横道誠のレビュー一覧

  • ひとつにならない 発達障害者がセックスについて語ること

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    友人に勧められて。人間は本当にスペクトラムであり、「ひとつにならない」と言うことがとうとうとわかる話。
    著者横道誠の体験を書いた「はじめに」、いきなり初めから同感…となったのが大きい。
    …相手と良い雰囲気になってくると、気を許してしまい、いかにも自閉症スペクトラム症(ASD)者らしく、心を込めてふだん熱心に考えていることをダダ漏らしにしてしまう。「私は映画監督のゴダールが大好きなんですが、そのフラッシュバックの手法にいつも死の肉薄を感じて、ときめくのです。私も死のようなフラッシュバックを常態的に感じているからこその愛好ですが、それはさておきそのゴダールが、自殺幇助で亡くなってしまいました。どう

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    2024年11月04日
  • 酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

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    本の内容は長い題名の通り
    松本俊彦の名言「こまった人はこまってる人」に尽きると感じた
    薬物に対して『ダメ、ゼッタイ』では何の解決にもならない、、、
    ちなみに私も喫煙者

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    2024年10月31日
  • 当事者対決! 心と体でケンカする

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    対決というよりは、真っ当な対話だと思う。
    「ASDのこだわりをADHDが邪魔をする」という現象が、もう本当に当事者じゃないと分からない感覚だなとびっくりした。

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    2024年09月29日
  • 酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話

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    往復書簡形式の書籍ということで、自分には合わないかなぁと思いながら読んでみたが、意外と内容はまとまっており、往復書簡とは思えないような専門的なやり取りが展開されている。かと言って堅苦しさはなく、ユーモアもふんだんに交えており、真面目さと面白さのメリハリがちょうど良かった。
    中身に関しては、これまでの松本先生の著書と概ね一貫しているが、個人的には性別によらないパワーの行使に関する内容がとくに印象的であった。

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    2024年09月24日
  • 創作者の体感世界~南方熊楠から米津玄師まで~

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    自閉症とADHDの当事者であり文学研究者でもある著者が共感する創作者たちを取り上げ、発達障害が見せる世界を語る。


    ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書』を読んだ際に自閉者が既読の古典を別解釈で解体していくさまに魅せられたのでこの本も同じようなものを期待してしまったのだけど、本書は作家論が主でテクスト読解とはまた違うベクトル。最初は少しがっかりしたが、これは直前に読んだミア・カンキマキの『眠れない夜に思う、憧れの女たち』と同じく言葉のなかにロールモデルを探して彷徨う読者のものがたりではないか、と気がついて頭が切り替わった。ミアにとっての〈夜の女〉と、横道にとっての

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    2024年08月02日
  • 創作者の体感世界~南方熊楠から米津玄師まで~

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    想像以上に面白かった。
    発達障害や精神疾患についての知識があればあるほど、筆者の言っていることがわかり、納得がいき、より一層本書の理解が深まる。
    発達障害領域の人と、かれこれ30年近く接してきている私には、ここに書かれていることのひとつひとつがわかりすぎるほどわかる。

    本書にもあるが、まあどんな人にも発達障害的傾向は多少なりともあって、その濃淡の中にみんないるのだから、誰しもわかり得る部分はあるだろう。かくいう私も、障害になるほどでは全くないが、ややその傾向があるなというのは自分でもわかる。

    人類の発展は、発達障害者による突飛な発想やインスピレーション、衝動性や強烈なこだわりが生んだという

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    2024年07月09日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    ネタバレ

    P149「創造行為自体が症状の等価物であって、発症する代わりに作品を創った」
    P178「天才は病んでいると言うよりは、常人以上にタフなレジリエンスを有しているのではないか」
    P187「当事者研究は見かけ上はサイエンスという形式で文学をやっていこうという新しいムーブメント」
    なるほど…。

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    2024年06月16日
  • 創作者の体感世界~南方熊楠から米津玄師まで~

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    作家や芸術家を深く知ると「この人はもしかして発達障害だったのではないかな」と思うことがよくある。

    発達「障害」、発達障害の「診断」という言葉には抵抗があることは言っておく。「障害」という言葉には定型発達者の傲慢が感じられる。あくまで脳のクセのようなもので、病気ではない。だから「診断」するものでもない。ただ今のところ「発達障害」という言葉しかないので仕方なく使う。

