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「ダメ、ゼッタイ」に代わる、有効な手立てはありうるのか?
依存は回復の始まり。
やめればいいってものじゃない!?
連載時から当事者、当事者家族、支援者・専門家を騒然とさせた
不良患者×不良医師による画期的な往復書簡がついに書籍化――。
現代人にとって最も身近な「病」である依存症――非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、その対象は多岐にわたる。
そんななか最も身近な依存物質であるアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する文学研究者・横道誠と、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦の、一筋縄ではいかない往復書簡が始まった。最小単位、たったふたりから始まる自助グループ。
依存症の裏側にある、さらにその深淵へ!
特別鼎談「ギャンブル依存症問題を考える(ゲスト:田中紀子)」も収録。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
往復書簡形式で、軽やかな語り口でありつつも、依存症(アディクション)や社会問題、福祉について広く分かりやすく書かれていました。付箋をたくさん貼りながら読んでしまいました。
依存症は自己治癒的なところから陥りやすいこと(=ストレス社会において、誰のすぐ横にもあるものなのかなと思いました)、そして何よりも、コミュニティへの所属や人との繋がり、自分自身の「回復したい」という気持ちが回復には大切であること。なんとなく理解していたものの漠然としていた知識を、少しクリアにできたように思います。
社会や家族のあり方についても考えることができた良書でした。
「ダメ、ゼッタイ」のような啓発や、トー横での排除アートなど、なんでもそうですが、そこに至ってしまった人の背景への考慮が足りていないように感じます。また、そうした対応によって、かえって支援から遠のいてしまう人がいることの危険性についても考えさせられました。
少し踏み外した人を排除していくような社会ではなく、その背景を理解し、必要な人がきちんと支援につながれる社会であってほしいなと思います。
そういう人に必要なのは排除ではなく支援であり、そういうところに税金が使われてほしいと願います。
Posted by ブクログ
主にアディクションについての、往復書簡であるが、精神医療や福祉についても幅広く語られていて、非常に興味深かった。保護者として子供達には薬物やギャンブルにはダメ・ゼッタイ方針で教育しているが、それはそれで場合によっては追い詰めてしまうのだな…と今のアディクション治療の考え方や、日本の法規制についても学びがあった。
私自身も、コレクション癖やハマると夢中になりすぎる面ではADHD的傾向があるのかもなあ…と我が身を振り返りつつ…。専業主婦という名のもと、かなり社会と切り離されている人間なので気をつけなければと思った。アディクション、私から遠い世界の話ではないぞ。
Posted by ブクログ
タイトルの二人による往復書簡。
松本俊彦さんの依存症に関する専門家としての知見は自分には新鮮で、依存症に対する「本人の意思の弱さ」的なステレオタイプを覆されて目から鱗の連続だった。
・人は皆何かしらに依存している弱い生き物
・依存性薬物使用経験者のうち依存症の診断基準に該当するのは1割程度。人間は飽きっぽい動物。どんな気持ちがいいものでもすぐに飽きてしまう。「一度やったら人生終わり」は大げさ。
・薬物、ゲーム、ギャンブルに執着する人たちは快感からではなく苦痛の緩和からそうしている。快感は飽きるが苦痛の緩和は飽きない。
・「最大の悲劇はひどい目に遭うことではなく、ひとりで苦しむこと」。自助グループの効果は仲間たちとつながれることにある。
・レバーを押すと麻薬が投与される檻にネズミを入れるとネズミはレバーを押し続けるが、これは薬物に依存してそうしているのではない。檻の中で孤独だからそうしている。仲間たちと同じ檻に入れると麻薬には見向きもせずに仲間とじゃれ合ったり交尾したりする。麻薬の摂取経験があってもそう。この実験は、依存症の本質は孤独にあることを示している。
・発達障害やPTSDの人たちは依存症に対して親和性が高いが、そういう人たちはえてしてコミュニケーションに困難を抱えているため人とつながるのが苦手で孤立しやすい。
・「自立とは依存先の分散」
・依存症は人を死に追いやる危険性があるものの、それがあるからこそ「しんどい今」を生きられている面もある。「アディクションは長期的には自殺の危険因子だが、短期的には保護因子として影響する」
・今や薬物依存症外来を訪れる患者の半数は、医薬品という「逮捕されない薬物」「取り締まれない薬物」で困っている人たち
・一般に薬物規制をむやみに強化すると、闇市場が繁盛するとともに、以前よりも危険な薬物が流通するようになる。
・依存症問題を家族だけで解決しようとするのは危険。
・「家族は病気の温床」
・「死にたいくらいつらい現在」を生き延びるのに依存症になるのは最悪ではない。少なくともただちに死ぬよりはマシ。しかし依存症に頼って延命するだけでは長期的には死が近づいてしまう。
Posted by ブクログ
高橋源一郎が「飛ぶ教室」で紹介していたのが、面白そうだったので読んでみたのだが、大当たり!
