横道誠のレビュー一覧
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ムーミン本『なぜスナフキンは(以下略)』がきっかけで横道誠さんを知った。発達障害の当事者研究なるものをしているという。文学研究者でもある。高野秀行さんと対談などもしている。興味を持ったのでいろいろ著作を読んでみたいと思った。
高野さんによる書評が面白かったので、この本を選んだ。「障害者モード」という言葉が気になったのも選んだ理由のひとつだ。
「障害者モード」については、障害を抱える自分を受け入れて生きる、ということだと理解した。でもそれは、何かを諦めるとか、不遇を甘受するとか、そういうネガティブなことではなく、「ああ、自分は今こうなんだ、それならこうしよう」と前に進むための心構えなのだ -
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心で困っている人と体で困っている人の往復インタビュー本
ケンカする、とは随分物騒だが、読み進めるとなるほどと思うし最終章でその芯についても語り合っている
お二方の人柄か、インタビュー形式ということもあってかとても読みやすかった。他人への攻撃性があまりないからかもしれない。男性同士で集まるとありがちな女性蔑視や女性を使ったマウンティングも無いので落ち着いて読めた。それぞれが抱えている問題の影響なのか、男性・女性もそうだが、世の中の物事に対して過度に肩入れせずにとてもフラットに見ている印象がある。
手をもう一本生やすのは無理だとわかっているのに、心は変えられるという認識が世間にはある、という -
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著者の横道 誠さんは、1979年 大阪市生まれで、京都大学・大学院で学び、京都府立大学に職を得ました(現在、准教授)。京都に25年以上暮らす中で感じた京都人や京都への思いを綴っています。
京都中心主義とも言える考え方や歴史観を挙げ、大阪府や関西の他県人に対する優越感の理由や、丁寧に言えば言うほど皮肉が強くなるというイケズな物言いなどについても解説しています。
32回にもわたるフィールドワークで著者が撮影した写真が豊富に取り入れられていて、京都の名所や名物、歴史がよく分かります。
昨今、いつ行っても込み合っている京都なので、行かず(行けず)に、本書で京都について知るのもよいかもしれま -
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発達障害の当事者である横道さんと、潰瘍性大腸炎の当事者である頭木さん。
それぞれの生きづらさについて2人が互いにインタビューをし合ったものをまとめた一冊。
タイトルに「対決」「ケンカ」といった言葉が並ぶが、意見を戦わせるような内容ではない。
むしろ対話をするなかで、自身の生きづらさを再確認し相手の生きづらさを知っていくような内容だった。
それによってお互いの共通点や相違点が見つかっていき、個人の話から社会の話へと広がっていったように感じた。
自分自身読んでいて、共感できるところや、想像しなかった生きづらさについて知れたことがあった。
特に印象的だった話の1つは頭木さんの、ほんとうは対応できる -
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はじめに書かれている「逆病跡学」あるいは「健跡学」というアイデアは、本書全体を通じてもちょっと分かりにくかった気がする。病であること、すなわち診断に裏打ちされていることにこだわらず、発達障害の特徴を作品や資料から見出す営みということでいいんだろうか?
内容は各章が短くまとまっていて、読みやすい。短いこと、まとまっていることが良いのではなくて、飽きない感じがする。文章が回転している感じがするのだけど、なんでだろう。そういえば小見出しが(一)(ニ)となっている、こういう反復性のなす効果だろうか。いずれにしても、この作品もまた創作者の体感世界が映し出されている -
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依存症というものは私にとって遠い存在で、当事者の人々がどんなことを考えたり思ったりしているのかの一端を知ることができて良かった。
「はじめに」で松本俊彦さんが「個人的には、人が健康に生きるためにはある程度の不健康が必要なのだ、と声高に叫びたいくらいです。」と書いているのが印象に残った。健康な方が絶対いいじゃん、として一蹴するには重たい気がして。また、人が薬物依存になるのは、快感ではなく苦痛の緩和の効果によるのでは、というのがとても腑に落ちた。それを踏まえて考えると、依存症の人を頭ごなしに叱りつけることなんかできないよなと思った。
「私がオークションの入札に夢中になっているあいだ、私は確実に -
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こちら、タイトルを見て「うん。やめられないよね」と思って気になって読んだ本です。酒もたばこも。
依存症に関しての一冊だったのですが、これが本当に興味深くて興味深くて。「はじめに」で松本俊彦先生が「あまりにも大胆な、横道さんの「心のパンツ」の脱ぎっぷりでした」と書かれていて、どういうこと?と読み進めて言ったら、もんのすげぇ大胆な「心のパンツ」の脱ぎっぷりでした。それほど横道誠さんは色々開示してくださっていて、そこから展開されていく依存症の話がとても面白かったのです。
また、二人共文章の雰囲気が違うのがとてもよくて、テンポよく読めました。
この二人の往復書簡「ヘイ!マコト」「ヘイ!トシ」から始 -
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ネタバレ依存症に関する往復書簡。往復書簡というものに慣れてなくてどうも上滑りして読むのに苦労したのだけど(著者ではなく読み手の自分のせい)、とても面白かった。
依存症について、知っているようで全然知らなかったんだなということが多かった。例えば、違法薬物を使用したとして依存症になる人はその中の1割だとか、セックス依存症や買い物依存症は病気として正式な認定がされていないとか。とくに前者は、「薬やめますか?人間やめますか?」で薬物の恐ろしさを散々テレビ番組等で刷り込まれた人間としては驚き。酒だって飲んでる人全員がアルコール依存症になるわけじゃないでしょ、と言われてもやはり薬物は違うのでは?とこの本を読んだ