森鴎外のレビュー一覧

  • 青年(新潮文庫)

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    ピカピカに弾力漲る青年・純一の自意識がむず痒くも懐かしく心地よい。身の回りのいろいろに振り回され創作意欲を掻き立てられていた頃の気持ちにしばし立ち返った。(しかし意味もなくフランス語の単語を乱用するのは如何なものか。こういう衒いがまだ特権的に許容されていた時代だったんだろうけれど…)

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    2013年05月26日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    森鷗外の文章は堅苦しい印象があり敬遠していたが、やはり読みづらかった。時折知らない言葉が出てきて、本の後ろに付属している注釈を使いながら読んだ。

    ただ、山椒大夫と高瀬舟は内容を大体知っていることもあり、すんなりと読むことができた。この2作で特に印象に残ったのは、物語や題材よりも森鷗外の美しい日本語であった。多彩で的確な言葉遣いとテンポの良い文章は、ときに場面の情景を、ときに人物の寂しさや切なさを、頭の中にくっきりと浮かび上がらせた。同じ話を現代の作家が書いても出せないであろう味が、この2作品にはにじみ出ている気がした。

    どちらの話も僕は涙なしでは読めない。
    短いのであらゆる人に読んでほしい

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    2013年01月15日
  • 雁(新潮文庫)

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    森鴎外の作品を読む時には、いつも明治という時代背景を念頭にテーマ設定を考えてみる。
    それは西欧文化に影響を受ける中での人々の心の葛藤のようなものではないか。(これは夏目漱石等の海外を知る明治の文豪に共通しているのだろう)

    先日、文京区の森鴎外記念館を訪れたが、その際に鴎外がフェミニストであることを知る。娘の教育に対しても同様のことを感じた。
    「雁」のテーマのひとつは、妾という旧態然の仕組みの中にあって、時代は女性の自立、自意識が芽生え始めている、その時代のミスマッチのようなものではなかったのか。
    それは妾を抱える末造とその妻とのやり取りでも気付かされた。

    以下引用~
    女には欲しいとは思いつ

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    2013年01月04日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    阿部一族が痛ましい。
    武士社会と言うものの、命の軽視。
    森鴎外の、「心を描かぬ」手法それもまた、痛ましさを覚える。
    野蛮といえば野蛮だが、その精神の独自性と忍耐強さは、私たちの過去とは思われぬほど。

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    2012年12月22日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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    大正元年から大正五年の間に発表された歴史小説9編を収めた本。
    「山椒大夫」「じいさんばあさん」「高瀬舟」など、もはや説明不足と言うべきくらいに無駄がなく、重要な登場人物の心理描写が少ない。だがむしろその表現が観察者にとって畏敬すべき何かを強く感じさせる。

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    2012年11月18日
  • 青年(新潮文庫)

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    解説にある通り、夏目漱石「三四郎」に対する森鴎外の作品といっていいと思う。自分としては「三四郎」よりもこの「青年」の主人公の方が自分の感覚に近いような気がして、場面、場面の心情に同意できる。20代の初めってこんな感覚だったなぁ…と懐かしくなったりもした。間違いなく良い作品。

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    2012年04月25日
  • 新撰クラシックス 高瀬舟(小学館文庫)

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    一番最初の短編、じいさんばあさんを読み、森鴎外が大好きになりました。
    ただ、たんたんと事実を綴るような書き方に所々小説のような切なさ、爽快さをミックスさせるのが堪らないと思いました。

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    2012年03月20日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    視線、時間、舞台が空間的、建築的に構成されていて本当に面白い。軽快なリズムを刻む文体が音楽的とも言える。計算し尽くされた作品だと思う。

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    2011年11月06日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    ネタバレ

    『山椒大夫』の最後は、なぜか大きく心が揺れた。ラストとしてはありがちといえばありがちなのに、何故こんなに動揺させられたのか、まるでわからない。淡々と語られていたから? これは、ずっと評価される話しだと思った。
    『最後の一句』も良かった。読んだ後は心の中が、すごいざわつかされているけど。映像にされるとさらに良さを増しそうだと思った。
    『高瀬舟』は懐かしかった。

    それにしても、『山椒大夫』が素晴らしい。

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    2011年07月17日
  • 渋江抽斎

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    まず漢語を中心とした圧倒的な語彙力に憧れる。伝記としては訥々と事実を述べていて劇的な展開はないが、その分幕末の武家、明治の士族華族の暮らしぶりや考え方がリアルに伝わりとても良かった。つい100年程前なんだなと思うと胸いっぱい。

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    2010年11月26日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    高校の教科書に載っていた『舞姫』
    それ以来、初めて読み返してみたのですが、当時の思いと全く異なっていたのに驚きました。
    こんなにも、最低な男だっかのか?

