森鴎外のレビュー一覧

  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    森鷗外の文章は堅苦しい印象があり敬遠していたが、やはり読みづらかった。時折知らない言葉が出てきて、本の後ろに付属している注釈を使いながら読んだ。

    ただ、山椒大夫と高瀬舟は内容を大体知っていることもあり、すんなりと読むことができた。この2作で特に印象に残ったのは、物語や題材よりも森鷗外の美しい日本語であった。多彩で的確な言葉遣いとテンポの良い文章は、ときに場面の情景を、ときに人物の寂しさや切なさを、頭の中にくっきりと浮かび上がらせた。同じ話を現代の作家が書いても出せないであろう味が、この2作品にはにじみ出ている気がした。

    どちらの話も僕は涙なしでは読めない。
    短いのであらゆる人に読んでほしい

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    2013年01月15日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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    大正元年から大正五年の間に発表された歴史小説9編を収めた本。
    「山椒大夫」「じいさんばあさん」「高瀬舟」など、もはや説明不足と言うべきくらいに無駄がなく、重要な登場人物の心理描写が少ない。だがむしろその表現が観察者にとって畏敬すべき何かを強く感じさせる。

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    2012年11月18日
  • 新撰クラシックス 高瀬舟(小学館文庫)

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    一番最初の短編、じいさんばあさんを読み、森鴎外が大好きになりました。
    ただ、たんたんと事実を綴るような書き方に所々小説のような切なさ、爽快さをミックスさせるのが堪らないと思いました。

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    2012年03月20日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    視線、時間、舞台が空間的、建築的に構成されていて本当に面白い。軽快なリズムを刻む文体が音楽的とも言える。計算し尽くされた作品だと思う。

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    2011年11月06日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    ネタバレ

    『山椒大夫』の最後は、なぜか大きく心が揺れた。ラストとしてはありがちといえばありがちなのに、何故こんなに動揺させられたのか、まるでわからない。淡々と語られていたから? これは、ずっと評価される話しだと思った。
    『最後の一句』も良かった。読んだ後は心の中が、すごいざわつかされているけど。映像にされるとさらに良さを増しそうだと思った。
    『高瀬舟』は懐かしかった。

    それにしても、『山椒大夫』が素晴らしい。

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    2011年07月17日
  • 渋江抽斎

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    まず漢語を中心とした圧倒的な語彙力に憧れる。伝記としては訥々と事実を述べていて劇的な展開はないが、その分幕末の武家、明治の士族華族の暮らしぶりや考え方がリアルに伝わりとても良かった。つい100年程前なんだなと思うと胸いっぱい。

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    2010年11月26日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    高校の時の現国の時間に読んで衝撃を受けた作品。
    その構成、エピソード、言葉遣い全てがものすごく新しく今でも感じるのであるから当時はセンセーショナルだったと思う。

    エリスが狂ってしまうあたりの描写の淡々たる遠まわしな他人的な場面が非常に痛く、苦しく、今も昔もオトコってずるいと思ってしまった。

    作品全体から欧州の匂いが漂ってきそうな場面描写もすごい。近代文学の骨頂だと思う。

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    2010年02月06日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    4篇は読んだ。個人的には高瀬舟よりも山椒大夫のほうが好みだが、示唆することは高瀬舟の方が多い気がする。

    山椒大夫は、子どもの奴隷の話で、最後は盲(めしい)になった母親と感動の再会を果たす。この場面は感動的で、泣ける。

    高瀬舟は教科書等でもお馴染み。弟を苦しみから解放した喜助は罪人なのか。罪には違いないが、安楽死という考え方はどうだろう、と鴎外が提案した小説。現代にまで通ずる示唆深い作品。

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    2010年02月26日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    「山椒大夫」は先が気になる面白さでした。
    安寿の優しさに感動しました。
    「最後の一句」にしろ、なんでこの本の少女は
    優しくって強くて芯があるんでしょうか…
    なんかかっこよさすら感じます。

    「高瀬舟」では、幸せとは何か考えてしまいました。
    弟を殺し、島流しになって全てを失おうとも恵まれていると考える喜助、
    それとは逆に家庭も仕事もあるが満足してはいない庄兵衛。
    結局幸せなんて人の気の持ちよう??

    私にはちょっと難しい話もあったかもしれませんが、
    お勧めです。

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    2009年10月04日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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    森鴎外の晩年の短編集である。たまたま小倉に来ているのだが、ここには森鴎外の旧宅が残されている。残念ながら、中に入ることはできないのだが、弁護士に建物と庭の雰囲気を見ることができた。
    さて、この本は、殉死制度を扱った阿部一族と言う短編を読みたくて、手に取った。しかし、客観的な事実を中心に乾いた筆致でかいてあって、読んだことが記憶に刻まれない。私の性に合わないのであろう。

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    2025年11月02日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    ネタバレ

    表題作2作のほかでは「カズイスチカ」が印象に残った。
    語り手である医師(花房学士)は、先輩医師である自分の父親(翁)を観察して以下のように述べる。

    「翁は病人を見ている間は、全幅の精神を以て病人を見ている。そしてその病人が軽かろうが、重かろうが、鼻風だろうが必死の病だろうが、同じ態度でこれに対している。盆栽をもてあそんで(当コメント者注:実際に使用されている漢字に変換できず)いる時もその通りである。茶を啜っている時もその通りである。」(P.34)
    「そのうち、熊沢番山(当コメント者注:番は実際の漢字に変換できず)の書いたものを読んでいると、志を得て天下国家を事とするのも道を行うのであるが、平

