あらすじ
親による虐待、発達障害、宗教2世、PTSD……多重当事者だからこそ書けた、物語形式によるアダルトチルドレンの回復メソッド。当事者研究、オープンダイアローグ的対話実践で、自分なりのメソッドを発見してください。
依存症、精神疾患、貧困、DVなど、さまざまな事情による機能不全家庭で育った人のために書かれた、回復メソッドの教科書。アダルトチルドレン(AC)の困り事は多様で、一般的な処方箋だけでは対応しきれない。多様な出方をするACの事例にあわせて、当事者自身が回復メソッドを発見する必要がある。それがメタメソッドの考え方。当事者研究とオープンダイアローグ的手法により、数多くの対話型自助グループを主宰する著者の経験知が詰まった、物語形式で語る、アダルトチルドレンの回復指南書。アダルトチルドレン関連の文学・マンガ・映画作品についてのコラムも収録。
【「はじめに」より】
「本書はアダルトチルドレン(機能不全の家庭で育った人)のために書かれています。アダルトチルドレンの困り事は多様ですから、本書では処方箋を並べていくことに合わせて、そのような処方箋を当事者の側から新たに発見する場として「対話型自助グループ」を推奨しています。その意味で本書は「メソッド」の本であると同時に、メソッドを開発するための「メタメソッド」の本でもあります。」
【目次より】
1 アダルトチルドレンに関する基本事項
入口として──ダイキの物語/1−1 心理学的観点から/1−2 医療的観点から/1−3 ふたたび心理学的観点から/出口として──ダイキの物語
2 さまざまな回復モデル
入口として──アヤカの物語/2−1 傷ついた子どもの回復/2−2 トラウマケアの観点から/2−3 対話型自助グループのすすめ/出口として──アヤカの物語
3 当事者研究とオープンダイアローグの実践
入り口として──リョウの物語/3−1 前もって理解しておくこと/3−2 自助グループでの当事者研究/3−3 自助グループでのオープンダイアローグ/出口として──リョウの物語
☆COLUMN『くるまの娘』(宇佐見りん著)/『イグアナの娘』(萩尾望都作)/『ブラック・スワン』(ダーレン・アロノフスキー監督)/『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明監督)/『血の轍』(押見修造作)/『人間失格』(太宰治著)/
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Posted by ブクログ
物語形式で語っている、アダルトチルドレンのための教科書です。私も毒親育ち(母親が毒親)なので当事者たちの苦しさに共感することばっかりでした。対話型自助グループによってアダルトチルドレンたちが救われていく姿は私たちのような立場の人たちが生きていく上で希望が持てると思いました。
Posted by ブクログ
気づきと学びが多い一冊でした!対話形式で話が進んでいくので、専門的な用語や説明も普通の専門書よりも理解しやすかったです。それぞれの登場人物の生い立ちや考え方が少しずつ読者に明かされていくのが小説のようで興味深かったです。
Posted by ブクログ
「アダルトチルドレン」の意味について、この本を読むまで勘違いしていました。
つまりは、内容的には、自分が思っていたものではありませんでした。
が、自分の勘違いを修正する意味でも、読んでよかったと思えた一冊。
アダルトチルドレンとは、家庭内の問題(アルコール依存症やDV、性的なものをはじめとする虐待が存在する家庭、あるいは毒親、など、親や家庭内に問題のある状態を思い浮かべればよいかと)により、親子関係や兄弟姉妹関係がうまく構築できないまま大きくなり、結果として、人間関係がうまく構築できないまま大人になった人たち、ということができると思います。
結果として、アダルトチルドレンには、大きな苦悩を抱えて生きている人がたくさんいます。
そのようなアダルトチルドレンの状況を説明するとともに、苦悩を解消する方法やそのための場を紹介しているのが本書、といえると思います。
自分自身は、アダルトチルドレンではないと思いますが、アダルトチルドレンの世界を知ることは、決して無駄ではないと思いましたし、世間にももっと知ってもらいたい現実の一つだと思いました。
ただ、読んでいて、メンタル的になかなかしんどい本だったこともあり、世間に知ってもらうためには、時間をかけて少しずつ進める必要があるように思いました。
Posted by ブクログ
引用が多くて少し読みづらかったが、著者の正確な情報を伝えたいという誠意を感じた。
アダルトチルドレンと発達障害、そして依存症に、ついて理解が深まった。
回復とはゴールではなくプロセス。
自助グループで援助される、そして他の人に援助を提供することは非常に効果的。
普段からバランスよくいろいろなものに頼るのがストレスに対するレジリエンスを高めることになる。
Posted by ブクログ
タイトル通りまさに「教科書」な感じ。
様々な治療法や、介入の仕方、理論等が当事者による説明の形で紹介されているので、そのあたりをざっくり知りたい人にはいいのかもしれないが、専門用語を使って大枠を説明しているだけに、逆にある程度基礎知識がないとよくわからないのでは。
結構網羅的なので、ある程度の知識がある人が、それぞれの理論を整理して押さえておくのにはいいかも。
現場でどう実践したらいいかを知りたい人には不向き。ほんとに「教科書」だった。
よくよく読んでみたら、サブタイトルに「メタメソッド」ってあったわ笑笑
Posted by ブクログ
機能不全家族で成長した子って定義や色んな創作物から提示される事例を読む限り、心の問題を抱えていれば誰でもアダルトチルドレンになってしまうように思えた。
で、回復の方法にスピやマインドフルネスや『ハッピークラシー』で戦犯として名指しされているセリグマンが出てくるの…救われる人がいるなら良いんだけれども。それはともかくオープンダイアローグの有用性については良くわかった。