【感想・ネタバレ】みんなの宗教2世問題のレビュー

あらすじ

私たち2世の声を聞いてください!
虐待、金銭的搾取、家庭崩壊、性暴力、PTSD…。過酷な境遇を生きのびた当事者たちの証言と、識者たちの考察で、2世問題の解決に挑む。

安倍晋三銃撃事件で浮上した「宗教2世問題」。当事者たちの苦しみをどう伝え、どう救済するか? さまざまな2世当事者たちの証言、学術、ジャーナリズム、精神医療などの専門家による論考、海外の研究状況紹介、日本の創作物における宗教2世の描かれ方の総覧などから、2世問題の深層にせまり支援のあり方について考える一冊。「宗教2世問題」を一時の消費で終わらせないために。

〈宗教2世とは何か。本書では「宗教2世問題」を親が特定の宗教を信奉しており、その宗教儀式や宗教活動の影響によって、子どもの養育、発育、発達、成長に著しい障害が発生する問題と定義したい。(…)「宗教2世」は必ずしも「カルト」として非難される宗教団体の2世ばかりではない。一般的にカルト宗教と見なされない新宗教や、場合によっては伝統宗教の内部でも、「2世問題」は存在する。〉(「はじめに」より)

【目次】
■1章 当事者たちのさまざまな声
被害者をもう出さないために反セクト法を 小川さゆり
スクールカウンセラーとして、いまは2世たちの苦しみに寄りそいたい マリコ
マインドコントロールは残っていて、いまでも人が怖い もふもふうさぎ
「正統派」と呼ばれるところでも、カルト化することは普通にある あやめ
家族を大事にするための組織が、家族を犠牲にしている サキ
教義や信仰心を利用した性暴力にも焦点があたってほしい 朱莉
宗教2世とマルチ商法2世の類似する苦悩 ライオ
安住の地で暗部を見ても、外の世界の生き方がわからなかった 大沢
信仰優先で家族が崩壊するのは、オウムも他のカルトも同じ 中山尚
たまたま人を殺さなかった、とある宗教2世の話 紫藤春香

■2章 宗教2世・海外での最新研究状況 横道誠
──宗教的虐待、毒宗教、健全な宗教団体、宗教的トラウマ症候群、宗教的児童マルトリートメント

■3章 識者たちによる宗教2世論
宗教2世問題の歴史的宗教文化的展望 島薗進
宗教2世とカウンセラーの責任 信田さよ子
宗教・社会・家族のダイナミズム 釈徹宗
普遍的問題としての宗教2世問題 中田考
目の前で苦しむ他者に耳を傾ける 沼田和也
社会全体で2世の生きづらさを軽減する努力を 江川紹子

■4章 精神医療/カルト問題報道の観点から
信仰の自由はR20にしたほうが良い? 斎藤環×横道誠
宗教2世問題をコンテンツ消費で終わらせないために 鈴木エイトインタビュー

■5章 宗教2世はいかに描かれてきたか 横道誠
──関連する日本の創作物について思うこと

■6章 改めて宗教2世問題を展望する 横道誠

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Posted by ブクログ

エホバの証人の2世の方で、臨床心理士の資格を取り、スクールカウンセラーをされている方の言葉が、とても強く切実に響きました。
ぜひ多くの人に読んでもらいたい本です。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「カルトの子」に衝撃を受け、何度も読んでいる身としては読まずにいられないテーマ。宗教と発達障害の関係については考えたこともなかったけど、人生がうまくいかずに宗教に助けを求めることを思えば、生きづらさを感じやすい人たちがはまってしまうのはなるほどと思う。当事者のインタビューは読みやすかったけど、専門家のところはちょっと読み飛ばすところも。信田さよ子さん、久しぶりに読んだけど、やっぱ分かりやすかった。斎藤環さんとの対談のとこも。こういう本を読むと、あの高校時代のエホバの子を思い出す。今どうしてるんだろうなぁ。エホバの個別訪問が辛い思いをさせて、コミュニティへの帰依を高めるためだという意見にはなるほどーと思った。しかし、こういうのって誰が仕組んでいくんだろうな。金なのか権力なのか性的なものなのか、絶対どこかの少数がうまい汁を吸ってると思うんだよな。

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗教者、精神科医、ジャーナリストなどこの問題に向き合っている様々な専門家との対談や取材と2世当事者の声を集めた章が秀逸。
むしろそこだけでも良かったのでは、と思うくらい。
最後の方の章は著者自身の著作や宗教関連の文学や映像作品の紹介と見解が多く、興味を惹かれるものもあったが映像に関してはほとんど見ることのできないものが多いこともありちょっとうるさく感じてしまった。蛇足感がある、と言ったら言い過ぎだろうか。

p253で著者が創価学会について、エホバの証人のように2世問題を唱えてる人や宗教被害を受けたと言っている人が実数からすると多いと思えない、ゆえにエホバが2世問題を生み出しやすい宗教と言えるかも、という趣旨のことを言ってます。2世問題というくくりの中で共通する困難さや生き難さなどもあるでしょうが、宗教の中身によって確かに問題の深刻さや複雑さはかなり違うだろうと思います。
一括りでは解決できないところにどう対処していくかというところにまだまだ全然現状はたどり着いてないと思います。
鈴木エイトさんが懸念するようにこの問題がコンテンツとして消費されてもやもやと終わらされないことを願っています。