    だからこの本が出て、目次を見たとき、南方熊楠、宮沢賢治、石牟礼道子らには「やっぱりそうか」と思ったが、小津安二郎や与謝野晶子などは「えっ、そうなの?」と感じた。発達障害の当事者である著者なので、もちろん私なんかよりその視点は鋭いわ

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    2024年04月01日
  • 発達障害の子の勉強・学校・心のケア~当事者の私がいま伝えたいこと

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    椅子に座れない子がいる。
    それは、定型発達の子のために作られた椅子だからだ。
    周りにとって困った子は、困っている子。
    ゲーム依存はやめたくてもやめられないこと。
    没頭してそれが逃げ場になっているなら、見守る。

    この言葉たちに衝撃を受けた。
    私は定型発達であるという自覚も意識もない。
    忘れっぽい、すぐ物を無くすなどたくさん失敗をしてきた。
    作者も自分自身の発達障害の特性を、周りの環境になんとか適応させてきたことがよくわかる一冊であった。
    当事者視点になって考えることはどんな職であっても大切にしていきたい。

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    2024年04月01日
  • 唯が行く! 当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記

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    「ケアする対話」の読書体験から辿り着く。当事者研究、オープンダイアログについて体験も踏まえて物語風に書かれているので、また当事者として書かれているので分かりやすい。関連して、ナラティヴ・セラピー、中動態、そしてハイデガー、アーレント、バフチンへの言及など盛りだくさんであった。最後に今の私に一番響いた文章。最小のジャッジが、大きなジャッジに連絡し、他者を切って捨てる役割を果たしていることを自己観察すること。そうすることで、「人は『ジャッジする生命体』としての自分の本性に気づいて、自分の凶悪な刃が他者に振り下ろされるのを阻止しやすくするのではあるまいか。」

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    2024年03月31日
  • 唯が行く! 当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記

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    面白いアプローチの本。

    小確幸。しょうかっこう。村上春樹の造語。小さいけれど確かな幸せ。
    発達障害の特性を人格と混同しないことにしている。私の発達特性を仮に悪魔の球根と呼ぶことにします。この名前に深い意味はありません。その悪魔の球根は私は嫌でも飼育せざるを得ない状況に置かれていて、悪魔の球根のせいで、私はほとほと困らされてしまっていると考えている。そのように、自分の人格と分けることで、問題の処理が簡単になる。問題の外在化と呼びます。
    パニックのようになった時は、パソコンみたいに自分で一旦強制終了して改めて再起動している。例えば湯船と冷たいシャワーを交互に浴びるなど。自分用に最適化されたメソッ

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    2024年03月24日
  • あなたも狂信する 宗教1世と宗教2世の世界に迫る共事者研究

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    正しさに/答えに拘泥し超越論的存在や陰謀論に依存する。確かにそんなに珍しい話でもないわけで、タイミングやきっかけ次第で容易に「あなたも狂信する」のだということ。

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    2023年12月26日
  • 信仰から解放されない子どもたち――#宗教2世に信教の自由を

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    色々と考えさせられる本でした。
    「カルト」は宗教以外でもあり得ることという見方に目から鱗でした。どこかで「カルト=宗教」という繋がりでしか見ていない自分がいて反省。
    またどの宗教でも「宗教2世としての被害」は起こり得ることとして、対岸の火事にならないように自覚し、認識していかなければいけないと改めて思う。「自分たちは違う」「自分たちは大丈夫」という考えから、被害を訴える声を邪険に扱ったり、無碍に扱ったりしてしまわないよう、心がけて欲しいし、心得ていきたい。

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    2023年11月24日
  • ある大学教員の日常と非日常

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    ネタバレ

    面白かった。
    普通のエッセイと紀行本の中間みたいな本。

    作者は自閉症とADHDを患っていて、当事者研究として障害者への知識を深めている。
    そのため、旅行や生活の中で起こる様々なイベントに対して、自分事なのに俯瞰的に見て分析するパートが多くて面白かった。

