のことを理解していく。自助グループもこんな形で機能していっているのかと思ってしまった。

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    2025年06月14日
  • もしもこの世に対話がなかったら。 オープンダイアローグ的対話実践を求めて

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    最近注目されてきた「オープンダイアローグ」の実践書。
    正しくは「オープンダイアローグ的対話実践」の実践書。

    組織マネジメントのセミナーの中で、これと似たことをした。わたしにはそれが居心地悪くて、自分の至らなさが曝け出される気がして、そこから足が遠のいてしまったのだが。

    この書籍の中で6回に渡って行われる実践を読んでいてももぞもぞと落ち着かない気持ちになる。
    人はどこまで他人のことを思いやれるのか。心から。
    思ったことを正直に、でも相手を傷つけないように言葉にすることができるのか。

    実践の場の主催者が自身の長年の悩みを相談する最後の章を読んでいて、これは今問題になっているあの人に当てはまる

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    2025年06月05日
  • 発達障害者が旅をすると世界はどう見えるのか イスタンブールで青に溺れる

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    著者は40歳になって、自閉スペクトラムなどの発達障害があることを知った。それまでは色々自覚はあるものの、健常者であると認識していたわけだ。その過去の自覚とは、こだわりや収集癖、空気を読めない、共感力が低い、想像力の飛躍など、考えてみれば大なり小なり誰にもあることで、実は知らずに自閉スペクトラムと共に生きている人は結構いるのではないだろうか。
    健常者のことを「定型発達者」と言うみたいだが、つまり発達障害者のことは「非」定型発達者ということになる。それはある部分は劣っているかもしれないが、ある部分は秀でていることでもあるだろう。
    実際に紀行文には、定型発達者にはない特別な感性による体験が描かれてい

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    2025年04月23日
  • アダルトチルドレンの教科書

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    引用が多くて少し読みづらかったが、著者の正確な情報を伝えたいという誠意を感じた。
    アダルトチルドレンと発達障害、そして依存症に、ついて理解が深まった。

    回復とはゴールではなくプロセス。
    自助グループで援助される、そして他の人に援助を提供することは非常に効果的。

    普段からバランスよくいろいろなものに頼るのがストレスに対するレジリエンスを高めることになる。

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    2025年04月21日
  • 酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

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    “つまり、人は、かつて体験したことのない、めくるめく快感によって薬物にハマるのではなく、かねてよりずっと悩んできた苦痛が、その薬物によって一時的に消える、弱まるからハマるのです。快感ならば飽きますが、苦痛の緩和は飽きません。それどころか、自分が自分であるために手放せないものになるはずです。”(p.38)

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    2025年04月11日
  • なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか

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    発達障害の立場からムーミンを見るとこう読み解けるのかと納得する面と、うーんの部分があった。
    確かに子供の頃に読んだ本の中で、ムーミン谷のメンバーはだいぶ個性的で、自由気ままに生きているように見えて、そこもまた魅力だった。アニメのムーミンも見ていたけど、なんか別の物としてみていたような、、、。どっちも好きだった。子供としては面白ければあり。
    この本の内容を頭の片隅に置いておきながら、シリーズを再読してみようと思う。違う景色が見えるか?

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    2025年03月24日
  • 酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

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    依存症、宗教2世、発達障害の当事者である文学者とタバコをやめられない依存症治療専門医の往復書簡。読みやすいが書いてあることは深く当事者の悩みをよく理解されていると思った。

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    2025年03月06日
  • 「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか――自閉スペクトラム症者の生活史

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    自閉スペクトラム症者がどのような環境で育ち、どのような作品に触れて、人の心を理解していくのか、が書かれた本でした。

    ガンダムの話が何度か出ていて、その時代を象徴する作品などから、何がいいのか?を汲み取っている様子を感じた。
    人と会話でコミュニケーションを深めていく、ということがどうしても自閉傾向のある人には難しい。
    (空気が読めなかったり、などで波長が合いにくい)
    でも、本人たちは普通になりたくて、心の奥底では人との触れ合いが欲しくて、1人でも学べる作品から〝普通〟を摂取して擬似体験しているのかもしれない。

    どんな人にも時間は同じだけあるので、普通の人が人とおしゃべりをしている時間で、何か

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    2025年03月05日
  • アダルトチルドレンの教科書

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    タイトル通りまさに「教科書」な感じ。
    様々な治療法や、介入の仕方、理論等が当事者による説明の形で紹介されているので、そのあたりをざっくり知りたい人にはいいのかもしれないが、専門用語を使って大枠を説明しているだけに、逆にある程度基礎知識がないとよくわからないのでは。
    結構網羅的なので、ある程度の知識がある人が、それぞれの理論を整理して押さえておくのにはいいかも。
    現場でどう実践したらいいかを知りたい人には不向き。ほんとに「教科書」だった。


    よくよく読んでみたら、サブタイトルに「メタメソッド」ってあったわ笑笑

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    2024年11月24日