【感想・ネタバレ】ひとつにならない 発達障害者がセックスについて語ることのレビュー

あらすじ

脳も、セックスもいろいろだ。
だから、ひとつになんかならないし、なれないのだ。

空気が読めない、身体がうまく動かない、発達障害者のわたしはどう愛しあう?
ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)の当事者が聞き書く、赤裸々な発達障害本。

「四〇歳で発達障害の診断を受け、過去のことを振りかえるにつれて、これまで謎だった、自分のさまざまな言動の謎が解けてきた。恋愛に発展しそうなコミュニケーションが発生しても「空気を読めない」し、性交渉の場面で、奇妙なことに「こだわり」を発揮してしまう。というのも、自閉スペクトラム症があると、標準的なコミュニケーションが困難になって、一般的には理解されにくい嗜好に支配されるからで、注意欠如・多動症があると、注意が拡散したり、衝動的に行動に出たり、過剰に動き過ぎてしまうからだ。

性交渉では、他者と出会い、生身の自分をさらけだして(どの程度かは、その人自身にも、そのつどの相手にもよる)、仲を深めていき、一緒に気持ち良くなるための擦りあわせが必要になる。それは発達障害者にとって、もっとも苦手なことの集合体といえるかもしれない、と私は考える。おまけに、発達障害者にはジェンダーやセクシュアリティの揺らぎを抱えている者が多くいて、それが状況を余計にややこしくする。

定型発達者(発達障害がない人たち)から見れば、私たちの挙動は奇行まみれに見えるだろう。実際、私はいまでも──性に関する場面に限ったことではないけれど──貴公子ならぬ奇行士だ。

しかし、思えばおかしなことではないだろうか。性の問題は非常に切実なはずなのに、しかも発達障害に関する本は世にあふれるほど出ているのに、「障害者と性」はタブー視されがちで、発達障害者の性行動について詳しく掘りさげた本はほとんど見当たらない。はたして、仲間のみんなはどうしているのだろうかという真剣な思いから、そして、もちろん多少あった単純な好奇心からも、この企画は始まった。」(「はじめに」より)

【目次】
【目 次】
はじめに
序 章 横道誠のヰタ・セクスアリス
第一章 パンセクシャルの白髪葱さん
第二章 元プレイボーイの青さん
第三章 ノンバイナリーのしぇるどんさん
第四章 愛の当事者研究に励む鷹村了一さん
第五章 元セックス依存症者の唯さん
第六章 リスセクシュアルのぷるもさん
第七章 シロウト童貞の数独さん
第八章 メンヘラな姫野桂さん
おわりに

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Posted by ブクログ

友人に勧められて。人間は本当にスペクトラムであり、「ひとつにならない」と言うことがとうとうとわかる話。
著者横道誠の体験を書いた「はじめに」、いきなり初めから同感…となったのが大きい。
…相手と良い雰囲気になってくると、気を許してしまい、いかにも自閉症スペクトラム症(ASD)者らしく、心を込めてふだん熱心に考えていることをダダ漏らしにしてしまう。「私は映画監督のゴダールが大好きなんですが、そのフラッシュバックの手法にいつも死の肉薄を感じて、ときめくのです。私も死のようなフラッシュバックを常態的に感じているからこその愛好ですが、それはさておきそのゴダールが、自殺幇助で亡くなってしまいました。どうやったら日本でも自殺幇助や積極的安楽死の制度を導入できるのかと言うのが、いまいちばん興味のあることです」
ここまで語れはしないのだけれど、私も何かのインプットに刺激されて思考が回って話したいことがあったら、どんなタイミングでも話すから笑。「好きな時に好きなだけ好きな話をしていいんだよ」と言われている相手というのもあるけれど。そういうこともあって、最初から興味を持って読めたのでよかった

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

人間関係の構築や継続に困難を覚え、生き辛さを抱える発達障害者の性の問題についてインタビュー形式で自身の体験とも比較しながら書かれた本である。題名通り「ひとつにならない」感覚を持つ人から、そうでない人まで、生きる根本な形で性の問題は現れる。それぞれ多様な形で性の問題を通じて、それぞれの生き方が語られているという印象。

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2023年10月29日

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