桃野雑派のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ周のキャラクターが良かった。京都人でレスバが強いのに根が優しいのが魅力的。
一方で犯人には共感も同情も全く覚えられなかった。むしろ嫌悪感を抱くレベル。人は人を殺しすぎたと口では言いながら因縁も何もない居合わせただけの同乗者を次々と手にかける様は矛盾も甚だしい。大体企みが成功したとしてその後はどうするつもりだったのだろう。そもそも重火器や核兵器なんかが出来る前の剣や弓矢の時代から人間は戦争をして来た訳で、そんな時代にも蹂躙される弱者は存在していた。包丁が道具になるか凶器になるかは使う人次第であることと同じで、結局は人間の問題でしかない。
宇宙ホテルという舞台にはワクワクした。旅行メンバーが見せる一面には好感も覚えた。彼らがレクリエーションでワイワイする様を見たかった。なのに犯人は早々に事を起こし、良かった雰囲気をぶち壊してくれて、一読者という傍観者でしかないのに心から恨めしく思う。ただトリックには宇宙ならではの仕掛けが使われていたりしてその辺りは感心した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『星くずの殺人』の続編であり、前作に登場した女子高生が主人公。
『星くずの殺人』では宇宙ステーションで起こった事件だったが、
本作では打って変わって日本の京都が舞台。
スケールが小さくなったのでは?と思いながら読んでいたが、
京都の名所の数々が巻き込まれる大変大規模な事件が展開されていく。事件の規模なら前作以上だ。
不謹慎かもしれないが読んだ後は京都旅行に行きたくなること間違いなし。
主軸となるテーマは炎上や加害者家族に対する誹謗中傷だろう。
おそらく今現在もなんらかの出来事で起こっている現象であると思うし、こういったトラブルなんかは枚挙にいとまがない。
家族だから、友人だから、果ては同じ地域・都市に住んでいるからと、外野は一括りにして同様の狂気や悪意を孕んだ存在と決めつけて糾弾する。私も含めて心当たりがまったくない人はいないと思う。しかも糾弾する側は自分たちに正義があり、それが正当な権利であると思いこんでいる。
まさに現代のSNSで起こっていることを反映させたような物語だった。
こういった作品を客観的に読んでいると、誹謗中傷している側の醜悪さや幼稚さがありありと見えてくるのに、
そのような行為がなくならないのはなぜなんだろうか。
前述したとおり、やっている側としては正義を執行している感覚があるからなのだろう。
我々は自分に正義があると何をしても許されると思っているフシがある。それが他人を傷つけ、結果的に殺すようなことになったとしても……。
この作品を読んで今一度、正義とは何かということを考えてほしい。
正直に言うと私は正義というものがわからない。そもそもそんなものは人間が勝手に作り出したもので、それが他人を害する大義名分になるというのならそんな概念はなくなってしまってもいいとすら思っている。そのように考えてはいるものの、声高にそれを主張するわけではない。ただ私は巻き込まれたくないだけなのだ。
そんな自分を心底恥じ入るほどに心に刺さった作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「星くずの殺人」の桃野先生のデビュー作。
1000年前を舞台に武侠の達人が密室で殺害されてしまった事で始まるミステリー作品。
ミステリーだけではなく、女性同士の恋愛や武侠に関わるアクション描写、物語の背景にある歴史的な背景など多くの面から楽しめる作品だと思いました。不器用ながらも血の繋がらない者への愛情や、復讐への惑い、それぞれの優しさなど、交錯していく思惑が複雑に絡み合っていて、それが綺麗に終盤にかけて回収されていく所がとても面白かったです。最後の描写がどうなってしまったのか分からないところが少し惜しい点かなと思いました。恋華と紫苑の恋仲がどうなったかなどの所も描いて欲しかったと想いました。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
蒼紫苑:小松未可子
梁恋華:安野希世乃
梁泰隆:中田譲治
蔡文和:小山力也
楽祥纒:松本梨香
為門:立木文彦 -
Posted by ブクログ
桃ノ 雑派(ももの ざっぱ、1980年[1] - )は、日本のゲームシナリオライター・小説家。小説家としての名義は桃野 雑派(ももの ざっぱ)
クローズドサークル新時代!
最後の一行まで驚きの連続、限界突破ミステリー!!
「Electro-Magnetic Pulse。略してEMP。パルス信号によって、電磁波を発生させる装置のことです」
二〇××年七月三一日
午前九時。ユニバーサルクルーズ社副機長兼添乗員の土師穂稀、機長の伊東、スペースポート紀伊。HOPE!!号、宮原英梨という乗客、政木敬吾だ。隣の乗客山口肇、後ろの席、眼鏡の男──澤田直樹、隣の嶋津紺、宮原の隣の女子高生、真田周、宇宙ホテル『星くず』支配人の菅山、浮かんでいるのは、伊東だった。伊東は、無重力下で首を吊っていた。送り先中田の社用メールアドレス、『危険! まだ戻るな。』「誰かが、僕を殺そうとしたんです」自殺するなら首吊り一択なんです。減圧、宇宙ゴミ、火事と、澤田と宮原が、伊東と同じく、首を吊っていた。副操縦士土師穂稀、支配人の菅山、高校生真田周、不動産屋の政木、フリーコンサル山口、福岡の介護士嶋津、犯人は山口。生きてる。「……地球、丸いわ」
---------------------|-----|--|-------------
3000万円の完全民間宇宙旅行のモニターツアーで、念願の宇宙ホテル『星くず』についた途端見つかった死体。それも無重力空間で首吊り状態だった。添乗員の土師穂稀は、会社の指示に従いツアーの続行を決めるが――。
一癖も二癖もあるツアー客、失われる通信設備、逃げ出すホテルスタッフ。さらには第2の殺人まで起きてしまう。帰還を試みようとすると、地上からあるメッセージが届き、それすら困難に。『星くず』は、宇宙に漂う巨大密室と化したのだった。