横道誠さんの壮絶な人生と、アディクションの数々。
なんて困難な人生を生き延びている人なの!ということにまず衝撃を受ける。すごい衝撃。
発達障害(自閉スペクトラム症と注意欠陥多動症などなど)と宗教2世、それに伴う心的外傷後ストレス障害、アルコール依存症などなど。(まだ他にも)
書きっぷりが堂に入っており、魅力的で引き込まれる。
とにかく、横道さんの自己開示が凄すぎて、それがまずこの本の魅力。横道さんの人生が全て投げ込まれているのが本気度高くて面白い。
横道さんと真っ向から勝負しなければならない松本さんは大変だろうが、そこは往復書簡をすると決まった時に覚悟したのだろう。松本さんが少し狼狽えながらも自己開示するのがこれまた面白い。
大人が必死に生きてるのを見せるのはよいですね。
アディクション自体が死にたい位辛い現在を生き延びるために死んで解放されるのを一時的に延期し迂回する手段という一面もあるのだなということがよくわかった。
アディクションは長期的には自殺の危険因子だが、短期的には保護因子として影響するという。
もちろんそれにがんじがらめになるのは危機的状況なのでそこから救ってくれるのが、自助グループの存在だと2人は口を揃えて言う。
医者より自助グループ。
自助グループの価値がよくわかる本だ。
印象に残ったこと①
「ハームリダクション」の考え方。
世の中には薬物使用を続ける当事者が一定数いることを前提として、薬物使用による二次的な弊害を低減することを目指すもので、具体的には、感染症拡大防止のために清潔な注射器を無償配布し、安全な薬物が使用できる注射室を設置し、比較的害の少ない代替的薬物を投与することなどである。
なんとスイス政府はヘロイン使用者が激増したため、この「ハームリダクション」を政策として実施。ヘロインを医療機関できちんと管理する形で処方したら、劇的にヘロインで死亡する人の数が減ったそうだ。
何がなんでもダメと言う政策では本質的な問題解決にはならないということだ。
面白い!と思ったし、効果もあるだろうと思うが、このやり方は、悪い奴にいくらでも悪用されるんじゃないかと心配になった。依存症にならないために、例えば、性風俗店はあるべきだ、とか、慰安婦は必要悪だ、とか、公営ギャンブルは必要だ、とかとかとか…。
印象に残ったこと②
時の政府が何を禁止するかは、時流に左右されるということ。アルコールは暴力も振るうし、記憶に残らないし、他人に迷惑をかけるのになくならないのは、好きな人が多いから。ギャンブルも許されているものとそうでないものの線引きは曖昧だ。許されているものは、ポイ活もやり放題。どんどん深みにハマっていく仕組みになっている。
Posted by ブクログ
依存性に至るまでに、その人それぞれにとって様々な背景がある事。
凄惨な虐待、いじめ、性被害、本人とってトラウマとなるような深刻な体験。
または生まれながらの発達障害による生きづらさ、それに伴う二次障害。
各々が複雑に絡み合いながら死にたい、消えてしまいたいという辛い気持ちを、それでもなお孤独にも自分自身で何とかしよう、問題に対処しなければという健気とも言える生きる為の行動が依存性と言えるのでは?と感じた。
依存性の解決には依存対象を取り上げる事ではダメなこと。
どうすれば孤独に対処し続けてきた当事者を孤立させずに支援していけるのか…。
支援者、家族の在り方を何度も考えさせれる作品だった。
当事者と家族、支援者を分断させずに継続的な支援をしていくには…
まだまだ問題は山積みだと感じる。
この作品に出会えた事に感謝。
依存性に関わる全ての人に読んで欲しい。
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