横道誠のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
精神科医・松本俊彦氏と文学研究者・横道誠氏の往復書簡形式による、依存症について語った本。
(特別対談として、田中紀子さんが巻末で対話形式参加しています)
御二方が「当事者目線」で語る内容は赤裸々で、編集さんたちから「大丈夫かな?」と心配されるほどだった様子……
往復書簡の形式をとったことで、
よくある対談形式とは違って、話が流れたり横道にそれて本筋がわかりにくくなる(あるあるですよね?)ことが抑えられていて読みやすく感じました。
本書が訴えていることを私なりに解釈すると、
・依存事態が悪いというよりも、依存の背景を知ることが大事(自己治療的な依存が大半)
・誰もが、なにかに依存していて、 -
-
Posted by ブクログ
自身も自閉スペクトラム症・ADHDと診断されている筆者が総勢16人の作家、アーティスト、アニメーター達の作品を「発達当事者」として読み解いていく。
自閉スペクトラム症特有の「想像力の欠如」は定型発達者からの視点で、当の本人たちはそれぞれの形で様々な想像をしていることや、世間とのズレからしばしば乖離をおこし、「人間風」に生活するために擬態をしていること、その感覚や経験から生み出される様々な作品への解説がとても興味深い。
水の中、宇宙人・異星人感、独特の距離…。
萩尾望都の章で、かつて対談で萩尾氏が語った「失敗したりダメだったりする子には、心があるとは思われていません。だから何を言ってもいいし、ど -
Posted by ブクログ
「心のない人」とは、自閉症スペクトラム症である筆者が、自閉症スペクトラム症の人の心のありようが普通とされる人と違うことからつけたタイトル。自身が主催する当事者会で出会った、生きづらさを抱えたまま大人になり、大人になってから診断を受けた人たちから、これまでどのように生きてきたか、心をどのように学んできたかを語ってもらったもの。どうやって人と関わってきたか、「普通の人」になろうとしたか、多くはアニメ、マンガ、ドラマ等から学んできている。意外に私はよくわかってしまったのだ。私も本やアニメやマンガから人について学んだし、あ~、言わなければ良かったとヒヤッとした瞬間は未だに覚えている。私にはその要素があ
-
Posted by ブクログ
アルコール依存症の文学研究者とニコチン依存症の精神科医の往復書簡本
当事者かつ自助グループを運営している横道氏と当事者かつ薬物依存の患者に携わってきた松本氏だからこそ綴ることができる社会から見た依存症やそれを取り巻く支援や患者家族のイメージと実情のギャップが大きく、実際の自助グループや治療の場ではどういったことが起こっているのかをよく知ることができた
例えばアルコールやタバコ、薬物についても0か100かの当事者を追い詰めるような啓蒙のしかたよりも、現実の苦痛を多少まぎらわせながらも量を緩和させるとか、よりしんどさを与えない方向のアプローチをしていくことなんかが書かれており、一般にイメージされる -
Posted by ブクログ
「アダルトチルドレン」の意味について、この本を読むまで勘違いしていました。
つまりは、内容的には、自分が思っていたものではありませんでした。
が、自分の勘違いを修正する意味でも、読んでよかったと思えた一冊。
アダルトチルドレンとは、家庭内の問題(アルコール依存症やDV、性的なものをはじめとする虐待が存在する家庭、あるいは毒親、など、親や家庭内に問題のある状態を思い浮かべればよいかと)により、親子関係や兄弟姉妹関係がうまく構築できないまま大きくなり、結果として、人間関係がうまく構築できないまま大人になった人たち、ということができると思います。
結果として、アダルトチルドレンには、大きな苦悩を抱