斎藤環さんが言うように、宗教をR20にするというのはかなり名案だと思います。私自身も子供のころから親の入信した宗教に結婚後も振り回され(本書に出てくる当事者の方々とは困難さは比較になりませんが)「何故自分に意志で入信したものでない宗教にこれほど神経をすり減らされなければならないのか」とその理不尽さに怒りをずっと抱いていたので、本当にそのような法律ができてくれたらどんなにいいだろうと思いました。
…まぁ現実にはほとんど無理だとは思いますけども。

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2023年07月08日

Posted by ブクログ

1章は聞書のためか整っていない文章に読み取りにくさを感じると共にとてもリアルに訴えかけてくるものがあった。3章の識者による宗教2世論はとても興味深く、宗教、特にカルトの問題をどう捉えるかの指針となる。特に釈撤宗氏の項で述べられているように宗教教団側の取組むべき課題を明確にし、2世問題を家族の問題だけに留まらせないように社会はしっかりと向き合っていかなくてはならないと感じた。
宗教問題を取り扱った本や映画の紹介もあり、続けて手にしていきたい。

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2023年04月27日

Posted by ブクログ

編者は自身が宗教二世であることを明かしている横道氏。自身の発達障害についても触れている。

第一章は宗教2世らの生の声。
そして著名人らによる様々な意見。
いろんな人の声に耳を傾けるということの大切さがよくわかる。

後半は宗教二世を扱った作品についてデータベースのようになっている。今まで気づかなかったが、これだけ作品化されているということは、表現者がそれぞれに問題意識を持って発信しているということでもある。

安倍元首相銃撃事件から3年経過し、改めて読んでみようと手にした一冊。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

私も宗教2世、いや、正確には3世です。
皆さんの体験談は、自分と重なるところも多く、改めて、自分もいろんなことを我慢してきたんだろうな、本当の自分を出すことができずに大人になったんだろうなと感じました。

せっかくなので、私の記録も(長くなりますが)ここに残します。
私は、父方の祖母、母方の祖父母が創価学会に入会し、父と母は子どもの頃から学会員で、学会活動の中で出会って結婚し、私が生まれました。
父母は地元でちょっと有名な活動家だったので、その長女である私も期待されていると(勝手に)感じていました。
小学生になる頃、母から勤行唱題を教わり、土日には未来部として会合や合唱団の活動に参加しました。
かなり真面目でいい子で、勤行唱題も活動も休むことはほとんどありませんでした。
思い出もあるし、活動を率いるお姉さんたちも優しかったし、そこで教わった宗教的な考えに、今でも救われると思うこともあります。
でも、土日に予定があることが多かったこと、特に中学になると休みの日でも制服で学会活動に行くので、友だちに会うと気まずかったこと、修学旅行では他宗のお祈りはできないということで、クラスメイトが参拝中、外で待っていたことなどが、苦い思い出として残っています。
活動したいとか、したくないとかの前に、自分が本当にしたいことというのは、小さい頃からよく分からず、全ての行動はやるべきことだからやる、という感じで、学会活動以外は、勉強ばかりしていました。
なので、成績もよかったです。

学会は関係ないですが、高校の時は留学もしました。
それも、母が話を持ってきたからで、私は「ああ、留学すればいいのね」と思ったことを覚えています。

その後、地方の大学に行き、転勤のある職に就いたので、各地の学会員にお世話になりました。
知らない土地でも、学会活動を通じて仲良くなれるのはありがたいことでした。
基本的に、いい人が多いので、引っ越しても安心ではありました。

けれど、結婚し、子育てをするようになって、母に子育ての相談をしたりする中で、違和感を感じるようになっていきました。
もともと生きづらさがありましたが、自分はアダルトチルドレンなのかもと思うようになり、最近ようやく、宗教を強いられたことも原因なのかなと思うようになりました。

そうはっきり思ったから、というわけではありませんが、少しずつ活動から距離を置くようになりました。
母も母でいろいろな思いから活動から距離を置くようになったようですが、それは、私には意外で、この本の中でもどなたかの体験にあったように、母は活動から離れないでほしかった、とも思います。
だって、私が創価学会から離れようと思ったのに、だって、母が信じていた学会活動で私が傷ついたのに、、、うまく言えませんが、ずるいというか、裏切られたというか、そんな気持ちがあります。
結局、母も流されていたのかな、と思うこともあります。

一方、父は生涯を学会活動に捧げたと言ってもいいほど、熱心な活動家でした。
父の大切な居場所であり、生き甲斐だったのだと思います。
欠点もある人だったとは思いますが、私は父のことが大好きで、だから、父が亡くなって、学会活動から離れた母のことが許せないのかもしれません。

父のことは二言もなく好きだと言える一方、母には複雑な思いがあり、ただ、宗教活動という面で言えば、父が母に与える影響も大きかったと思うので、私の思いは複雑です。
まだまだ抑圧していることがたくさんあるんだろうと思います。
でも、このような本のおかげで、少しずつ、私の中に閉じ込めたものも解放されるかもしれません。
そんな影響力のある本だと思います。

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2024年06月21日

Posted by ブクログ

安倍元総理大臣襲撃事件の容疑者山上氏の行動からクローズアップされた宗教2世 さまざまな宗教2世の生の声がつづられている。一時はマスコミも騒ぎ立てたが今では、冷めてしまったようだ。この本を読みもう一度宗教2世について考えることとなった。

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2023年08月31日

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