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    2025年10月19日
  • 青年

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     古い言葉と今は使わない漢字、フランス語とドイツ語がいやというほどアルファベットにフリガナをつけて出てくる。巻末の注釈を引きながら読み切るには時間がかかった。よく読み切ったと思う。
     教育学部に進んだ友がこの本はエミールとともに教育学の教材ロしていい本だと言われたので半世紀余り後読んだが、青年純一の明治の上り坂の時代の青春と年上の女性への恋慕が心のうつろいが書かれているが、教育学とは関係ないんじゃないかろ思う。
     ただ鴎外の49歳の時の作品を思うと20代の青年の心情がよく著されていると思う。

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    2025年09月16日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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     学生の頃に一度は読んだことのある作品がほとんどだったが、再読してみて前よりは深く読むことができたのではないかと思う。
     少しくどいくらいだが語句や歴史的背景についての注釈が充実していて、理解が大いに助けられた。

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    2025年08月05日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    中高生時代に読んでおきたかった。
    「舞姫」に限らず、「高瀬舟」や「山椒大夫」も教科書に載せるべき。
    「高瀬舟」は、安楽死の是非、兄弟愛の深さ、知足の精神などまるで現代の社会課題を題材にしたような物語であり、人間の心の機微や道徳的なジレンマを感じた。

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    2025年04月16日
  • 阿部一族 他二篇

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    ネタバレ

    【総評】
    殉死について書かれた物語が2つ収録されており、日本における殉死文化の変遷を調べるきっかけになった本(時代ごとに意味が変わってることや意外と15世紀に禁止令が出てることを知れた)

    また、森鴎外が年齢設定のミスを複数していることを斎藤茂吉が解説で述べており、森鷗外のような人でミスるなら、自分が色々とミスしても当然だよな、と自己肯定感が上がった

    【興津弥五右衛門 】
    命より誇りを大事する傾向が強い武士文化の時代に生まれなくてよかったなと思う。からかい一つが命取りになるなんて、俺は命がいくつあっても足りない

    【阿部一族】
    阿部一族よりも彼らに仕える部下がなぜ、討ち死にがほぼ確定する中

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    2025年02月13日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    ネタバレ

    [山椒大夫感想]
    この物語は私が文学に求めている人間の本質の姿には深く迫らず、家族愛がメインで書かれていたので、あまり私にはしっくり来なかった。

    人買いに買われ、その生活は非常に私の同情の念を引き起こした。弟や姉もいつかこの生活を脱したいと言う共通認識があったと見え、脱走に至ったのだと思う。姉が犠牲になるために、入水自殺したのは、一緒に脱走する仲間としてやってきた弟にとっては耐え難いものであったと思う。その犠牲を無駄にしまいと、弟が出世を果たし、最終的には生き別れた母に会った。だが、その感動の再会も母が老いぼれており、再会の中にも一抹の寂寞な感じがあった。

    私も私のために身を粉にしてくれた

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    2024年12月10日
  • 寒山拾得(新仮名)

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    寒山拾得の言い伝え

    寒山拾得の言い伝えを森鴎外が手短にまとめて書いている。同じ題名の芥川龍之介の短文にも登場する世捨て人 瘋狂の僧 寒山と拾得。この作品 鴎外の短文でも、どこが面白いのか 偉大なのか 真価はわからない。ただもったいぶった高官との対比が際立っている。

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    2024年11月17日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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    『山椒太夫』
    安寿と厨子王の名前や、ラストの盲目の老婆(母)との再会はどこかで見聞きしてたのか、なんとなく知ってた。

    『高瀬舟』
    安楽死といえば、安楽死の話しなのかしら?

    『阿部一族』
    とにかく武士はみんな死にたがりで、殉死、切腹、に対する熱量が凄く、圧倒されつつ疑問も多く興味深い内容だった。この時代の切腹について、もっと知りたいと思った。
    人物の紹介文は難しくて飛ばし飛ばしして、やっと読みきった。

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    2024年10月07日
  • 阿部一族 他二篇

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    歴史物3篇。興津弥五右衛門の遺書、阿部一族、佐橋甚五郎。興津、阿部は殉死を題材にしている。興津は生前交流のあった乃木希典の殉死を受けて書かれたもののようであるが、遺書という体で書かれたものであるため、文体が固く読みづらい。阿部一族は史実とは異なるようであるが面白い。主人になんとなく嫌われ殉死の許可が得られないことに端を発する一族滅亡の話。佐橋は家康の息子信康の、逐電した小姓が朝鮮の使いとして家康の前に現れた?話。本人かどうかは不明。

    面白くないわけではないが、歴史ものはちょっと読みにくいなあ。

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    2024年04月24日
  • 舞姫

    購入済み

    昔のエリートはすごい

    ベルリンで女の子をナンパして、妊娠させて、捨ててきた。と言うお話です。なかなかの語学力と金の力だと思います。

    #タメになる

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    2024年04月11日