    とくに「注意欠如・多動症的ビールストック」「自閉症スペクトラム症的ビールストック」の部分は笑った。
    ADHDの目についたものに興味を持ちやすい傾向と、自閉症のこだわりが強い傾向がビールの銘柄に表れるのも面白いし、ネーミングのパンチが強くて良かった。

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    2023年11月23日
  • 発達障害の子の勉強・学校・心のケア~当事者の私がいま伝えたいこと

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    人は誰もが幼い頃から、褒められて認められて成長してゆくと思って今まできたけど、何かしらの特性を持つ子ども達が、普通じゃないからと言って、やる事なす事認められずに過ごしていると思うと、涙が出てしまいました。子どもが不幸にならないように、その子にとって何が幸せなのか…まずは家族が一番の理解が求められるけど、そこには親として、特性を受け入れるのは、かなりの覚悟が要るんだろうと察します。

    この本を読まれて、こんな方法があるのか、こんな相談出来る場所を探してみようとか、前向きに一歩踏み出せると良いなぁと思います。

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    2023年11月04日
  • 発達障害の子の勉強・学校・心のケア~当事者の私がいま伝えたいこと

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    発達障害を抱えた子に対してどのように接すれば良いのか。発達障害についてー特にこどものときに保護者の立場でどのように接すればよいのか、筆者の当事者体験を元に綴られている本。発達障害について理解が深まるほか、事例として紹介されるライフハックは定型発達者にも参考になるかもしれないと思った。誰もが自尊心を失わずのびのびできる社会が現れると良いなと思う。

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    2023年11月02日
  • ひとつにならない 発達障害者がセックスについて語ること

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    人間関係の構築や継続に困難を覚え、生き辛さを抱える発達障害者の性の問題についてインタビュー形式で自身の体験とも比較しながら書かれた本である。題名通り「ひとつにならない」感覚を持つ人から、そうでない人まで、生きる根本な形で性の問題は現れる。それぞれ多様な形で性の問題を通じて、それぞれの生き方が語られているという印象。

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    2023年10月29日
  • 信仰から解放されない子どもたち――#宗教2世に信教の自由を

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    ネタバレ

    宗教2世勉強中なので。宗教2世の人のインタビューと編著者と識者の対談の形。やっぱ経験者の話が興味深いけど、識者の話も面白かった。天理教が入ってて、おーと思う。わが友も苦悩したんだろうか。今はどうなのか、信仰してるのか、聞きたいけど、聞けないもんなー。恐るべし宗教問題。やや日刊カルト新聞も初めて知ったわ。上教大に宗教社会学の先生がいたのも知らなんだ。

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    2023年08月06日
  • みんなの宗教2世問題

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    ネタバレ

    「カルトの子」に衝撃を受け、何度も読んでいる身としては読まずにいられないテーマ。宗教と発達障害の関係については考えたこともなかったけど、人生がうまくいかずに宗教に助けを求めることを思えば、生きづらさを感じやすい人たちがはまってしまうのはなるほどと思う。当事者のインタビューは読みやすかったけど、専門家のところはちょっと読み飛ばすところも。信田さよ子さん、久しぶりに読んだけど、やっぱ分かりやすかった。斎藤環さんとの対談のとこも。こういう本を読むと、あの高校時代のエホバの子を思い出す。今どうしてるんだろうなぁ。エホバの個別訪問が辛い思いをさせて、コミュニティへの帰依を高めるためだという意見にはなるほ

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    2023年07月15日
  • みんなの宗教2世問題

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    ネタバレ

    宗教者、精神科医、ジャーナリストなどこの問題に向き合っている様々な専門家との対談や取材と2世当事者の声を集めた章が秀逸。
    むしろそこだけでも良かったのでは、と思うくらい。
    最後の方の章は著者自身の著作や宗教関連の文学や映像作品の紹介と見解が多く、興味を惹かれるものもあったが映像に関してはほとんど見ることのできないものが多いこともありちょっとうるさく感じてしまった。蛇足感がある、と言ったら言い過ぎだろうか。

    p253で著者が創価学会について、エホバの証人のように2世問題を唱えてる人や宗教被害を受けたと言っている人が実数からすると多いと思えない、ゆえにエホバが2世問題を生み出しやすい宗教と言える

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    2023年07月08日