森鴎外のレビュー一覧
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森鴎外らしい小説だが、その中でもチャレンジな作品だったと思う。
明治の近代文学は、まさに動的な時代でもあり、森鴎外もその作風の変遷があるし、それが偉大な作家といわれる所以である。
近代が、個人を見出す時代であるとすれば、特に西欧の哲学も学んでいた鴎外からすると、性を科学的に取り上げることは、ひとつの大きなテーマでもあったのだろう。
主人公が哲学を学んでいる設定としているところも、その意図がより感じられる。(フロイトとか)
鴎外の特徴が、登場人物を、少し離れた場所から、描写するところ。登場人物が、映像のように現れる効果。
詰まり、傍観者的に観ているからこそ、その効果が出てくるのかもしれない。
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Posted by ブクログ
瑞々しさと少々癖のある文章で描かれた、ミニマルな不条理
思えば登場人物全員が、
運命に翻弄されていたり、知らず知らずのうちに欺かれていたりする。
主役2人は尊い恋心を持ちながらも、
その熱は何かを果たすことなく、
石を投げられた雁のように儚く消えてしまう。
しかし、それが故、人生の残酷さと無常の美しさがこの物語にはある。
「ぼく」の視点で、2人から聞いた話を語っているという構造により、「曖昧さ」があって、それがノスタルジーさに繋がっている。
記憶を未正確なまま手繰り寄せることによって、「今ここの感情」と「過去の映像」が美しく再構築され、独特の浮遊感がある、あのノスタルジックという感情が -
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舞姫を読みたくて。
舞姫だけ読んだ感想です。
舞姫、高校の現代文の教科書に載っていたなぁ。
「これのどこが現代だ!」と、当時のわたしは思ったものですが、その感想はアラフォーになった今でも同じです。
英文を読むときと同じで、全体を通して読んでなんとなく内容をつかむ、というのが精一杯。
翻訳家でもない私が、英文を一文一文訳そうとするとドツボにはまるあの感覚。全体を通してストーリーをすくいとることができればOK、という低いハードルで読むべき。
「内容を理解できるか」と、いう点では、むしろ英語で書かれたほうがわかるのでは。
肝心の内容・感想について。
堪え性のない私は、もう二度と読むことはないだろ -
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ネタバレうたかたの記:
何とも救いのない話。国王の身勝手に振り回されるマリイ親子。権力者から一方的に向けられる恋慕の情は怖い。(これは先輩後輩程度でも成り立つでしょう。)妻が襲われて、王に殴りかかるスタインバハ、アカデミー賞のウィルスミスを彷彿としてかっこいい、けどどちらも失うものが大きいことは、教訓にせねばならんのかな。
ふた夜:
ちょっと文語だと難しくて口語訳を読んでしまった。戦争、駅など、今の時代とは違うものが文語だと分かりづらい。
親の都合で結婚させられるのは、「文づかい」に通じるのかな。文づかいより救いがないのが辛い。
舞姫:
ロマンチックな話かと思いきや、クズのバッドエンドの話なんだな -
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初めて森鴎外の作品に触れた。
舞姫。途中はがんばれ青年、と応援したのも束の間、最後はなんとも愚かな結末であり、その時代背景もあるだろうが、なぜそっちにいってしまったんだ、ともどかしい気持ちを抑えられなかった。
阿部一族は、ああ自分は絶対阿部側の人間だな、と思った。でも、子どもらに迷惑かけたくないから名誉なき自死はしないで自分だけ苦しもうとなるかもしれない。それで病むんだろうけど。自分だけ。
そのほか、「かのように」の葛藤も、「鶏」の滑稽さもとてもおもしろかった。こんな作品を書いているんだと正直驚いた。歴史ものはちょっとよくわからんが、森鴎外といえばドイツ、または医学、みたいなイメージを勝 -
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昭和54年10月15日 28刷 再読
鴎外日露戦争後、医務局長となり、自由に小説を書きはじめた時代の 短編12編
「杯」
明治43年1月 1910年
8人の少女達がそれぞれの杯で泉の水を飲む。一人は異国の少女で、陰湿な言葉で排除されようとするが、その態度と自国の言葉で自己を主張する。
凛として美しい。数ページだが、印象深い。
「普請中」
明治43年6月 1910年
ドイツから愛人だった女性が訪ねてくるが、拒絶する日本人参事官。日本はまだ政治も文化も普請中である、待ち合わせのレストランも工事中。
「カズイスチカ」
明治44年2月 1911年 臨床記録
医学士の青年が、開業医の父親 -
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昭和54年2月10日 62刷 再読
明治13年の出来事として、明治44年から書かれた鴎外中編小説。
母親を早く亡くした世間知らずな美しい女性“お玉”は、生活の困窮から、高利貸の妾となる。騙された思いもあり、自身の運命から逃避したいと考えてみるも、年老いた父・無学な自分を考え、その生活を受け入れていた。そんな折、図らずも顔見知りとなった医大生に心惹かれ始める。
「鯖の味噌煮」と「石にあたった雁」という偶然の出来事が、二人の関係を始まる前に終わらせてしまう。という哀愁漂う儚い恋愛物語。
幾たびかすれ違う二人の淡い恋心が切なく、決して成就しないだろうと思っていたけど、まさか、不忍池の雁に石投げ -
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先日『鷗外の怪談』という舞台を観劇し、森鷗外の作品に興味を持った為、拝読した。
収録されているのは独逸三部作と言われている『舞姫』『うたかたの記』『文づかい』と、舞姫と関連の深い『普請中』、そして翻訳『ふた夜』。今回は鷗外の作品が読みたかっただけなので『ふた夜』はとばしてしまった。
独逸三部作は文語体の為多少の読みづらさはあるが、ストーリーは至ってシンプルなので、理解はしやすく、また描写も丁寧なので想像がしやすい。思ったより読みやすくて安心した。注釈も細かく丁寧に書かれているので、注釈ページと往復しながらじっくり当時のドイツを味わうことが出来てとても有難い。
森鷗外が日本のロマン主義文学の発端