あさのあつこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
出だしの掴みから緊迫感があり、最後まで一気に物語が展開する。
おいちの特殊能力も、一作目よりはでしゃばりすぎることなく、ここぞというところに出てくるのがよい。
18歳という一人前の女性になる一歩手前のモラトリアムの彼女がこれからの進路を考える展開はティーンの読者には感情移入しやすい。
仲良し三人組も、ひとりはお嬢様として親の決めたレールに乗るはずだったが、冒頭謎の死を遂げる。
もうひとりは困窮した家を助けるため、自分の一生を妹や父の世話に費やすことを受け入れている。
おいちは、というと医師になりたいという憧れを持ちながらもどこか迷っている。
この時代の一般的なお嫁さんという道も二人の男性の出現に象徴されるように現れてくる。
本筋はおふねの死の真相と、彼女の願いをかなえることだが、どちらかというと進路についてが主題のようだ。
彼女が、早く嫁に行けと患者のおばさんに言われていつものように受け流せず、「わたしは必要ないの?」と抗議するシーンがあるが、
これってTONOさんの『カルバニア物語』の公爵令嬢が、爵位継承について反対する親戚たちに抗議するシーンとそっくりだった。
マイナーな漫画だし、あさのあつこさんが読んでいる可能性は限りなく低い。
それを前提にしての感想だと、女性に生まれて仕事をしていると必ずこういったことを言われ、彼女たちのように感じることは出てくるのだと思う。
ババアになっても言われます。
反発するばかりの時を超えて、振り返ってみると彼らの気持ちは大変ありがたいものだとわかるわけで、それを受け入れてもよし、受け入れなかったときの覚悟を決めるという選択を描いている。
それにしても、カルバニアはともかく、最後まで読むと宮部みゆきの昔のシリーズと展開がさらに似てきているのがちょっとひっかかる。
ありがち設定と言えばそうなんだけれど。 -
Posted by ブクログ
久しぶりのあさのさんの時代小説です。
最初の頃ほどではないにしろ。文章の靭さは相変わらずですね。物語としては好きな作家さんなのですが、あまり手を出していないのはそのせいです。どうも文体に疲れてしまうのです。
エンディングは素晴らしい。でも、そこに至るまでの過程がちょっと。
事情で結婚できなかった昔の人を思うあまりに、現在の夫に馴染みきれない主人公。でも、夫はとても良い人なのです。
過去は忘れられなくても、夫の愛情、そしてその誠実さや包容力にじんわり愛情を深めていく。その方が、最後への流れも素直に行ったような気がします。
その辺りは女性と男性の感性の差かもしれませんが、最後が綺麗なだけに、ちょっと勿体無いかな。 -
Posted by ブクログ
対象年齢低めのファンタジー小説を続けて読んでいます。
あさのあつこさん、名前はいろいろな作品で存じているのですが、著書を読むのは意外にもこれが初めてでした。多岐にわたるジャンルで書いておられる作家さんですが、これはちょっと異色作っぽい。
短編1話と長編(中編?)1話の2話構成。短編は童話のような異世界のファンタジックで教訓めいた物語。長編は一変して現代日本の女の子がスーサに出会い、異世界へと旅をするお話。
短編はすっきりまとまっていて良かったのですが、長編のほうはほとんど雰囲気100%なお話だなぁ。スーサや異世界へ渡る船とかの描写が主で、人物の中味が見えないような。
風景描写はとても綺麗でほれぼれします。
女性作家さんならではのやわらかい文体だなぁ、と感じました。
話は内容が薄いのであまり言及しません。
物語の核となるスーサは、謎めいていて、大人びているのかと思えば思ったことをそのまま言ったり笑ってみせたり、ミステリアスなところと悪ガキっぽいところが同居していて、わたしは結構好きです。