【感想・ネタバレ】「心のない人」は、どうやって人の心を理解しているか――自閉スペクトラム症者の生活史のレビュー

あらすじ

〈「心がない」ってどういうこと?〉

◉「自閉スペクトラム症の当事者はマンガ、小説、アニメ、映画、テレビドラマ、音楽などから〝人の心〟を理解しようとしているのではないか?」

◉その仮説をもとに、さまざまな生い立ちを抱える当事者7人に、自身も当事者である著者が共感を込めてインタビュー。かれらが夢中になったマンガ、小説、アニメ、映画、テレビドラマ、ポップミュージックは、どのようなものだったのか。

◉インタビューから見えてくる「それぞれの生きづらさ」。そして〝心〟の不思議が浮かび上がる、当事者の生活史にして昭和平成令和サブカル絵巻。

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▶ぼく自身の人生を振りかえってみると、創作物から学んだことが非常に多いと感じるんだ。それこそ人の心の秘密も、多くを本から学んだ。

▷自閉スペクトラム症者は非言語的コミュニケーションが不得意だって、よく言われるよね。

▶実際ぼくは日常生活で人の心がわからなくて困惑し、その秘密をひもとくために文学作品に親しむようになったんだ。それで、ほかの「発達仲間」の場合はどうかなって思ったんだ。

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【目次】
はじめに
序章
第1章 HOTASさん
第2章 まるむしさん
第3章 ナナトエリさん
第4章 ヨシさん
第5章 ぽん子さん
第6章 八坂さん
第7章 リナさん
終章 終章
おわりに

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Posted by ブクログ

「心のない人」とは、自閉症スペクトラム症である筆者が、自閉症スペクトラム症の人の心のありようが普通とされる人と違うことからつけたタイトル。自身が主催する当事者会で出会った、生きづらさを抱えたまま大人になり、大人になってから診断を受けた人たちから、これまでどのように生きてきたか、心をどのように学んできたかを語ってもらったもの。どうやって人と関わってきたか、「普通の人」になろうとしたか、多くはアニメ、マンガ、ドラマ等から学んできている。意外に私はよくわかってしまったのだ。私も本やアニメやマンガから人について学んだし、あ~、言わなければ良かったとヒヤッとした瞬間は未だに覚えている。私にはその要素があるのかもしれないし、もしかしたら、誰にでも何か共感できるところがあるのかもしれない。私はこれまでなんとかやってこられたのは、周りの人に恵まれて、私の存在を許してくれた場に恵まれたからなのだろうと思う。この本を買いに本屋へ行ったときに、この類いの本の多さに驚いた。多様性に寛容であろうとする動きは高まっているのかなと思うのだけど、生きづらさを抱えた人は増えているのか。当事者会で救われたという話が多かったが、そこに行き着かなければ救われないのは悲しいなあ。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

7人の当事者インタビュー。人が触れてきたカルチャーを知るのはシンプルに楽しい。ワタシもフィクションから学んでいるクチです。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

それぞれ興味を持つ分野は違っても漫画やドラマなどからも人の心は学べます。

発達仲間たちのお話。
とても興味深かったです。

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

フィクションから学んでいるよ。という話だった。思っていたのと違ったのでちょっとがっかり。何人かの当事者経験を語ってくれてはいるけれど何かに秀でているというか勉強できる、言語能力に秀でてる人たちだった。もう少し深掘りして欲しかったし体験談の後別の人たちが当たり合うのではなくで当事者交えて欲しかったな。

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

自閉スペクトラム症者がどのような環境で育ち、どのような作品に触れて、人の心を理解していくのか、が書かれた本でした。

ガンダムの話が何度か出ていて、その時代を象徴する作品などから、何がいいのか?を汲み取っている様子を感じた。
人と会話でコミュニケーションを深めていく、ということがどうしても自閉傾向のある人には難しい。
(空気が読めなかったり、などで波長が合いにくい)
でも、本人たちは普通になりたくて、心の奥底では人との触れ合いが欲しくて、1人でも学べる作品から〝普通〟を摂取して擬似体験しているのかもしれない。

どんな人にも時間は同じだけあるので、普通の人が人とおしゃべりをしている時間で、何かしらの作品に傾倒している分だけ、作品への洞察が深くなっている可能性もある。

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2025年03月05日

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