    『阿部一族』『堺事件』『じいさんばあさん』はぐいぐいと読んでしまった。
    『舞姫』にかかった時間の半分で読み終わったくらい。
    それくらい、読みやすい。
    きっと映像化したら、海外でも人気が出そうな気がする。

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    2012年07月10日
  • 青年(新潮文庫)

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    目の描写がよくあるきがする。主人公やお雪、未亡人の目。それぞれの目。
    漱石の「三四郎」と比較される事がよくあるかな?発表時期も近いし、内容としても。
    横文字混ぜてくるのはまあしょうがないですよね。
    男子の貞操について悩んでるの面白い。

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    2010年07月08日
  • 舞姫・うたかたの記 他三篇

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    高校の時の現国の時間に読んで衝撃を受けた作品。
    その構成、エピソード、言葉遣い全てがものすごく新しく今でも感じるのであるから当時はセンセーショナルだったと思う。

    エリスが狂ってしまうあたりの描写の淡々たる遠まわしな他人的な場面が非常に痛く、苦しく、今も昔もオトコってずるいと思ってしまった。

    作品全体から欧州の匂いが漂ってきそうな場面描写もすごい。近代文学の骨頂だと思う。

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    2010年02月06日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    4篇は読んだ。個人的には高瀬舟よりも山椒大夫のほうが好みだが、示唆することは高瀬舟の方が多い気がする。

    山椒大夫は、子どもの奴隷の話で、最後は盲(めしい)になった母親と感動の再会を果たす。この場面は感動的で、泣ける。

    高瀬舟は教科書等でもお馴染み。弟を苦しみから解放した喜助は罪人なのか。罪には違いないが、安楽死という考え方はどうだろう、と鴎外が提案した小説。現代にまで通ずる示唆深い作品。

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    2010年02月26日
  • 山椒大夫 高瀬舟 他四篇

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    「山椒大夫」は先が気になる面白さでした。
    安寿の優しさに感動しました。
    「最後の一句」にしろ、なんでこの本の少女は
    優しくって強くて芯があるんでしょうか…
    なんかかっこよさすら感じます。

    「高瀬舟」では、幸せとは何か考えてしまいました。
    弟を殺し、島流しになって全てを失おうとも恵まれていると考える喜助、
    それとは逆に家庭も仕事もあるが満足してはいない庄兵衛。
    結局幸せなんて人の気の持ちよう??

    私にはちょっと難しい話もあったかもしれませんが、
    お勧めです。

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    2009年10月04日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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     私は夏目漱石さんの文章が好きです。高校の頃に文豪は時代順で読むといいよと国語の先生に言われたのがずっと残っており、夏目漱石さんの前の時代にあたる森鴎外さんの作品を読んでいないなと思いたって読みました。

     森さんの文章は淡々としている印象を受けました。登場人物について「〇〇は何年××の生まれで〜」というような説明をしているなぁと思いました。小説というより説明文みたいだなというのが率直な感想でしたが、時代劇として映像化したら絶対に面白いだろうなと感じました。

     個人的に好きな収録作品は『鶏』と『かのように』です。
     森さんの作品は波が無く、しかしどう終わるのかと気になってしまうものが多かった

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    2025年11月18日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    森鴎外なんていつ以来かと思う。今回は阿部一族を目当てに短編集を購読。殿様が亡くなり、殉死を希望する武士たちだが、殉死にはその殿様の許可が必要。自分に殉じてくれるのは嬉しいが、やりすぎると人材が枯渇してしまう。許されないまま殉死するのは不忠に当たるのだが、おめおめと生き残るなどできぬとばかり死に急ぐ者もいる。純粋といえばそうかもしれないが、馬鹿馬鹿しいプライドで命を捨てることを淡々を描いていて素晴らしい。一方、森鴎外の代名詞ともいうべき舞姫だが、今読むとなんてつまらないんだろうと思った。主人公の言動も最低。まあ、そういう話なのだが。

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    2025年11月16日
  • 阿部一族・舞姫(新潮文庫)

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    表題作の「舞姫」だけ読んでの感想です。

    愛する人とほぼ完全に生き別れに近い状態になるのは狂女になる程の事ですが…その上更になったのは主人公が最初から優しかったことも含め全てが偽りだからだと思ってしまったからだと思います。

    お腹の子供が産まれたらエリスは正気に戻る様な気がします(それを望みます)。愛しい人との子供を大事に育てて少しでも穏やかに暮らせて行ければ良いと思います。

    エリスと想いあったが故に免職になりながらもエリスを大切にしていたのに最後エリスより復職を選んだのはやはり主人公にとってはエリスはかりそめの相手だったのでしょうか。

    エリスにとっては唯一無二の相手だったかもしれません。

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    2025年11月05日
  • 山椒大夫・高瀬舟・阿部一族

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    森鴎外の晩年の短編集である。たまたま小倉に来ているのだが、ここには森鴎外の旧宅が残されている。残念ながら、中に入ることはできないのだが、弁護士に建物と庭の雰囲気を見ることができた。
    さて、この本は、殉死制度を扱った阿部一族と言う短編を読みたくて、手に取った。しかし、客観的な事実を中心に乾いた筆致でかいてあって、読んだことが記憶に刻まれない。私の性に合わないのであろう。

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    2025年11月02日
  • 山椒大夫・高瀬舟

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    ネタバレ

    表題作2作のほかでは「カズイスチカ」が印象に残った。
    語り手である医師(花房学士)は、先輩医師である自分の父親(翁)を観察して以下のように述べる。

    「翁は病人を見ている間は、全幅の精神を以て病人を見ている。そしてその病人が軽かろうが、重かろうが、鼻風だろうが必死の病だろうが、同じ態度でこれに対している。盆栽をもてあそんで(当コメント者注:実際に使用されている漢字に変換できず)いる時もその通りである。茶を啜っている時もその通りである。」(P.34)
    「そのうち、熊沢番山(当コメント者注:番は実際の漢字に変換できず)の書いたものを読んでいると、志を得て天下国家を事とするのも道を行うのであるが、平

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    2025年10月19日